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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月19日 (Sun)
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2007年06月03日 (Sun)
ネタがあるけど、更新できないという私にしては珍しい状態だったここ最近。


とりあえずの走り書き。

アジサイ。
書き途中のやつ。
ドライブ(バック)
サイレント
使われてない教室

あとなんかあったけど忘れた…(苦笑)



久々の激甘。

新婚。


午後の太陽が最も高くから注ぐ時間帯。
程よい風が初夏の香りを運んできて、木陰での昼寝なんて最高に気持ちいだろうと予想される天候。

そんな天候に恵まれた日曜日…にもかかわらず、2人は家に居た。

八雲はダイニングの食事用のテーブルに、晴香はリビングのソファーに…。
時計の針と、ペンと、紙の音だけが聞こえる室内。
昼食後からこの状態が続いているが数えるほどしか言葉を交わしていない。
かといって別に喧嘩をしているわけではなくそれぞれが自分のしている事に熱中しているだけの事。

八雲は本から顔を上げリビングの晴香に目をやった。その晴香が何をしているかというと、持ち帰った仕事だった。
折角の休日なのだ。
もっと楽しく過したいという願望はある。絶対に口には出していえないが構ってほしいという願望も。
だが、流石に晴香の仕事を邪魔するほど八雲も子供ではない。
理性と忍耐でそれらを押し込んで八雲は再び本に視線を落とした。
教師という仕事が忙しいのは、一緒に暮らしていて十分理解しているつもりだった。
時々、何も手伝えない事に言いようもない苛立ちを感じる事もある…が。


「ん~~っ!」
八雲がそんな事を思っていると、晴香がぐぅっと…背伸びをして、大きく息を吐き出した。
「何か入れようか?」
そういいながら、八雲が立ち上がった。休憩しても罰は当たらないほどは働いている。
「あ。いいよ。私が入れるから。」
晴香がそう言って立ち上がる。八雲は苦笑しながら立ち上がった晴香の肩に手を置いた。
「?」
「君は少し、休むんだ。どれだけ働く気だ?」
苦笑交じりにそう言いながら、ソファーへ腰を下ろさせる八雲。
「……じゃぁ、お願いしていい?」
「いい子だ。」
にやりと笑って、八雲は額にキスを落とす。
若干子ども扱いされてる気もするが、晴香はこの時の八雲の笑顔が嫌いではなかった。

数分後には二つのカップがリビングのテーブルに並んでいた。
「…まだ、終わらないのか?」
仕舞われずに、机の隅に追いやられただけの仕事の山を見て八雲がそう問いかけた。
そうしながら晴香の隣に腰を下ろす。
「うん…。あ、でも大丈夫。ちゃんと、夕ご飯までには終わらせるから。」
「僕が心配してるのはそこじゃない。……無理、するなよ。」
そういい終えて頭に手を回し、額にキスを落とす。
…とりあえず、それで我慢。
「うん…。」
未だに八雲からの不意打ちには弱い晴香は、少し頬を染めながらそう返事をした。

他愛無い言葉のやり取りがなされるティータイム。
それでも、その時間が気持ちを満たしてくれる事は紛れもない事実。

「よし、休憩終わり!」
カップを空にした晴香が両頬をぱちんと叩いてそう言った。
「…………。」
もうか、と言いたげな八雲の表情。
「ご馳走様、八雲君。美味しかったよ。」
晴香にだけ分かるぐらいの表情だが、確かに不満げな八雲に気づかないふりをして笑いかける。
「僕はお湯を注いだだけだ…。」
照れ隠しか、はたまた不機嫌からくるのか…それは分からないが、八雲がぶっきらぼうにそう言った。
「そんなことないでしょ?…とっておきのひと手間が入ってたじゃない?」
尚も笑顔の晴香がそう言った。
「?」
対する八雲は分からないと言いたげに眉間に皺を寄せた。
「八雲君の。優しいキモチ。」
コツンと八雲の肩に頭を乗せて晴香がそう言った。
「不思議だよね。同じはずなのに、八雲君が入れてくれた方が何倍も美味しいの。…それはやっぱり、…八雲君の気持ちが入ってるからかなぁ……なんてね…」
最後に照れ隠しのようにえへへっと笑った晴香。
「馬鹿。」
対する八雲は肩に乗っている晴香の頭を肩で軽く小突いて立ち上がった。
「下げるぞ。」
早口でそう言って、カップを両手に八雲はソファーから離れた。
呆れられたかな…っと晴香が思った時。不意に八雲の声が響いてきた。
「…もしそうなら…。」
声は当然八雲から発せられている。
その八雲はキッチンへ続くドアの前で立ち止まっていた、背を向けたまま、だが。
「え?」
「思いが、料理の味に反映する…としたら。」
一呼吸の間
「君の作る料理は…どこで食べる食事より美味しいと…僕はそう思う…っ!」
最後の台詞を言い終わるか分からないうちに八雲はキッチンへ姿を消していた。
「自惚れるぞ!」
っと…姿は見えないが声だけ最後に飛んできた。

