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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月19日 (Sun)
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2011年01月25日 (Tue)
locaさまよりお借りしました


あいうえお44題


し:信じています


「う」じゃないんかいっという突っ込みが聞こえてきますが(苦笑)

「嘘つきの優しさ」って難しいよ(苦笑)
「優しい嘘」じゃないんだよー。
「優しい嘘つき」でもないんだよー。
嘘つきキャラ…いねぇー(一応、蛟堂の辰比を考えてますがーまた読んでないし・新ジャンルだし。)

っというわえでランダムで行きます


社宅です。(笑)







「信じてるからね…」
っと…妻に言われて、浮気をしようと思う奴は即刻、別れた方がお互いのためだと思う。
あんな寂しそうに呟かれては、もう何もどうでも良くなる。
「君はバカだ。」
…と、強く抱きしめることに、全エネルギーを費やした。
「あう…」
抗議の声は、無視して…。



時間を遡ること、数時間。
出勤して呼び出されたと思ったら……。
ぴらっと、各々に一枚の紙を突きつけられた。
「はぁ……」
っと、気のない返事をして…とりあえず受け取る…が。
「出張?マジっすか。」
「…………。」
「しかも大阪?しかも泊まり!?」
「………………。」
隣がうるさいがそこは完全無視。
「しかも…斉藤とで!?」
「一人だと心配だからな。では、よろしく」
にっこりと…笑ってはいるが……
二人には鬼がにやりと笑っているようにしか見えなかった…。


滅多なことでは、寄り道なんてして帰らない二人が…
どちらからともなく、居酒屋に足を向けた。
寒いので早く帰りたいが…すぐには帰りにくい。
「もー…勘弁してくれよー…」
「………。」
「一泊二日とか無理ー。」
酒が入ろうが入るまいが…彼はよく喋る。
「せめて一人ならなぁ…。一緒につれていくのに…」
「グダグダ言うな、決まったんだから仕方ないだろう。」
「そんなに割り切れねぇよ。しかも急すぎるだろ」
「そんなもの、だろう。…もう帰るぞ」
「うー…」
もちろん、帰るのが嫌なのではない。
出張を告げた後の…しょんぼりとした顔を見るのがきついのだ。
だが、避けて通るわけには行かず…仕方なく、立ち上がった。
足が重い…。


そんなわけで…どう伝えようか頭を悩ませながら…帰路に就いた。


帰宅して、開口一番にそれを告げた。
「出張?」
「あぁ、大阪に…泊まりで…」
「そう…なんだ。」
しょぼんとした表情をさせてしまった。
それが何よりもこたえる…
八雲は無理やり話しを切り替えた。
「…今、パソコンついてるんだな。」
「あ、うん。」
「住所調べてもらってもいいか?」
「うん。いいよ」
八雲の役に立てるのが嬉しいらしく…ぱっと顔が明るくなる。
「…頼む。」
「うん。任せて。」
「…風呂いってくる。」
「うん。」
パソコンに向かう彼女の後姿を目に焼き付けてから…浴室に向かった。


風呂からあがると、地図やら行き先やらがちゃんとプリントアウトされていた。
「……君にしては早いな。」
「だいぶ上手に扱えるようになったでしょ?」
っと…嬉しそうに言う彼女がほほえましい。
「ホテルの予約もしとく?」
「いいや、それは自分でする。ありがとう。」
八雲はそう言って…プリントアウトされたものに目を通す。
そんな八雲の耳に晴香の声が聞こえてきた。
「大阪って…」
「うん?」
「……歓楽街多いんだね」
何気なく返事をしたそれが…随分沈んだ声で…ぎょっとした。
「……東京ほどじゃないだろ。」
「八雲君…」
言いたいことは、ひしひしと伝わってくる。
だが、それを言い出すのはためらわれた…気にしすぎるのは…帰って怪しい。
「信じてるからね…」
っと…言うか細い声が聞こえてきた。
なんて声を出すんだ君は。
「君はバカだ。」
正面から、晴香の体を抱きしめた。
「あう…」
っと…ちょっと恨めしそうな声がした。
「…苦しい。」
その抗議には…対応した。
腕の力を緩めたが…口の束縛は緩めなかった。
ディープキスをして…。
パソコンの電源をブツリと切った。




そして、出張の日がやってきた。
「…行ってらっしゃい。」
「行ってらっしゃい。」
二人そろって、駅まで送りに着てくれた。
「ん。」
「あぁ。」
「そんな心配しないで、大丈夫だよ。留守番ぐらいできるし。」
「あぁーもう、マジで行きたくねぇー。」
「そんな、斎藤さんに、ご迷惑かけちゃだめですよ。」
「えぇー。」
っと、いうやり取りを隣でされたら、何も言えないし、できない。
そりゃ、でてくる前に目いっぱいいちゃついてきたが…いざ別れになると、やはり少し足りない。
「いくぞ。」
「……おう。」
ちらちらと、電光掲示板を確認して…流石にもう行かなければいけない時間となった。

