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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2025年03月10日 (Mon)
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2010年10月11日 (Mon)
・怪我と涙と包帯と…

2巻にこういうシーンがあればいいなぁ~その2。


手当て。NOTカップル

また真田が無茶して怪我しました。


・kiss me…。


キス話。ひたすらキスしてラブラブしてます。
ちなみに志乃ちゃんは公香姉さま宅で生活してます。



・塔獄~焦燥と願望~

さてさて、作品はシリアスです(笑)

志乃→真田
志乃ちゃんのイメージは…
漠然とですが人魚姫。
脚リハビリ中、で志乃はまだあの家に暮らしてます。



・怪我と涙と包帯と…

「っ――…てぇ…。」
傷に消毒液を含ませた脱脂綿が触れて思わず声をあげた真田。
「痛くないわけありません。」
少し怒ったような声が聞こえてきた。それは正面に座った志乃のもの。
「もうちょっと優しく…」
「充分優しくしてます!」
またまた怒ったような声でそう言うと傷全体に消毒液を塗っていく。
しばらく痛みに耐える真田のなんともいえない声が部屋に響いた。
「もう、終わりましたよ。」
ピンセットを置いて…志乃がそう言った。
「どうして毎回無茶ばっかりするんですか…。」
ガーゼで傷口を覆いながら、相変わらず怒ったように志乃はそう言った。
「今回はましなほうだろ。」
大きな擦り傷を作ったがそれ以外は無事である。
病院にも行かなくていい程度の傷なのでこうして手当てをしている。
右腕なので自力でするのには少し難しいため、今の状況である。
「ましとか、ましじゃないとか…そういう問題じゃありません」
そう言うとその上から包帯をぐるぐると巻き始める。
「志乃は大げさなんだよなー。」
確かに大きい傷ではあるが、包帯を巻くほどのものではない。ガーゼをテープで止めておけばいい程度のものだ。
「動かないでください、上手く巻けません」
睨むように志乃は真田を見た。
「はいはい。」
包帯などまいたことないのだろ…。
何度か手当てをしたもらった事はあるが…志乃の巻く包帯は多少ずれる。
「もう、わかってますか?真田さんが暴れるから包帯巻いてるんですよ!」
「暴れるって…志乃ちゃ~ん、そりゃないぜ。」
「暴れる以外の表現が見当たりませんっ。」
包帯をぎゅっと結び終えて…志乃がそう言ったやっぱり少し歪んでいる。
「……怒ってる?」
「怒ってます。」
志乃はそう言ってぱたんっと救急箱のふたを閉めた。
「…もう少し、自分を大事にしてください。って何度言ったら聞いてくれるんですか?」
「俺はこういう性格だから…。」
「はぐらかさないでください。」
「はぐらかしてない。」
「正義感が強いのも…人が傷つくかも知れないのを…黙ってみる事ができないのも知ってます」
「志乃は俺のこと、ちょっと美化しすぎじゃないか?俺は無鉄砲なだけだぜ?」
「………。分ってるなら改善してください…。」
「志乃が心配してくれてるのは知ってる…つもり。だけどさ…」
「だけどはいりませんっ。」
そう言うと…沈黙してしまう。
「………志乃…。」
その呼びかけにも…答えない。
ナイスかバッドか…分らないが公香と山縣が戻ってきた。
「また、喧嘩してるの?」
2人のその様子を見て、公香が呆れたように言った。
「喧嘩じゃねーよ。」
「じゃ、志乃ちゃん苛め?」
「いじめ…って…人聞き悪いこというなよな」
「だってそうでしょ。いっつも泣かせてるんだから。」
「泣かせる…?」
公香の言葉を反芻して…志乃を見やる真田。
「なっ…ないてませんっ!」
慌てて、志乃がそう言った。でもその瞳には涙の膜が張っている。目も赤い
「…………。」
「ほーらー。な~かせた」
小学生かと突っ込みたくなるような口調で公香が言う。
「なっ…泣いて…」
それから先を言うより早く君かの言葉が重なってくる
「好きな子苛めて泣かせるなんて幼稚園児レベルよ真田。」
「だーかーらっ!なんで俺が苛めてるようになってんだよ。」
「それを自覚してないなんてだめねー。」
大げさにため息を付いてそう言った公香。そういわれるとなんだか負けた気がする。
「…兎に角。」
ここではじめて山縣が口を挟んだ。
「真田は少しは怪我を減らせ。お前の治療費がバカにならない」
「そうよー。アンタの給料がないのはいいケド、あたしや志乃ちゃんのお給料までもってくんだから。」
「はいはい。気をつけますよ。」
真田はそう言うとぴょんっと跳ねるようにして椅子から立ち上がった。
「ちょっと。どこ行くのよ。」
「バイクの整備。」
そう言うと返事を待たずにドアから出て行ってしまった……。
「全くもう…。」
公香は溜息とともにそんな声を吐き出した。
志乃が真田の出て行ったドアをじっと見つめている。
「苦労するわよ。あんなのに恋したら」
「え…?」
目があった二人。視線は公香の方が随分上。
「もう遅いかな?」
にやっと笑った公香に…志乃は何も言い返せなかった。

