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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
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2011年04月22日 (Fri)


久々の更新です…すみません(苦笑)

locaさまよりお借りしました


あいうえお44題


こ : この道の先には


八晴で書いてましたが…挫折(苦笑)


天探です。
志→真 風味




この道は、どこに続いてるんだろう…。




ふと…そんなことを考えた。

家の前の道は、どこまでも続いているように思った。

それでも関係ない。

塀の外は…別世界だと……。

少し前まで、思っていた。




   この道の先には




『たぶん、日本橋で降りるみたい』

そんな声ではっと我に返った。

聞こえてきたのは…公香の声。

ハイエースの後部座席にいると、思い出した。

『この様子だと、まっすぐ仕事に行くだろうな。』

無線で聞こえてくるのは同じく尾行をしている真田の声。
依頼者からもらった資料を思い出す。
確かに、勤務地はこの近くだった。
「公香、会社に着くまで頼む。」
『わかりました。』
今の公香の格好なら、不自然はない。
醸し出す色気を極力抑えて…とにかく目立たない格好に撤している。
公共交通機関を利用するときは、目立たないに限る。
「真田はどこにいる?」
『ガソリン注いでる。…すぐにいく』
「そうだな…マンションで合流してくれ。」
『了解』
あの辺りは日本有数の金融街…という知識は仕入れている。
知識だけで…どんなところかはよく分からなかった…。



ガソリンの領収書を見て…顔をしかめた。
高い。
と言っても、使わないわけにはいかない。
ほどほどにしておかなければ、自転車に変えろと言われかねない。
それは、勘弁だ。
真田はそう思いながら、エンジンをかけた。
そうして、公道に走り出る。
目的地はすぐそこである。

今回の仕事依頼は浮気調査。
依頼人である奥方が同窓会で帰省するそうで、その間の監視の依頼。

普通は会社帰りから帰宅までの監視なのだが、今回は少し違う。
しかも徹底的に一日張り込みをしろとのこと。
その分、弾んでくれるということなので文句はないのだが…少しおかしい気がする。
強いて言うならもう一つ。

ここ…だ。

目的地に到着して、アクセルを外し…ブレーキをかける。

ターゲットの会社が見える位置にある…ウィークリーマンションだ。

会社にいる間の監視は難しいと説明したときに、ここを紹介された。

どうも、怪しい。

この数日で、どうしても浮気の証拠をつかみたいと思っているのがありありとわかる。

クロと決めてかかっているのが…よくわかる。
まぁ、他人のプライベート踏み込むことではない。
バイクを止めて、ヘルメットを脱ぐ。
どう見ても車用の駐車場だが、路肩駐車をするわけにはいかない。
「真田。」
名前を呼ばれて…そちらを向くと、公香がいた。
「お疲れさん。」
「ここにバイクは目立つわね。」
と…眉間にしわを寄せながら…公香はそういった。
「今から作戦会議だ。」
そう言って、指定された部屋に向かう。
出迎えたのは、山縣で…部屋の中に志乃の姿はなかった。
「志乃は?」
「車まで待ってもらってる」
「なんでだよ?」
「車椅子は、目立つ。」
「…………。」
それは…わかる。だが
「これじゃ、志乃が仲間外れみたいだろ。」
「ちゃんと会話は聞こえてる。」
っと…指さしたのは無線の機械。
「…………。志乃?」
聞いているとは思わなかったので、少し気まずくなりながら…そう声をかけてみた。
『はい。』
あまり気にしていないような声が聞こえてきて…少し安心した。
「さて、どうする?」

作戦会議はすぐに開催され…すぐに終わった。




数十分後、動きがないのを確認して…行動に移った。

山縣を残して一時撤退である。

四六時中見ていろと言われても関係のない人間が会社にほいほいと入るわけにはいかない。

ここでただ、見ているのは一人で十分だということである。


公香がハイエースの運転席に乗り込んで、真田はバイクにまたがった。
そうして、各々事務所に向かって戻りだした。
『……日本橋か。』
「どうかしたの?」
不意に聞こえてきた真田の声に、志乃は反応した。
『いや、この道はどこに続いてるんだろうなぁって…』
「え?」
「南は鹿児島、北は青森まで。」
と、話に入ってきたのは公香だった。
『鹿児島は本州じゃねぇぞ。』
「知らないの?関門海峡は車通れるのよ。津軽海峡は電車だけだけどね。」
「へぇ…」
なんとなく道路は本州だけで終わっているような気がしたので…公香の言葉は意外だった。
この道路がどこまで続いているかなんて考えたことがなかった。
「どうしていきなりそんな話を?」
志乃はその疑問を口にした。
『日本橋って言えば、五街道の出発地点だぜ。』
「あら。あんたの口から五街道なんて言葉が出てくるなんて思わなかったわ。」
『なんだよ。それ。』
と…声だけでふてくされているのが分かる。
「じゃぁ、五街道言ってごらんなさいな。」
『東海道…だろ。』
「後4つ。」
『…………………。』
黙ってしまった真田に…思わず笑ってしまった。
「栃木県の方です。」
『栃木?』
「世界遺産野名前です。」
『………日光?』
「正解、日光道中です。」
『へぇ…他は?』
「もうギブアップ?」
『ギブ。志乃ちゃん教えてー。』
「なぁにその猫なで声。」
運転席から、公香の声がする。
この軽口に加われているのが、嬉しい。
「五街道は、東海道と奥州道、中山道、日光道中、甲州道中…の5つです。」
「正解。」
『へぇー…物知りだな。』
「あんたが知らなさすぎなのよ。」
公香がそういうと、真田が無線ごしに文句を言う。
その会話を聞いていることが…。
この場所にいるということが、こんなにも楽しいとは思わなかった。

道路の話がこんなに楽しいなんて、思わなかった。

この道は、どこまでも続いている。


私のじんせいも、どこまでも続いていると良い…

決して平たんではないけれど…

自分で、行き止まりはつくりたくない。

振り返ってもいいけれど、逆戻りはしたくない。

彼といっしょにたら、それができる気がする。


『志乃?どうした?』


「なんでもないです、真田さん。」


できるなら、一緒にじんせいを歩いていきたい…


この道の先には


きっと、いいことが、待っているから


END

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