改札を通る……
ガシャンと、しまったバーがもう戻れないと警告しているようだった。

『いってらっしゃい。』
『いってきます』
何度となく、同じ言葉を交わしたのかわからない。
名残惜しい…
後ろ髪を引かれるというのはまさにこういう状態だろう。

振り返ると、手を振ってくれている。


名残惜しすぎる…。

手を振って……。

階段を上った。



新幹線に乗り込み、自由席に座る。


新大阪まで約二時間半。


早々に、隣人は寝た。


 「俺、志乃がいねぇと寝れないー」

っとぶつぶつ言っていたのはどこの誰だ……。

と、ため息をつきながらも…八雲も眠気に襲われた。




大阪に到着し、ばたばたと仕事をこなす。


仕事をしている間はそうでもないのだが…


ふとした拍子に、妻である晴香の顔が浮かぶ。


たとえば昼食。

せっかく大阪に来た…のだから、何か食べよう…いう話になった。
たこ焼きやらお好み焼きやら、串カツやら…。
いろいろといろ候補には上がったが…

だが結局は立ち食いそば…となった。

そば→戸隠そば→晴香

と連想ゲームをして、ため息をつく。


相方も同じらしく…ため息。

慣れない環境で、若干ホームシック気味である。


瞬く間に、時間が過ぎる。

気がつけば、日が暮れている。東京より日が沈むのが遅い…。

遅くなったが、ノルマを達成した…。

「とりあえず、晩飯食べに行くか?」
仕事が終わった解放感から…真田は背伸びをしてそう聞いた。
「真田…」
「うん、なんだ?」
「…これは古い時刻表だな……」
っと、八雲が持っているのは、会社にあった時刻表。
そして逆の手には携帯を持っている。
「は?…」
「…今からなら…最終の新幹線に間に合う…」
八雲のその言葉に…二人は顔を見合わせて……
近くに止まっていたタクシーに走りよった。
「新大阪駅まで!!」
タクシー運転手が驚くような、勢いで…飛び乗った。




社宅…の斎藤家。

リビングで、お隣さんと映画を見ていた。


朝は駅で夫を見送って…その足でデパートに買い物へ出かける。
夫との買い物はもちろん楽しいが、やはり女同士の買い物ものは…一味違う。
なんといってもまだ、二人は若い。
同年代の大半は一人身で、自分の時間を満喫している。
それに比べれば彼女たちの時間は…大半が家族のために費やされる。
息抜きは、必要だった。


そんなわけで…デパートで少し買い物をして、二人でランチを食べる。
外食は、少し贅沢である。家にいるといつもお弁当や前日の残りで済ませてしまう。


そして、DVDをレンタルして…帰宅した。


家のことをして、また合流をしたのは夕食時だった。

どうしても、夜を独りで過ごす…というのが心配らしい夫たちに妥協案を出したのが…これだ。

今日は斎藤家に泊まると、言うもの。


それでもまだ足りないやしく…口を酸っぱくして、いろいろ言われた。
戸締りはきちんとしろだとか…。
日が暮れたら出歩かないだとか。
呼び鈴が鳴っても簡単には出るなとか。
チェーンは必ずかけろとか……。

志乃がやってきて戸締りはすべて確認した。

着替えも持ってきて完全にお泊りモードである。


あまり気を使わないでいいようにっと晩御飯は鍋である。


DVDを見ていると

気がつけばつけば日付が変わっていた。


だが、いいところ…。

こんなところでやめるわけにはいかない。

のだが…

ピンポーン…っと。

間抜な呼び鈴がなった。

二人で、思わず顔を見合わせる。


「だれ…かな?」
「だれ…でしょう?」

まさか、旦那が戻ってくるとは思わない…。

デッキを止めるのもわすれ、携帯を握りしめて…恐る恐る玄関へ向かう。

玄関の電気をつけると、細くドアが開いていてぎょっとした。
チェーンが掛かっている…のでそうなった。
「や…くも君?」
「…ただいま。開けてくれ。」
「ほ…ほんとに八雲君?」
「あぁ。」
八雲の顔が見えて…あわてて開けた。
「…八雲君。…」
ドアを開けて…そこにいたのは間違いなく八雲だった。
「…おかえり、なさい。」
「ただいま。」
そう言うやいなや、晴香をぎゅっと、抱きしめた。
「や…八雲君…」
後ろに志乃がいる事を、知っているので…照れくさい。
「お、お邪魔してます。」
「八雲、玄関でいちゃいちゃしてんじゃねぇっよ。」
前から、後ろからそんな声が聞こえた。
「さ、真田さん…。」
「ただいま、志乃。」
もうひと組の夫婦が、あいさつを交わす。
「もう無理、俺、24時間離れてるとかできない。」
その発言に…その猫なで声と…発言に本人以外が固まった。
「じゃ、そういうことで。」
っと、満面の笑みで真田は言った。
寝間着姿の志乃をしっかり抱きしめて。
「あぁ。」
こちらも、しっかり晴香を捕まえている八雲。
「さ、真田さん。荷物がっ…」
「明日取りに来る。じゃな。」
「あぁ。」
こういう時考えている事は同じらしく…すぐに玄関のドアが閉まった。
「…ただいま。」
「…今日、は泊まるんじゃなかったの?」
「時間があったからな…帰ってきた。いや、帰ってきたかった。」
「………うんっ。」
八雲のそのセリフに…とても嬉しそうに晴香はうなずいた。
「入ろう。」
「うん。」
ようやく離してくれた、八雲の手を握って…リビングへ向かった。
「あ…」
そこでようやく、テレビがつきっぱなしだった事に気づく。
「DVD、見てたのか?」
「うん。」
八雲はデッキの時間を見た。映画なら二時間半。
「…続き、見てていいぞ…。」
いそいそとリモコンに手を伸ばす、晴香に向かって八雲はそう言った。
「え?」
「それが、終わるまでに風呂から出てくる。」
それを宣言するということは、つまりはそういうこと…で。
「…じゃぁ、言ってくる」
ニヤッと、意地悪く八雲は笑った。
「…早く…ね。」
以外にも、そんな言葉が聞こえてきて…思わず足を止めた。するすると、ネクタイを外しながら。
「私も…さみしかったから…。」
と…もじもじしながら…彼女は言った。
「君はバカだ。」
そう言い残して…浴室へ向かった。
珍しく、八雲の顔が真っ赤だったのは誰も知らない。

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