恋してるのは、事実だから…。


・kiss me…。



近距離の顔はまだ恥ずかしい。

じっと見つめられるのも…。実はまだくすぐったい。

じっと見つめるのも…同じ。

だから目を閉じた。

「ん。」

そんな声がして唇が押し付けられる。

下唇を甘噛みされて…一旦離れる。

でもすぐに触れ合う。

啄ばむようなキスやただ押し付けるだけのキスがほとんど。
でも、それが好き。

不意に髪に指が絡んできた。頭を撫でるように動く手。
すごく…大事にされてるっと…実感できる瞬間だった。

同じぐらい大事に思ってるのを伝えたくて…
それと、同じ動作をするように腕を回した。

短い髪の毛が掌に…指に触れる。
くすぐったいような…幸せ。

「!」

もうっ…。

なにするんですかっ…という意味を込めて、くいっと髪の毛を引っ張った。

そうしてこっちから唇を押し付ける。

項の窪みを撫でられば誰だってくすぐったい…何もあたしが特別じゃない。

…笑ってる。

「なにが…おかしいんですか?」
「なんでもないよ。」
不満を込めてそういったのに…笑ってごまかされた
そうして…キスされた。

もう…。

ふっと…笑いとともに息が漏れて…もう一度キスをされた。

長いキス。

なかなか離れなかった。


唇が、キスの合間以上に離れた。

目を開けると微笑しているのが見えた。

………上手く笑えてるか、まだ自信が無い。

「…なんか…今日は甘い。」
そんな声が降ってきた。
「え?」
見ると自身の唇を指でなぞっていた。
「あ…。」
彼の指についたピンクのものは…自分の口紅だった。「…口紅です。」
さっきまで、外に出ていたからそれなりに…化粧はしている。
公香さんにはもっとしても言いといわれるけど、彼にはしなくていいといわれてる。
これ以上、可愛くなってどうするんだ…とか何とかいう理由…。
普段の会話でいわれるから、未だにどう反応していいか…分らない。
「ふぅん…。」
暫く指についたそれを眺めていたが何を思ったのかぺロリとそれを舐めた。
「…意外と…旨い。」
そしてそんな感想を口にする。
「食べ物じゃありません。」
そう言うと声をあげて笑った。
「志乃は真面目なんだよなー。」
そう言うとまた唇を重ねてきた。
多分、この行為に対して飽きという単語はないんだろう。

……あたしも…嫌いじゃないけど…。

そんな事を思っているとまた甘噛みされた。下唇
「!?」

舐められた。

「っ…。」

次は多分上…っと分っているけどどうしたらいいのか分からない。
はむっ…っと噛まれて舌が這う。

楽しそうに…笑っているのが分かる。

………。

まだ、そんなに余裕が無いのはわかってるくせに…ずるい…と思う。

「っ!?」

ディープキスは…しないでって…言ってるのに…。

目を開けると…してやったりというように…笑ってる。


直視…出来ない。



「まだ、慣れないんだな。こっちは」
苦笑してそう言うのはいつもの事だ。
「慣れません…慣れるほうが…おかしいですっ。」
肩口に頭を乗せてそう言う。若干不満を込めて。
「しないでって…言ってるのに…。」
いつもみたいに抱き上げられて…そのまま椅子に座った格好。
90度の位置にお互いの顔がある。
嫌でも、顔が見える…。

