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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月20日 (Mon)
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2006年12月23日 (Sat)
なにやらお久しぶりです。
うん、クリスマスネタが…いきづまってます。
というか…私の書くので需要があるんだろうか(鬱)
同棲設定も…そうじゃないのも………。

黒八雲、好評なのですが。やっぱりエロス抜きには書けないので一時封印(苦笑)
というか…甘いネタがないので今日は暗いです。


6巻後設定。



一応、原作どおりの友達以上恋人未満で。



映画研究同好会のドアを開けると、八雲がいつもに位置に居た。
八雲には2度も何もいわずに居なくなってしまった前科がある。
今度から言って行くといったがそれでも、ドアを開けるたびに不安になる。
「やぁ。」
でも、居てくれた。
晴香はそう思いながら中に足を踏み入れる。
「あぁ。」
八雲はチラッと晴香を見ただけで作業に戻っていった。
「何してるの?」
いつも何も置いてない机の上に今日は物が散乱している。
よく見ると葉書の山が机の隅を陣取っていた。
「………。見て分からないのか?」
そう言って手元にあったはがきをその山へ乗せていく。

“喪中につき年末年始のご挨拶ご遠慮申し上げます”

その字が晴香の目に飛び込んでくる。
「………。そっか…」
いつもの場所にストンと腰を下ろして晴香は呟いた。
「喪中…なんだよ…ね。」
居なくなったなんて信じられない分、不意に襲ってくる現実はダメージが大きい。
「叔父さんがマメな人で助かったよ。ちゃんと誰に出せばいいか分かる。」
そういいながら手元にあったノートのページをめくる。そこにはびっしりと手書きで住所が記されていた。一心さんらしい、几帳面な字。
「…私で…手伝えること、ある?」
「住所書き。手伝ってくれるか?」
「任せて。」
晴香はそう言って筆箱を取り出した。


「……どうすれば。終わるんだろうな。」
八雲のそんな独り言は、ペンの走る音しかしない部屋の中で嫌に大きく聞こえた。
「え?何?」
晴香の問いに八雲は驚いたように顔を上げた。聞こえたとは、思っていなかったんだろう。
「いや、なんでもない。」
ふいっと、そっぽを向きそっけなくそう言う八雲。
「…またそうやって、隠すのね。」
晴香の声は少しだけ悲しみを孕んでいた。
「ねぇ。教えてよ…何考えてるの?」
暫く沈黙があったのち。ふぅっと…細いため息が漏れた。
それは八雲の、観念の合図。
「…僕と、あいつとのいたちごっこは…いつになったらおわるのか…と思っただけだ。」
「え?」
「…幽霊であるあいつをどうにかできる術を僕たちは持っていない。そしてあいつが僕の身体を諦めることはないんだろう。」
八雲が何を言いたいのかなんとなく分かった、だが…
「八雲君…。まさか死のうなんて…おもってないよね?」
思っている事をそのまま言葉に出す晴香。回りくどい聞き方はしたくなかった。
「大丈夫だ。自暴自棄になってるわけじゃない。」
苦笑しながら晴香にそう返す八雲。
「だけどな、現実問題…これからどうなるんだろうって…思ってな。」

あいつからの攻撃には、立ち向かえる自信はある。

そして、大事な人を守る覚悟もある。

それでも…いつまで続くのだろう。

この、堂々巡りは…いたちごっこは…。


いっそ…

いっその事…入れ物であるこの身体が朽ち果ててしまえばあの男も諦めるんだろう…。


この身体が…。


この目が…なければ。


「八雲君。」
そう、聞こえたかと思うと右手にぬくもりを感じる。
八雲がびくっとしたが晴香は構わず、その手を強く握り締めた。
「八雲君。…は答えを急ぎすぎてるよ」
「……………。」
「未来のことなんて、皆分からないよ…考えても、分かりこないよ。」
晴香の声が微かに震えているのを八雲はまだ気付いていない。
ただ、添えられた手がやけに熱かったのだけははっきりと感じていた。
「未来は今より、大事なものなの?」
ぽとりと落ちた涙を八雲は見逃さなかった
「おい?」
「ねぇ、いまここに八雲君が居る。それだけ…じゃ、だめ…なの?」
ぎゅうっと…強く強く八雲のを両手で包む晴香。
そうしなければ、再びどこかへ言ってしまうような気がした。
「ごめんね、支離滅裂で…でも…。未来に絶望するよりも、今を精一杯生きて…ほしいよ?」
「………。」
八雲は黙ったまま、うつむいていた晴香の顔を上げさせた。
頬が涙で濡れていて…その様子を見て八雲の表情が強張った。
「泣かないで、くれ」
どうしたらいいのか分からないのか、困ったような表情を浮かべながら晴香を見る八雲。
「ごめっ……でも。」
「分かってるなら、…泣くな。」
ゆっくりとした動作で…晴香の肩に手を掛け…そっとその肩を抱き寄せた。
びくっと晴香の身体が強張ったが、それも一瞬。されるがままに八雲に身を任せた。
押し当てられた胸からトクントクンと…八雲の心臓の鼓動が聞こえる。生きている証。
「……。安心しろ、いなくなったりしない。」
「ん……。」
「だから、泣くな。」
「ぅん…。」
子どもをあやすみたいに髪を撫でられる。
「ほら、もう泣き止め」
このぬくもりにもう少し包まれていたかったが、これを逃したならなんとなく顔を上げにくくなる。
晴香は目を擦って八雲を見上げるべく寄りかかっていた身体を起こす。
「…大丈夫、だよ。」
上手く笑えたかどうか分からないが今できる精一杯の笑顔を浮かべてそう言った。
八雲も安心したように表情を緩める…が。
「よくもまぁ、そんな楽天家になれるな。」
次にでてきたのはそんな言葉。
それが八雲お得意の皮肉だと気付くのに暫く時間を要した。
「それ!どういう」「だが、それが羨ましい。」
すっと…立ち上がりながら八雲がそう言った。
「え?」
今度の晴香の問いに八雲は答えず、部屋の隅に掛けてあるコートに袖を通し始めた。
「…八雲君?」
「なんだ?ぼけっとするな。はがき出しに行くぞ」
それは、暗に付いて来いと言ってるわけで。
「あ、うん」
トントンっと丁寧にはがきを揃え輪ゴムでとめ、コートのポケットに突っ込む八雲。
「行くぞ。」
「あ。もう、まってよ!」
部屋を出て行く八雲を追いかける晴香。そうしてそっと八雲の手を握った。
八雲はそれを振りほどきはしなかった。


今が私にとって一番大事な時間。


END



実際先生はどうやって終わらせるつもりなんでしょうかね?
いや、まだまだ終わってほしくないですけど。
親父殿がすんなり消えました。ってのだけはして欲しくない。
ひっぱってるんだから、ちゃんと納得の行く形で閉めてほしいです。


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