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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年11月16日 (Sat)
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2006年12月24日 (Sun)
拍手のお返事は後日します!


とりあえず、同棲設定じゃない。
クリスマスを!

随分悩みましたが、6巻後…設定。


12月24日日曜日


八雲は変わらず映画研究同好会の部屋に居た。
世間じゃクリスマスだのなんだのと浮かれているがこの男は一切無関係を装っていた。
装うというか、本気で興味が無いのだろう。
午後になって活動をはじめ、適当にその辺に買いだめしているレトルト食品で食事を済ます。
そして、読みかけの本に目を落とし読書に没頭する。
今日は日曜日。
サークルの活動拠点であるここも、今日ばかりは静かである。
そんな中…。たったった…と音がした。明らかに足音。
「………。」
携帯の時計を見るともう日が沈もうかという時間。そういえば腹もすいた。
八雲は大あくびをしてゴキッと首を鳴らした。
「やぁ。」
ドアが開くのとそれを彼女だと判断するのとがほぼ同時。
「………。」
やっぱりコイツか。そう思いながら八雲はゆっくり立ち上がった。
「やっぱりここに居た。」
満面の笑みを浮かべて晴香がそう言った。
「日曜日まで学校に来るなんて君もよっぽど好きなんだな。」
そういいながらもコートに袖を通す八雲。ポケットに財布がある事を確認する。
「折角逢いに来たのにその言い草?」
「…別に、逢いに来いなんていった覚えはない。」
しれっとそういい、冷蔵庫から鍵を取り出す。
「どこか行くの?」
「夕飯の買出しだ。閉じ込められたくなかったらさっさと出るんだな」
そう言うとすたすたと歩き出してしまう八雲。
閉じ込められてはたまったもんじゃない。
晴香は慌てて部屋を出た。
「で。どこまで買い物行くの?」
早足で歩き出した八雲に付いていきながら晴香が問うた。
「…付いてくるつもりか?君は」
露骨にいやそうな顔をする八雲。
「何か都合でも悪いの?」
「あぁ。悪いね、君は何もないところからトラブルを掘り出してくるからな。一緒に居たら無条件で巻き込まれる。」
「ちょっと!それどういう意味よ!」
「それぐらい考えたらどうだ?」
皮肉交じりに笑いながら、八雲は歩を進めていった。
それは本来の彼の歩度なのだろう、随分早い。晴香は遅れないようにするだけで精一杯だった。
「もう、八雲君!待ってよ。」
「……足の長さの問題だ、仕方ないだろ」
ふふんと笑うように八雲がそう言った。
悔しかったので晴香は思い切り脇腹を突いてやった。


大学から繁華街へ向かって伸びる道を歩いている時だった。
流石に八雲も観念(?)したのか歩度を晴香に合わせて…2人並んで歩いていた時。
クラクションが鳴らされる。振り返れば、見慣れた車があった。
「おう、八雲。デートか?」
車が隣について運転席から後藤がぬぅっと顔を出してきた。
「後藤さん。」
晴香が驚いたような声を上げる。
「……ブタは色盲なんでしたっけ?」
嫌味たっぷりに八雲がそう言った。底心嫌そうな顔。
「誰がブタだ!」
「…どこをどうやったらこれがデートに見えるんですか。」
やれやれと有用なジェスチャーを見せる八雲。
「後藤さん、またトラブルですか?」
「またってなんだよ。晴香ちゃん。」
少しふてた様に言う後藤。
それがなんだかおかしくて思わず笑ってしまった晴香。
「八雲、ちょっと付き合え。夕食ぐらい食わせてやるから。」
晴香に笑われてさらにムッとした表情になった後藤が八雲に向かってそう言う。
当の八雲は、その言葉に思考をめぐらせていたが。
「コンビニ弁当じゃ許しませんよ。」
そういいながら助手席に乗り込んできた。それに続くように晴香も後部座席に乗ってきた。
八雲が一瞬嫌そうな顔をしたが晴香は見ないふりをした。


