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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月20日 (Mon)
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2010年10月11日 (Mon)
・恋の声

原作後、原作沿いな設定だけどちゃっかり恋人になってます。

真志電話。


・記憶のカケラ

タイムラッシュでシリアス物を書いてみたくなった…。
真田がブルーです。
ネタバレ注意。

仕事中。
……っと言っても

「暇だ。」

思わず口に出たその言葉。

こっちは保険のようなものだし、山縣さんが尾行してるならまず見失う事はない。

そういや…

志乃に暫く逢ってない…。


思ってしまったことは



逢いたい…な。


「俺、真田。志乃だよな?」
「はい。どうしたんですか?」
「あ~…いや、大したことじゃないんだけど。」
「?」
「元気か?」
「はい。真田さんは?」
「俺?元気だせ?」
「腕は…?」
「もうくっついた。」
「くっついたって…そんな簡単に…。」
「だって骨折だろ?」
「そうですけどっ…そんなノリでくっつけたみたいな言い方…」
「っくく………」
「?」


「あ…」


「なんで、笑ってるんですか!」

「だって、糊はないだろ。せめて ボンドとかさ…。」
「そんな…接着剤の話してるんじゃありません!」

「悪い。 あんまりにもさ… くっ…志乃の発想が… 可愛かったから…。」
「か、可愛いって!あたし、真剣に聞いてるのに!」

「だからっ…わるいって…。あーっ…おかしい。」





「志乃?」





「怒った?ごめん。」




「……腕。ちゃんと治った、ギプスも外れたし、痛みも無いよ」



「心配してくれたのに、茶化して悪かった。」





「志」「何か、用事じゃなかったんですか?」


「いや…その……」
「?」





「真田さん?」





「声、聞きたくなった…だけだから。」
「っ…!」


「特に、用事ってワケじゃないんだ。時間取らせて悪かった」




「志乃?」


「そういう事は…実際に逢って言ってください…。」
「え?…」




「…。電話じゃ…嫌です。」


「今から、逢いに行っていいか?」
「え?」
「…そんな可愛いこと言われたら…逢いたくなるだろ。」

「真田さんが…きてくれる…なら。」

「いつでも待ってます。」

「待ってて。すぐいく」
「はいっ。」
「うん。精一杯、おめかししてて。待ってくれな。」

「……おめかしって…」
「あ、その格好を見るのは俺だけの特権な。」




「はい。」



「志乃。」
「なんですか?」
「好きだよ。」





「あたしも…です。」




…………………………………………………。
何、この会話。

こめかみがひくつくのは多分気のせいだ…。
仕事中、車の中で待機していた公香の耳に聞こえてきた会話。
盗聴器から流れてくる…どう考えても…恋人同士の会話。
しかも、両方よく知る人物であるとなると…なんだかむず痒いというか…変な感じだ。
「あの真田がねぇ…。」
どう考えても、バカップルの会話だ。
しかも聞く限り主導権は志乃が確り握っている。あの真田が、尻にしかれてると思うとおかしい。
「公香。動くぞ拾ってくれ。」
そこで、その思考は中断された。
いい暇つぶしにはなった。
「了解。」
これでからかったところが見てみたいというイタズラ心が湧き上がるのを押さえてそう返事をする。
車のサイドブレーキを下ろしたところで無線から響く声。

「山縣さん、少し用事が出来たから抜ける。」
やけに弾んだ真田の声。

「しょーがないね。志乃ちゃん泣かせるんじゃないわよ。」

「え!?」

っという声が聞こえてきたが無視した。

青いわねぇ…っと。

どこか楽しそうに呟いたのだった。


END

盗聴器があのままだったら~なネタ




真田は…今日、朝から様子がおかしかった…。
上の空というべきか空元気というべきか…兎に角、変だった。
それは全員気がついていた事だが、それを言う事は憚られた。
いや、暗黙の了解のような雰囲気に飲まれていたというほうが正しい。
そうして……