………。嫌じゃ…ないけど…。

「怒んないで、志乃。反応が可愛かったから…」
「……。絶対楽しんでますよね…。」
「バレた?」
っというものの、悪びれた様子はない。多分、悪いと思って無いんだろう。
裏表のない人だから…。悪いと思っていることはしない。
「…会話ができなくなるから…しないでください」
「俺、こうして見てるだけでもいいけど?」
「あたしが嫌なんです!」
そう反論すると声をあげて笑った。
「……。真田さんだけ、満足するのは…ずるいです。」
不満をわかって欲しくて、服を引っ張った。
「ごめん。」
まだ笑っていたけど…悪いと思ってくれてるのは分かった。真剣そのものの声だったから。
「志乃も満足するようにしていいぜ?」
そういうと額にキスをされた。そういわれると…どうしていいのかわからなくなる……。
とりあえず…キスを返した。
そうして…頬に触れ…その上の傷に触れた。
「そこ、触るの好きだよな。志乃」
苦笑するようにそういう彼。
「好き…って、いうか…普段見えないし…あなたが生きて来た、痕だから…。」
そういうと屈託のない笑顔を見せてこういった。
「…減るもんじゃないから、見たいだけ見ていいよ。」
顔を少しそらせて…髪を掻き分けて傷を見せた。
古傷といっても銃創。えぐられたような溝は…火傷のようなっている。
「…痛くないですか?」
「平気。」
近距離でそんな声が返ってきた。
「…治そうって…思わないんですか?」
意外そうな視線が向けられたのが分かる。
「…手術したら、目立たないぐらいにはなると思いますよ…?」
今はそれぐらいできると…。何かで読んだ記憶がある。
「そうだなぁ…」
大して興味がなさそうに顎を撫でて…その傷に触れた。
「別に、コンプレックスを感じてるわけじゃないし…痛みもないから治す予定はないな。」
傷に沿うように指をすべらせる…。指で払われた髪の毛が傷を隠していく。
「それに…。真田省吾(おれ)が皆川靖文(おれ)である証拠…だからさ。いいんだよ。」
にっと笑う顔を見て思った。本当に…この人は強い。
そしてその強さを…あたしにも分けてくれている……。

あなたの強さに…少しでも追いつけたかな…。

「それに、志乃からこんなに顔、近づけてくれることないし?」
そう言われて気がついた…
にやっと…笑う顔がすぐそこにある。

「っ…。」

心の準備が…っ。

できてないうちに、またキスされた。

一度崩れるともう修復はできない。雪崩のように崩れ落ちる。

「うぅ…。」

顔が熱い…。
もう、会話できない。

「んー。可愛いな。」
これももうお決まりになった文句。
何を言われても、もう…しゃべれない。
それより自分を落ち着かせる方が先だから。

「不意打ちはっ…」「ずるい?」
先取りして真田がそういった。
恨めしそうに睨むけど…効果がない……。
それどころか「可愛い」を連呼してくる…。


「あ、ん、た、ら、ね」

バキっと…シャーペンの芯が折れる音とともにそんな声が聞こえてきた。
「ん~?」
楽しそうにそう返すのは真田だった。志乃はまだ赤い顔をして、その腕の中にいる。
「事務所でいちゃつくのやめなさい!」
パーテーションの向うから公香の声が聞こえてきた。
ちなみにここは応接スペース。
仕事が終わって…事務所に帰ってくるなりそのままつれてこられて…今に至る。
「いーじゃんか。俺んちここだし。」
「公私混同はやめてよね。」
「じゃぁ、志乃んちの鍵くれよ」
「いやよ。あたしのうちじゃない。」
「じゃぁいいだろ。」
「よくないっ!」
「妬いてんのか?」
にやっと、楽しそうに笑う真田。こういうときの顔は…本当にやんちゃ坊主である。鼻の頭に絆創膏をはってそうな……。
「誰が!それより、志乃ちゃん返しなさいよ!あんたは終わってるけど志乃ちゃんはまだ仕事があるんだから」
「そこは、俺へのご褒美ってことで。」
「ご、ご褒美って…」
「あんたにご褒美上げる意味がわかんないわよ!いいから、志乃ちゃん返しなさい。」
「ん~。あと1時間。」
「真田っ!」