向かった先はとあるマンション。
「いい加減、状況説明してくれませんか?」
助手席から降りた八雲がそう言う。
「何度も言ってるだろ。先入観なしで見てもらいてぇんだ。だから説明は後だ。」
こちらも運転席から降りた後藤がそう返す。
「ごちゃごちゃ言わずについて来い。」
そう言うと先にたって歩き出す後藤。
「まったく…」
そう毒づきながらも後藤に続く八雲、そしてそれに続く晴香。
特に会話も無く、3人は黙々と歩いた。
「ここだ。」
その扉を指差す後藤。表札は後藤の影になって見えない。
くいっと顎で入れと促す後藤。
「………。」
それに促されるままドアに手を掛け、ドアを開けた。
それと同時に何かの破裂音そして
「メリー、クリスマス!」
そんな声が…八雲の耳に飛び込んできた。
「………………」
ぽかん…と。随分間抜けな顔をした八雲が、クラッカーをかぶっていた。
玄関には敦子と奈緒が居た。
「あははっ!!やったね!奈緒ちゃん!」
八雲の後ろから聞こえてきた晴香の声。 
「お兄ちゃん。メリークリスマス!」
奈緒がそういいながら八雲に飛びついてきた。
「…………。」
未だに、状況が飲み込めない八雲。
「ほらほら、早く入って。もう準備はできてるわよ」
敦子が笑いながらそう言った。
「……」
ようやく状況を理解したのか後ろの後藤と晴香をジト目で睨む八雲。
2人してしてやったりの顔。晴香に及んではえへへ…と笑いながらブイサインなどしている。
八雲がやられたといわんばかりに頭をがりがりかく。
「さ、奈緒ちゃん。準備しようか?」
敦子がそういい、同じようにして奈緒に話かけたんだろう。
八雲の傍を離れて敦子の元へ奈緒が走っていった。
「早く入れよ。八雲、クリスマスだ。」
そう言うと先に家の中に入る後藤。
さっきまで、巨体で見えなかった表札にはしっかり後藤の文字が刻まれていた。
「嵌められた。」
八雲が呆れたようにそういう。
「ね。早く入ろう?皆待ってるよ?」
八雲の背中を押しながら晴香がそう言った。
「…皆?」
「そう、石井さんも真琴さんも…畠さんは忙しくてこれなかったけど…皆いるんだよ?」
「………。」
「八雲君を驚かせようと思って、準備したんだよ。ね?入ろう?」
「……。クリスマスによくもまぁ、そんなに集まったな。」
苦笑を浮かべながら八雲がそう言う。
「だって、家族じゃない。」
後ろから聞こえて来た晴香の言葉に八雲は目を丸くした。
「家族と過すのは当たり前、でしょ?」
そう言って、ひょっこり八雲の顔を覗きこんだ晴香。
「?どうしたの。そんなに驚いて。」
八雲が驚いているのに晴香が驚いた。そんなに驚かなくてもいいのに、と思う。
そうこうしているうちに身体を句の字に曲げ八雲は笑い出した。
「???」
「君の…家族の定義は広いな。」
おかしくてたまらないといわんばかりに笑いながら八雲が言う。
「なによ。血のつながりだけが、一緒に住んでることだけが、家族の定義じゃないでしょ?」
八雲に笑われて面白くない晴香は膨れてそう抗議をする。
「君みたいな妹がいたら、手がかかってしょうがないね。」
ようやく笑いを収めて八雲がそう言う。
「なによっ!それ」
「ははっ。言葉通りだね。」
「私のほうが生まれるの早いんだから八雲君が弟でしょ?」
「冗談じゃいない。ドジな姉はいらないね。」
「む~~っ!!」
楽しそうな笑い声は玄関のドアの向うに消えていった。
玄関が閉じる瞬間、脇腹を突かれた八雲が変な声を上げた。





続きます(え)

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無題
はじめまして、葉月といいます。
綾さんの八晴はすごく面白いですね!
これからも応援させていただきますので、頑張って下さい!
葉月 2006/12/27(Wed)22:36:08 編集
Re:無題
葉月さん
始めまして!コメントありがとうございます。
面白いという褒め言葉は私の記憶する中で始めてな褒め言葉なきがします!(違ってたらどうしよう・笑)
なのでなにやら新鮮な気持ちでコメント読ませていただきました。
応援に答えられるかどうかは分かりませんが、自分なりに頑張りますので!
お付き合いいただければ、幸いです。
【2007/01/05 15:21】
無題
綾さんの八晴大好きです!頑張ってください!
あんこ 2006/12/25(Mon)22:04:27 編集
Re:無題
あんこさん
綾です。率直なコメントありがとうございます!
気の向くままに書き散らしているので、いろんな八晴が居ますが(苦笑)
その中でひとつでもお気に召したものがありましたら光栄です。
拙サイトではございますがこれからもよろしくお願いいたします。
【2007/01/05 15:21】
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