今に至る。


事務所に帰ってきて…2人きりになるとますますそれは感じる。
普段饒舌な人が黙るというのは…それだけで何かありますといっているようなものだ。
「真田さん。」
思い切って隣のデスクの真田に声をかける。
「………ん~?」
返事にも覇気が無い…。
「今日どう、したんですか?」
「今日?別に…どうもしてないぜ?」
そこで会話が途切れてしまう。いつもはそんなことないのに。
「でも…今日はどこかおかしいです。」
その台詞に真田は意外そうな表情で志乃を見た。何を言ってるんだというような表情。
「あの、あたし…聞いても役に立たないかもしれませんけど、聞くだけならできます。」
普段なら、正面から見つめない志乃の視線がまっすぐ突き刺さる。
「…………。」
「1人で、溜め込まないでください。」
身を乗り出して言う志乃の必死な声に少し表情が緩んだ。
(本当に、志乃はまっすぐだな。)
「言うだけで楽になることもあります…だから…。」
まだ、志乃の台詞は続きそうだったが真田はそれをとめるように頭に手を乗せた。
「ありがと。」
そう言ってふっと笑いながら…真田は立ち上がった。
「じゃぁ…ちょっと、付き合って。」
そういうと志乃を抱きかかえた。
「え?え?え?」
慌てて真田の服を握るがそれだけでは止まらなかった。
パーテーションで区切られた応接スペースに連れて行かれる。
「ここでいいか。」
独り言のようにそう呟いて…2人がけソファーに志乃を下ろす。
「はぁ…。」
自分もその隣に座って…大きく息を吐き出した。
「志乃…」
「は、はい。」
今から何が起こるのか…全く予想のつかない志乃は上ずった声で返事をした。
「…甘えていいか…?」
え?…っという言葉を飲み込んだ。
多分、言ってしまったらこの人は作り笑顔で誤魔化すんだろう。
その笑顔の下に何を抱えているのか知りたかった。
「あたしで…いいなら…。」
そう言ってその顔を見ると少し苦しそうに…笑っていた。横顔だけでも分る作り笑い。
(そんな、切なそうな顔で…笑わないで。こんなときまで…笑わないで。)
「ありがとな。」
今度は志乃に見せる様に…また笑った。
志乃はぎゅっと…胸が締め付けられるような感覚に耐えていた。
「今日、誕生日なんだ。」
真田の口から出てきたのは意外な言葉
「え?」
「皆川、靖文の。」
あさっての方向…窓の外を見ながら口を開く。
「今朝さ夢、見たんだよ。その頃の。」
夢の単語に心が揺れた。
あれから予知夢は見なくなったが…一度見てしまったものは簡単に消えてはくれない。
「一度思い出すと…いろんなこと、思い出すんだよな…。」

「誕生日は、親父が珍しく早く帰ってくるんだ。お袋がケーキ焼いてくれて…3人でそれ食べるのが恒例。」

「お袋の料理…美味かった。」


真田の言葉に聞き入っていた。
口出しをしてはいけないような…そんな雰囲気に飲まれていた

「喧嘩して帰ってくるたびに、お袋に怒られてさ。無鉄砲と口が悪いのは親父譲りだっていっつも言われた」

ふっと…小さく笑ったのが音で分った。

「曲がった事、中途半端が嫌いなのはお袋譲り。」

「足して2で割るってよく言うけど、俺の場合かけてそのままって感じだって笑ってた」

声が硬くなった…。

酷くぎこちない笑顔が網膜に焼きつく

写真で切り取られたかのようにずっと目から消えない。

「真田省吾(おれ)は0歳児で捨てられて、養護施設で育って…15歳で引き取られた。」

「高校に行ったけどさ、何気ない会話で…親父やお袋の話し…は出来なかった。」

彼の敵討ちは…終わったのだろうか。ふとそんなことを考えてしまった。

「今まで…犯人が捕まってないから…。」

心を見透かしたような台詞にドキンっと心臓が跳ねた。

「迂闊に話すと危ないのと…俺が自分を保つために…考えないようにしてた。」

「…志乃と出逢って…犯人を追っかけなくてよくなったら…途端に怖くなった。」

「今まで思い出さないようにしていたこと…思い出そうとしたら思い出せなくなってそうな気がして…。」

「15年間の…大事な記憶なのに…。俺の中でどんどん…薄れていきそうで…。」

「怖いんだ…。」

動いたと…分ったけど、どこがどう動いたのかは…分らなかった。
耳が身体の全てのようにして話を聞いていたから…。

「靖文の記憶の話しがしたかった。」

顔を伏せて…額に手を当てていると…ぼんやりと理解する。

「ずっと誰かと…昔の話し…したかった。」

「このままだと…アレが全部嘘だったような…」

「夢だったような…気がして。」

夢の単語で一気に覚醒する。ぼんやりとしていた目がちゃんと見える。
項垂れている真田が見える。

「怖かった。」

怪我をしても、どんな危険でも弱音をはかなかった彼の…はじめて聞いた弱音。

無性に…愛おしかった。

その原因を作ったのが、自分の家族だとしても…。

「誰かと…話がしたかった…んだ。」

声が、少し震えているのは気のせいだ。多分彼はそれを知られるのを望んでいない。

「話しましょう…真田さん。」

投げ出された…右手に両手を添えてそう言った。

「あたしも話したい…です。両親の事…」
今、暖かい記憶が胸を満たしてる。
誕生日の記憶。
12歳より前の記憶…。
大好きな家族だと言えたころの記憶…。
「忘れたくないです…。だから…」
顔をあげて…まっすぐ真田を見つめた。
「話しましょう…こうやって…あのときみたいに。」

