ここは「文風月」内、FF置き場です.
カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
手の届くところ…なんて、
以外に、狭いものだ…
両手を広げた長さはだいたい身長と同じぐらいで…
手から肘、肘から肩、右肩から左肩…の三つは大体同じぐらい。
つまり身長を五等分して、その二つ分が片腕の長さとなる。
視線を自分の腕に向ける。
…70センチぐらいか……?
その腕が動いて描く形は、当然ながら円でだ。
その中にはいているものは驚くほど少ない。
たとえば、昔いた映画研究同好会。
定位置は、椅子の上で…。
まずは携帯、そして暇つぶしの文庫本。
それぐらいだ。
コートは壁に掛かってるし、勉強道具などは遙か遠くにある。
たとえば職場。
定位置は自分のデスク。
机の上のファイルやら書類やらの紙。筆記用具、カレンダー。
携帯はポケットの中…だ。
机の引き出しにはそれはもういろんなものが入っている。
たとえば自宅。
ソファーが定位置で…。
携帯に、暇つぶしの文庫本。そして各種リモコンがテーブルの上に並んでいる。
たとえば寝室。
ベッドから手の届くところには棚とその上におかれた携帯のみ。
目覚まし時計は、ベッドのそばにはない。そこにおくと、二度寝の原因となってしまう。
…と、考えると。
本当に必要なのは携帯電話のみと言うことになる。
これも、某トラブルメーカーや某親戚や某熊がかけてくるのであって、自分からは滅多に使わない。
そう考えると…
手の届く範囲に必要なものは…恐ろしいほど、ない。
1メートルにも満たない。そのスペース。
今いるのは自宅のリビング、ソファーの上。
手を、動かす。
「なにっ?」
驚いたような、不審げな声が聞こえてきた。
茶色の髪に縁取られた顔と、鳶色の瞳が向けられる。
ぽふっと、僕の右手は彼女の頭に乗っている。
「……いいや。」
トラブルメーカー兼恋人兼家族。
こんな狭いスペースに。
君がいてくれることが、こんなにもうれしいなんて…
「なに?」
「なんでもない。」
「どうして笑ってるの?」
「何でもないって言ってるだろ。」
「八雲君がそういう言い方するのは。怪しすぎるの。」
「それは心外だな。」
君が、手の届くところにいる、幸せ。
両手を伸ばして…その体を抱き寄せた…。
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