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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月20日 (Mon)
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2010年08月04日 (Wed)
豪華(?)二本立てでお送りします。八雲誕生日話。

ひとつは昨日の続き。
こっちは本編ぐらい、ちょっと素直な八晴です。

もう一つは、たとえばこんな誕生日~社宅編~ です
こっちは…甘いというか、八雲が晴香大好きかな(笑)


あはは(笑)
たとえばこんな誕生日~マリンスノウ編~を書いてますが長くなったので分断。
うちの子が好きすぎるんだ(笑)


そんなわけでカテゴリー分類がわかんないけど、とりあえず社宅にしてみたり。

社宅設定の真志はどこで書くべきか…なぞ(笑)




泊まってもいってもいいと…一心は言ってくれたが晴香はそれを辞退した。
たまには家族水入らずで過ごさせてあげたかったのだが…みると、八雲も帰る支度をしている。
「八雲君かえるの?」
「見張りだ。」
そういうとさっさと玄関っから外へ出てしまった。
要するに送って行ってくれるらしい…。
とことん素直じゃない。



そんなことを思いながら…晴香は帰路についた。
八雲がいるため自転車を押して歩いている。
「まだ、暑いね。今日、熱帯夜かなぁ。」
「そんなこと僕に聞くな。」
八雲はそっけなくそう言ってすたすた歩く。
「もう、八雲君はいちいち文句が多すぎ。」
八雲の隣に並んで…晴香は歩いた。
どうやら、あまり会話をするつもりはなさそうだったが…晴香は話を振った。
「まだ怒ってるの?」
「怒ってない。」
「お化け屋敷みたいなことしといてよく言うわね」
反論したそうに口を開いたが…八雲はやめた。
理由を問われて…照れくさい…意外のもっともらしい理由が思いつかなかったのだ。
晴香は、そんな八雲をみて…小さく笑った。
「何を笑ってるんだ、気持ち悪い。」
「気持ち悪いって…もう。」
怒って見せたが、八雲は意に介さなかった。
ほんとにもう…っと…晴香は小さくつぶやいた。
やっぱり素直じゃないし、テレを隠すのにぶっきらぼうになるし、することにいちいち文句をつけるけれど…
それでも、こうして送ってくれる。
それは、やっぱり優しさで…少なくとも、怒りが帳消しになるぐらいは誕生会を良しとしたと、考えていいだろうか。
決して素直じゃないけれど、今日、八雲が笑ってたのは嘘じゃない。
ふと思った事がある。
アドレスに誕生日を入れていた理由について…だ。
一番は、覚えやすいからだろう…そして、八雲にはそれ以上何もないのかもしれないけれど…。
知ってほしかったのではないかと…晴香は思う。
自分に都合のいい考え方だけど…。

だから、自分は八雲の誕生日を祝いたいのだ。

特別な…とっても特別な日だから。

「………。歩きながら寝てるんじゃないだろうな?」
八雲の声が聞こえてきて…晴香は顔を挙げた。
「そんなことできるわけないでしょ。」
「君みたいに賑やかな奴が黙るのはそれぐらいしか考えられない。」
「失礼ね、もう!」
なんだかんだで、会話が始まっている事に気がついて…笑った。
沈黙は苦痛ではないけれど…やっぱり隣にいるのにしゃべらないのは少しおかしい。
「………。ひとつ聞きたいんだが。」
「え?何?」
「今日の…あれを企画したのは奈緒か?」
「…私、でも、あれだけ派手なシチュエーションにしたのは後藤さんと八雲君。」
実際、食事前のドタバタ劇の中心は八雲である。あれは…ちょっとお茶目だった。
「…ならひとつ分からないことがある。」
「なに?」
「君からのプレゼントがない。」
それを言われて…晴香はため息をついた。
実際に、プレゼントらしいプレゼントは、奈緒ちゃんがあげたものだけ。
二人だけの秘密といって何かは見せてくれなかった。
「…奈緒ちゃんからもらっただけじゃたりないの?」
「そういう問題じゃない。茶番に付き合わされたんだ。見返りがあってもいいだろう。」
「茶番って…そうでもしないと来ないじゃない。」
「悪質すぎるんだよ。」
「じゃぁ、来年からは素直にお祝いさせてよね。」
「……………………。」
晴香の言葉に、八雲は眉間にしわを寄せた。
来年もするつもりかこいつ…と言いたげなのはわかる。
「それに、見返りならちゃんとあげたじゃない。」
「なんだ?」
「あの料理、私が作ったんだよ。お寿司は違うけどね。」
「……………………。」
やっぱりこんな反応だ。
晴香は怪訝そうな表情をする八雲をみて…くすりと笑った。
「おいしいって言って食べてくれてありがとう。うれしかったよ。」
「…………………………。」
晴香からの…素直は言葉に…八雲は気まずそうにそっぽを向いた。
晴香の言うとおり「おいしい」は言った記憶がある。
「ここまででいいよ。ありがとう。」
明るい通り出た晴香はそう言った。自転車で走れば、数分で家につく。
八雲はなにも言わなかった。言えずにまだ…そっぽを向いている。
「プレゼントね、もうひとつ。」
晴香はそう言って、ちょんっと…八雲の胸をつついた。
「今日のこと、忘れないでね。」
晴香は心をつついた…つもりだった。が、よくよく考えれば記憶は脳…で心臓じゃない。
その間違いを突っ込まれそうで、晴香は早々に手をひっこめた。
「おやすみ。八雲君も気をつけて帰ってね。」
思い返すとその行動がやけに恥ずかしくて…早口でそう言った。
「送ってくって言っただろ。」
ぶっきらぼうにそう聞こえたかと思うと…がりがりと頭をかく音がした。
「君はトラブルメーカーなんだ。自分からトラブルを作り出すんだよ。忘れるなって言うなら、いい思い出で完結するよう努力して