今日も、事務所はにぎやかだった…。

END




・塔獄~焦燥と願望~
志乃→真田


志乃ちゃんのイメージは…
漠然とですが人魚姫。


脚リハビリ中、で志乃はまだあの家に暮らしてます。

「よぉ。久しぶり元気か?」

「はい…。真田さんも、元気そうですね。」


唐突に訪れるひと時の逢瀬。

いつだって、突然やってきて…喋って帰る。

自分勝手な人。

それでも…

逢えたときは嬉しくてたまらない。

でもそれを出すのは、自分のプライドが許さない。

だからなんでもないように装って…平然と喋る。

最近の仕事の話…面白かったものの話…テレビの話…。

そんな、たわいも無い事ばかり話す。

「じゃぁ、またな。」

「…はい。」

そして、帰っていく……。


またな…っという言葉が甘く響く。






ドアが閉まった途端に襲ってくる

虚無感
脱力感
無力感

そして…

絶望感
劣等感


あなたはずるい……。


逢うたびに…その背中が語ってる。


生きる世界が違う



同じ時間が流れているはずなのにその密度が全然違う。


膝の上で握った手が震えてるけど、あたしにそれをとめる術はない。


「っ……。」

そして落ちる涙を止める術もない。




この家の中があたしの世界の全てだった。

外の事は考えないようにしていた。

あたし1人では何も出来ないのだから…見るだけ無駄だ…と

そう思っていた。



一陣の風。

強烈な風。

窓から吹き込んできた…その風。

そう…あの人は風みたいな人…。

突然やって来てこんなにも心をかき乱す。
…それなのに平然と帰っていく。


ずるい…。




知ってしまった外の人。外の世界


知らなければ、こんなに苦しむ事もなかった……。

それでも…

逢いにきてくれたときの感情の高ぶりは…。

幸福感や…切ないぐらいの嬉しさ

なによりその暖かさは何物にも変えられない…

それはあたしが一番よく分ってる。

だから苦しい。




あの人は麻薬みたい。

身体を…

心を蝕む…。


あたしは依存症。



もう来ないでと…いえたら…どんなに楽かわからない。

言えるわけが無いのに…
なぜそんなことばかり考える。

身を切るほどの痛みに耐えるがことが出来ないのに…
なぜそんなことばかり考える。

甘美な時間を知ってしまってそこから抜け出せないのに…
なぜそんなことばかり考える。

かわりに、待っているのは暗い塔の中の世界。
檻じゃない…塔。

風さえ入らない…塔の中。あるのは天窓だけ。

その窓からひょっこりやってくるのがあの人…。



もっと、頻繁に来てくださいと…
逢いたいときに逢いたいといえれば少しは楽なのに…。

強がっても苦しいだけなのに…

プライドがそれを許さない。

こんなくだらない、プライド…捨ててしまえばいい…。


分っているのに…できない。


脚が動けば……。

脚さえ動けば

あたしも外に出れるのに…

あの人と同じものを…見れるかもしれないのに…。


声と引き換えに、人魚のお姫様は綺麗な足を手に入れました


ずっと昔、読んでもらった悲しい童話の一文。


今ならその気持ちがわかる…。

何か犠牲にしてでも、手に入れたいものが…実際にあるということを…。


多分…これが恋…なんだ。

それはわかる…

でも…それを認めるのは怖い。

そして…


それ以上を望んでしまう自分が…嫌だ。

これ以上望めばもっと苦しいのはわかっているのに…。

これ以上中毒になってどうするの。



またな。

その言葉が麻痺させていく。

あたしはこれから…どうなるんだろう……。



人魚のお姫様は海の泡となって消えました




END


脚のリハビリが上手く行ってないと…こんな事思ってたりしそうです。

ちゃんと志乃ちゃん支えてあげなよ真田。



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