晴香がその意味を理解して、一人で恥ずかしさと嬉しさを噛み締めて居た時間はそう長くなかった。

猫のごとく機敏な動きで、キッチンへ向かい八雲の背中に抱きついた。
びくぅっと八雲が驚いたのは当然の反応。
洗いかけのカップを落としていなかったからよかったものの、割ってしまえば折角のおそろい、が台無しになってしまう。
「…どうしたんだ。いきなり。」
分かっていても、そう聞かずには居られなかった。
言った八雲自身でさえ先ほどの台詞を思い出すと気恥ずかしくなるのだから。できるなら思い出したくない。
言葉が帰ってこない変わりに背中に指が這った。驚きとは違うもので八雲はビクリと身体を振るわせた。
「晴香?」
名前を呼ぶが、やはり返事はない。
指は尚も背中を這っていて不規則に動き続ける。
「何してるんだ。一体」
くすぐったさと、晴香の行動が理解できない八雲の怪訝そうな声を聞いて晴香はゆっくり、指を動かした。
対する八雲はその動きが何を意味するのかを汲み取ろうと意識を背中に集中させた。
そして、出た結果。
「や?」
背中にそう、書かれた。それを聞いて晴香がぐるりと大きく円を描く
あっている。と言いたいんだろう。
晴香の指が新たに文字を描き出した。



























ご丁寧に最後にハートマークを添えた晴香は書き終えたと同時に八雲の背中に抱きついた。
「………。」
八雲の位置からは見えないが耳まで真っ赤な晴香がそこに居た。
対する八雲も晴香には劣るが、顔が赤くなっている。
晴香の腕の締め付けのきつさに苦笑しながら、カップを洗い終え濡れた手を八雲は拭いた。
「そういう事は、口で言ってほしい…。」
ほんの少し笑って八雲がそう言い首を後ろに傾けた。
天を仰ぐこの体勢になると、晴香の頭とコツンとぶつかる。
「僕としては…だがな。」
胴に回されている晴香の手にそっと自分の手を添えて、八雲がそう言った。
「言って?晴香。」
トドメの一声。
そんな声を出すのは反則だよ。断れないじゃない。
そんな晴香の思いなど露知らず尚も八雲は口を開いた。
「聞きたい。ね。」
この台詞で八雲の顔の朱がほんの少し濃くなったことを晴香は知らず。
この台詞で晴香の嬉しさと恥ずかしさが増した事を八雲は知らなかった。
「…八雲君が…」
ぼそぼそとそう声が聞こえてきた。
「ん?」
少し楽しそうに笑いながら八雲が先を促す。
「…八雲君が…」
「僕が、どうしたんだ?」
「…八雲君が…」
それから先がなかなか出ない晴香。
すうっと背中で晴香が大きく息を吸い込んだのを八雲は身体で感じていた。
「…八雲君が、大好きだよっっ!」
半ば叫ぶようにそう言って、これでもかと言わんばかりに真っ赤になりながらぎゅぅ~っと八雲を抱きしめる晴香。
「苦しいぞ?」
満足感と、息苦しいのが混じった妙な笑顔で八雲がそう言った。
「大好きだよ!大好きだからねっ!」
それでも尚、晴香は抱きしめるのを止めなかった。
「だから苦しいって…。それに、そろそろ離してくれ。この状態じゃ、君を見れないだろ?」
極力優しい声でそう言ってみたが。
「みっ見なくていいよ!見ちゃダメ!」
即効で却下された。
「ツレないな?」
苦笑しながら、八雲が晴香の指に自分の指を絡め始めた。
「僕はどんな君だって見て居たいんだぞ?」
一本ずつ胴から引き剥がして自分の逆の指と絡めていく。
「…八雲君は。ずるいっ!」
背中に顔を埋め、されるがままに指を外されていく晴香。
「ずるくない。…好きな人を見ていたいと思う事は、変な事じゃないだろう?」
晴香の左指と八雲の右指が絡みあう。
「こっちも離せ。」
左の腕を胴から外そうとするが、最後の抵抗といわんばかりにぎゅっとシャツを握られた。
「ダメ!すっごい赤い顔してるからダメっ!」
「今更か?」
意地悪な八雲の声が振ってきた。
「やっぱり、八雲君はずるい。」
恨めしそうな声が聞こえてきたが、それを無視して晴香の右腕を胴から剥がした。

そうして、2人はお互いの顔を見ることとなった。

今度は八雲が晴香を離さなかったのは言うまでもない。


END



背中に文字を書くって…なんか親密じゃないですか?(笑)

もう1つ、背中文字で構って編がありましたがこっちを採用。


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