くれ」
八雲は早口にそういったかと思うと…また歩き出した。
「………………………。」
晴香は今八雲が言ったことをかみ砕いて…自分なりに理解した。
少なくとも…今まではいい思い出なのだ…と。
純粋に…それが嬉しかった。態度でおおよそ気が付いていても…やっぱり、声に出されると…嬉しい。
「はいはい、努力しますよ。」
晴香はそう言って…再び、八雲の横に並んだ……。



END

アドレスにした理由と晴香からのプレゼント。




たとえばこんな誕生日~社宅編~


そわそわしていた。
そわそわそわそわそわそわそわそわそわそわそわ………。きりがない。
珍しく、携帯を机の上に置いている。
いつになく、仕事は早いが…ミスが多いらしくたびたび頭を掻いている。
落ち着きのない子猫、いや発情期前の猫みたいだ。
っと…容赦ない感想を本人にぶつけると、睨まれた。だが、それももう慣れた。
「落ちつけよ。うっとおしいな」
「お前に言われたくはない。」
「俺は物静かだぜ?」
「お前は物静かならこの世に煩い人間はいなくなる。」
いつもと、立場が逆なやり取りに…回りは笑ってしまった。
当人たちは気付いてないが、そのやり取りはまるで漫才である。
「子供が生まれるわけでもないんだろ?何があるんだよ。」
「生まれたんだ。」
「は?」
「僕が生まれた日なんだ。今日は」
八雲に言われて…カレンダーを見た8月3日。
学生は夏休みだが、社会人にそんなものはない。
「あぁ、そう。それで?」
「それだけだ。」
「なるほどね。新妻に『お祝いするから、早く帰ってきてね』…とでも言われたんだな」
「やめろ気色悪い。それに似てない。」
「似てたら怖いだろ。逆に。」
「…………。」
喋るだけ、労力の無駄だと八雲は判断してため息とともに切り捨てた。
その空気を察して…口論相手、真田も黙った。


とにかく今日は、一秒たりとも残業などはしてやらないのだ。


それは、今朝から心に決めている事だった。



幸いにして、その希望はかなったわけだが…。



あれだけ頑張ったのに、帰宅時間が真田と一緒いうのは腑に落ちない。


「そんな顔で嫁さんに会うのだけはやめといた方がいいぜ。」
家の前でそう言われて…ひと睨みした。
「ま、ごゆっくり」
にやにやと笑いながら真田は先に鍵を開けて家に入って行った。
ただいまーという彼の能天気な声を聞き流して、鍵を開けた。
「ただいま。」
「あ、おかえりなさい!」
玄関の向こうはすぐキッチンで…声が聞こえた。
ふと…見慣れないものが目に付いた。
女性の靴。少なくとも、今朝は玄関にこんなものはなかった。それにサイズが…少し小さい気がする。
「………………。」
なんとなく嫌な予感をぬぐえないで…靴を脱いでいるとLDKにつながるドアが開いた。
「おかえりなさい、八雲君!」
エプロンをつけた晴香が…満面の笑みで出迎えてくれた。
ぎゅーっと抱きつかれたら…もうどうでもよくなってきた。
「ただいま。」
ふわりと…甘い香りがした。小麦粉の焼いたにおい。
「ケーキ焼いたんだな。」
「もちろんだよ。だって今日はお祝いだもん」
にこにこと…嬉しそうな晴香を見ていると…こっちも幸せになる。
嫌な予感は気のせいだと…思おうとしていた矢先。
ドアが開いた。
「晴香!志乃ここにいるよな!?」
これで誰かわかる。そもそも、普通はノックもせずに開けたりしない。
なんでこいつが…っと思わずにはいられない。こめかみに…ひくっと…血管が浮かび上がる。
「あ、真田くん。志乃ちゃんいならるよ。」
平然とそういう晴香にも……八雲は驚いた。
なんで彼女がいるんだ?彼女がいるならこいつが八てくるのは至極当然のことなのだから。
自分が、晴香がいないとそうするように…。
「真田さん…?」
こちらも…エプロンをつけた…志乃が顔を出した。
「あぁ…居た…よかった…。」
「置き手紙、してたでしょう?ちゃんと読みましたか?」
「読んだ、読んだけど!焦った…。」
何をそんなにあわてているのか…一体どんなメモを残したのか…謎だらけだがとりあえず…。
「狭い。いつまで玄関にいるつもりだ?」
「あ、そうだね。真田君もあがって。」
いやいやいや…それは違うだろうと…反論する前に晴香が口を開いた。
「今日はご飯一緒に食べるからね。」
『………………………………………。』
珍しく…真田と八雲の意見が一致した。


