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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月19日 (Sun)
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2011年09月12日 (Mon)

久々更新ー。

マリンスノウ。

セイランの誕生日が近いということで(笑)



4.命の代償2



注)本作品の時系列は『心霊探偵八雲』原作に沿っていますが、社会背景及び法律の描写については、執筆時現在に基づいております。
矛盾が生じる部分が出てくるかも知れませんが、ご理解の程をよろしくお願い致します。


事件に巻き込まれてます(苦笑)


4.命の代償2




八雲の機嫌が急激に悪くなった。
先ほど、彼女である小沢晴香の行動であるのは…火を見るよりも明らかだった。
人はこうも変わるものかと…思うほど…八雲の表情が分かりやすくなった。



刑事コンビがやってきたのは、数十分前だった。


「八雲、いるか?」
「……………………。」
そのだみ声に…心底嫌そうな表情を八雲は浮かべた。
「こ、こんにちは…」
がちがちに緊張している石井も一緒だった。
「なんだ。晴香ちゃんはいないのか?」
蒸し風呂のような部屋の中を見て…顔をしかめながら後藤がそういった。
「いつもいるわけじゃないんですよ。」
面倒くさそうに八雲はそういった。
これはさっさと話を切り出した方がいいと…察して、後藤は話を切り出した。
「八雲、財布持ってるか?」
「後藤さんは、財布を持っていないのですか?」
「持ってるに決まってるんだろ!」
「クマがもってるんだから、人間はもってますよ。」
しれっと、そう言って文庫本のページをめくった。
「この近くの、交差点轢き逃げがあったのは、知ってるか?」
後藤がそういい、向かいの席に座った。
パイプ椅子が軋むのは…若干体重オーバーだろうか。
石井はそのまま、後藤の後ろに立っている。
「知りません。」
「んなことはないだろう。新聞にも乗ったんだぞ」
「そんな事件、ごまんと起きているでしょう。」
しれっとそう言って…文庫本を閉じた。
「まぁ待て。被害者は上田雅美26歳とその息子の良4歳。」
後藤はそう言って、数枚の紙をまとめた捜査資料をテーブルの上に置いた。
事情を話せば、八雲は断れないと知っているからである。
「事故発生時刻は19時半ごろ。横断歩道を渡ろうとしていた二人を車が跳ねた。」
八雲の表情が、少し硬くなる。
それを見ながら、後藤は続きを離した。
「犯人はそのまま数十メートル、被害者を引きずり…逃走。結果、二人は死亡。」
言っているだけで虫唾が走る。
後藤の表情からも、嫌悪感が伝わってくる。
「…………」
八雲は…眠そうな目をしながらも、その書類に手を伸ばした。
まんまと、釣れた…っと、思いながら後藤は話を続けた。
「第一発見者は、犬の散歩中の主婦。犬の異変と子どもの叫び声がきこえたらしい。そして現場で遺体発見。」
「…………。叫び声?」
「ママ!…って聞こえたらしい。」
「…………………………。」
八雲は黙ったままだったが…瞳の奥で嫌悪と憎悪が揺れていた。
「実はな、ひき逃げの犯人はもう捕まってるんだ。」
書類から顔を上げて…八雲は怪訝そうに後藤を見た。
「何故?」
「自首してきた。…多少は良心が残ってたってところだな。」
「…なら、事件は解決ではないですか?」
「それがな…」
後藤は少しため息をついてから…口を開いた。
「実はな別の部署なんだが、事故現場周辺で夜に検問を敷いててな、それでひっかかかった連中が口をそろえて言うんだ。」
「なんて?」
「『フロントガラスに、女と子どもが張り付いてきた』…って。それと、同じ言葉を聞いている」
「…なんですか?」
「『かえして……』って。」
「かえす?」
「そうだ。」
「…かえすというのは…?」
「分からねぇ。家に「帰して」なのか、何か物を「返して」なのか…」
「何か、無くなったものは、あるのですか?」
「分からねぇ。被害者の鞄は、最初に接触した場所の近くにあった。…が、中身が散乱していた。」
八雲は書類の一点を見つめていた。
「中身の詳細はそこに書いてある。」
「鍵、パスケース、携帯………?」
八雲は眉間に皺を寄せて…そういった。
「そうだ、財布がねぇ。」
「………。で、さっきの話ですか。」
「…そうだ…。」
「ひき逃げの犯人は何て言ってるんですか?」
「…ひき逃げは認めたが…所持品の件は否定している。」
「……………………………。」
八雲は黙って、書類をめくり…添付されている写真を見た。
遺体の写真の写真だが…化粧っ気のない、実年齢より若く見える写真。
傍に移っている小さな手が…血にまみれている。

何か考えるようにじっと…写真を見つめ続ける八雲。

気まずい、沈黙がある

「やぁ。」

その沈黙を撃つ消すように…声がした。



そして…今にいたる。




「さっさと行ってください。僕は暇じゃないんです。」
不機嫌丸だしの八雲を…車に乗せ…後藤は走り出した。





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