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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月08日 (Wed)
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2006年04月22日 (Sat)
初、SS投下です。
私は基本的に糖度は高めですので。ご注意を



また、あいつか……。

八雲は晴香の気配を感じて読んでいた本から視線をドアに向けた。

「八雲君。お花見に行こう!」
入ってきたのは予想通りの人物。
「…いきなりやってきてそれか?」
迷惑そうな顔で首を掻いている八雲。
「なによ。折角お天気だから出かけるの!」
お弁当も作ったんだから…と手に持っていたバスケットを八雲の目の前、机の上に置く。
「僕の予定を勝手に決めるな」
「予定なんてないくせに~」
いーっと歯を見せる晴香を見ながら眉間に皺を寄せる八雲。
図星だ。と晴香は思った。
「僕は花見は好きじゃない。」
「どうしてよ?」
「君に言ったところで、分かるはずがないだろう。」
「言ってもみないで決め付けるのは八雲君の悪い癖よ。」
「じゃぁ、自分勝手に予定を決めるのは君の悪い癖だ。」
う~~っと…少し唸る晴香。
それは確かに押しかけたのは事実だけど、そんなに嫌がらなくてもいいじゃない。
「そもそも、あんな人ごみの中にいく意味が分からない。あれじゃ花見じゃなく人見だ。しかも殆どの人間に酒が入っているんだぞ?そんな場所に君が行けばトラブルになるのは目に見えてるだろう。君はトラブルメーカーなんだ、それを自覚しろ。」
「…………」
八雲の饒舌に口を挟めるわけもなく言いたい放題言われてしまった。
「じゃぁ…人ごみがない花見ならいいの?」
「そんな花見…どこにある?」
「それは…。」
悔しいが、ぱっと思いつかない。
「……まぁ。昼飯をどこかに食べに行こうとは思っていた。」
のっそりと椅子から立ち上がる八雲。
「え?…」
「…なんだ。人に食べせられないような弁当でも作ってきたのか?君は」
にやりと笑いバスケットを片手に出口へ向かう八雲。
「そ、そんなわけないでしょ!?」
慌てて八雲の後を追う晴香。
ほんとに、素直じゃないんだから。


大学を出て歩くこと数十分
「で?君はどこに行こうとしてるんだ?」
「え?八雲君がどこか行きたいんじゃなかったの?」
足を止め怪訝そうに眉をひそめる八雲
「君が花見に行こうと、誘ったんだろう?なぜ僕の行きたい場所に行かなくちゃいけない?」
ごもっとも。でも人ごみのない桜なんて……。
「あ!!八雲君。こっち、こっち!」
思わず、八雲の腕をグイッと引っ張った。
「お、おい。急に引っ張るな」
そうだ、何も桜だけが花見じゃない。
八雲の希望に添える花見ができる場所が。あった。

八雲のために何かしてあげられることが、いつからか嬉しくなった。


引っ張られて数分歩いた。
今、目の前に広がるのは、菜の花畑。
確かに、これも花見…だ。
「ここなら、大丈夫でしょ?」
満面の笑みで見上げてくる。君。
「これも立派なお花見だよ。あのあたりでご飯にしよう?」
そういうと指差した方に向かってご機嫌な様子で歩き出す。
やれやれ、そんな歩き方をしてるから転ぶんだぞ。

「きゃぁっ…」

………いわんこっちゃない。

「大丈夫か?」
そういいながら彼女に近づく。何故か赤い顔で僕を見上げる。
「…平気。」
平気なら、遠慮無く言わせてもらうか。
「君は少しは学習したらどうだ?」
「…こ、こけたくて、こけるわけじゃないわよ!」
「こけたくて、こけるやつのほうが利口な気がしてくるね」
「なによそれ!」
「それだけ元気なら心配ないな。」
にやりと笑って見せるとはっとして立ち上がる彼女。
どうやら怪我はしてないようだ。
「大丈夫。怪我はしてないよ」
何が面白いのか笑ってそういう。
「この程度で怪我なんてしてもらっちゃ困る」
そういうと先に歩き出す。
「あ。待ってよ八雲君」
後ろから彼女の声がする。

いつからか、この声が心地いいと感じるようになった。



続きます(苦笑)
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