『なんで?』


八雲の顔がよほど引きつっていたのだろう。
とりあえず…晴香は八雲を引っ張って…リビングの隣へ連れ込んだ。
その途中、リビングに置かれているテーブルの上の料理は豪華で…少なくとも二人分ではなかった。
そこは寝室にしている部屋で…とりあえず、八雲は鞄をおいた。
「で?話を聞こうか。」
八雲の喧嘩腰の口調に晴香は落ち着いて…口を開いた。
「8月でしょ?」
「そうだな。」
「3月に仕事を始めてちょうど半年なの。」
「それで?」
「半年お疲れ様会…したいなって。」
「………………………。」
「それにね、料理いっぱい作ったし、ケーキだって…二人じゃ食べきれないし…。」
八雲が睨んでくるので…晴香はトーンダウンしてしまった。
「…お誕生日だもん、たくさんの人とお祝いしたほうが楽しいと思って…。」
あまりにも、しょんぼりしてしまったので八雲はあわてた。泣かれたら…手の着けようがない。
「…僕は、君に祝ってもらえればそれだけで十分なんだ。」
「……うん。じゃぁ…来年からそうするね。」
「そうしてくれ。」
「うん…ね。今日はいいでしょう?半年なのは事実だし…志乃ちゃんだって料理手伝ってくれたんだよ。」
「そうか。」
そういうと…八雲はネクタイを外しだした。今の今までつけていたのを…忘れていたが…。
「そんな顔しないで、八雲君」
たぶん、不貞腐れていたのだろう晴香が…そう言って抱きついてきた。
「ちゃんとプレゼントは用意してあるから。それはあとから…ふたりで…ね?」
耳元でそう囁かれて…にこりと微笑まれたら何も言えない。
「楽しみにしておく」
それだけ言って…着替えにかかった。
「うんっ!」
晴香の嬉しそうな声がしたが…やはり八雲の落胆は隠せなかった。


「真田さん。つまみ食いはだめです。」
「これ、あまりだろ?」
「駄目なものはだめです。」
「えーいいじゃんいか、志乃ちゃんのケチー」
「少しは我慢してください。」
「俺は自分の欲求に正直なの。」
「それは我儘っていうんですよ。」
「おー…そう来たか。」
こいつらは…家でもこんなことをしているのかと…思うと頭が痛くなる。
他人の家のことまで把握したいとも思わないが…。
いつの間に着替えてきたのか…Tシャツにジーパン姿の真田がカウンターキッチン越しにこちらを見てきた。
「ビール?チューハイ?」
「お茶。」
「…誕生日ぐらい飲んだらいいのに。」
「飲めないのに無理に勧めるのはアルハラだ。」
八雲の反論に…真田は肩をすくめた。
「晴香は?」
「ん、少し飲もうかな。志乃ちゃん飲む?」
「…え……どちらでも。」
「チュウハイ一缶わけない?」
「それなら喜んで。」

そんなやり取りをしながら…食卓に着き…食事が始まった。




「志乃ちゃんはお酒に対してまだ免疫がないんだよ。」
さほど飲んでいないのに…赤ら顔になっている志乃を支えるようにして真田はそう言った。
ほどほどに飲み食いして…早々に引き揚げたのはさすがに空気を読んだらしい。
そもそも、嫁といちゃいちゃしたいのは…共通の願いである。
「それじゃぁ、お休み。」
見送りはいらないと言い残して…帰って行った。
そんなわけで…二人きりになったのをいいことに…八雲は晴香にくっついた。
いや、先ほどから隣に座ってくっついてはいるが…さらにくっついた。
「…八雲君?」
「君がいれば…」
「え?」
「それでいい。」
「…うん。…お誕生日おめでとう。」
「ありがとう、晴香」
酔っ払ってはいない。だが、気分的には酔っている。
「ね、八雲君…私、考えたんだけどね。」
「…なんだ?」
「…八雲君が一番欲しいものって…なに?」
「………」
「…せーので言って…私が思ってるのと正解してたら…あげるね。」
「…………。いいだろう」
八雲は晴香に向き直って…その顔をみた。照れるように…晴香は笑った。
「せーの。」


答えの代わりに……キスの雨が降ってきた。


それが答え。
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