『ご両親は、どんな方だったのですか?』

『あんたのお袋さんは、どんな人だったんだ?』


「辛い事も…あるけど…2人なら…きっと…大丈夫です。」
ぎゅっと…その手を握ってそう言った。
1人じゃなければ大丈夫だと思える。
綺麗事かも知れないけれど……。
「そう、だな。」
顔を上げた真田と目が合った。
疲れたように、ゆっくり微笑む。
でも…あの痛々しい微笑じゃない。
「…ありがとう。」
腕が伸びてきて…緩慢な動作で抱きしめられた。
熱い身体に包まれて…じわりと胸の奥が熱くなった。
トクントクンッと…心臓の音が聞こえる…。
「志乃に話して…よかった。」
耳元で囁かれた言葉が嬉しかった…。
あたしにもできることがあるっと…認めてもらえたことが…嬉しい。
「泣いて…いいぞ?」
ぽんぽんっと優しく頭を叩かれた。
「え?」
「…泣きそうな顔、してる…。」
上からそう聞こえてきた。
「平気…です。」
「嘘、つけ。」
「嘘じゃ…」
それ以上いえなかった。
抱きしめる腕の力が…急に強くなり、苦しいぐらいに抱きしめられた。
「………ごめんなさい。」
皆川家をばらばらにしたのは自分の祖父であり、父である。決して許される事じゃない。
「ごめんなさい……。」
謝って、どうなるものでもない。
たとえ過去に戻れたとしても何も出来ないだろう、それでも謝らずにはいれらなかった。
「ごめんなさいっ…。」
三度目で更にきつく抱きしめられた。
もう何も、考えられない………。

その胸に顔を埋めて、泣いた。

ぽとりと、落ちてきた水滴はきっと気のせい………。




あたしが背負っていかなければいけない罪の重さを忘れないためにも…
記憶を、薄れさせてはいけない…。


「過去を悔やむのはナンセンスだ。」

「だから、過去を教訓にさ…一緒に未来を生きていこう…。」




END


名前って、アイデンティティの最たるものかなぁっと…思います。
それを変えなきゃいけない辛さ。
暖かかった家族を忘れなきゃいけない痛み。
ずっと耐えてきたのかなっと…思います。

同年代の…皆川靖文を知ってる志乃にはこういう話もしてるんじゃないかなっと…。

公香が知ってるのは、真田省吾だけですから…。






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更新お疲れ様です。
誕生日って、二十歳過ぎるとお祝いされても気恥ずかしいです。
女性は特に祝われたくないって傾向を感じます。
(昔、一年生きるのと残りの寿命が最低一年、もしくはそれ以上減るのはイコールだと、砂時計で例えられて、恐怖すら覚えたし。)

物騒な世の中を生き抜いたのに、健康にも恵まれているのに、
「死ななければ、ほっといても歳を取るもんだ」
なんて、傲慢な考えも抱いてしまったり。

でも、名前を捨てて別人になるということは、重ねてきた記憶もまるごとデリートされるんですよね。
【改名】のキーを押してごみ箱行き。幸せも悲しみも含むすべての思い出が【消える】。

なんて、悲しいんだろう…。
2010/10/12(Tue)01:12:44 編集
Re:更新お疲れ様です。


哀さん。
こんはんはー。こっちではお久しぶりです(二度目)
誕生日はまさにそう。二十歳すぎたら年忘れた綾です(苦笑)今年で何歳だ??(爆)
綺麗に年を重ねたいけれどそれはなかなか難しい。努力を怠ると、本当におっしゃる通り、ほっといても年をとる。
何か実りある時間を送りたいとおもいつつ…。
とりあえず、私は書こうと思います(笑)うちの子も、八晴も含め!
やぱり…おっしゃる通り、思いでをなかったことにするのは切ない。
あの事件までは普通に生活して、それなりに仲のいい家族だっただろうからなおさら。
真田は強いなぁ…っと思いながら。書きました(随分昔の話ですが・苦笑)
コメントありがとうございました!

【2010/10/17 20:13】
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