「ここに、いてくれ………。」

お久しぶりです。
私自身はそんな感じはしないんですけど（苦笑）
待って下さってる方には長く感じるんだろうなぁ…。

さてさてさて、いよいよ最後となりました。

starry-tales様からお借りした
【抱きしめる】5のお題
より

4.もう少しだけここに居てよ


二部の予定。

事件に巻き込まれた恋人設定でも前半（この記事）グロ注意。

後半（次回更新予定）病んでます。


短め失礼。（汗）
両方暗めです…最後なのに（苦笑）

携帯電話が通じなくなった時から…。
最悪の事態は予想していたはずだった。
なのに…。

「はる…か？」

いざ目の当りにすると、それが信じられなかった。



「晴香！」
自分の声とは思えないぐらい、大きく、熱い声だった。先ほどの声とはまったく違う。
街ではでは夕食の香りが漂ってくるような時間帯。
もうすっかり太陽の恩恵を受けられなくなった林の中で…
彼女を、見つけた…。
「おい、しっかりしろ！！」
昨晩の雨でぬかるんだ地面に足を取られながら晴香に駆け寄っていく八雲。
抱き上げるとその衣服は薄暗い中でも分かるように一面血で染まっていた。
水溜りだと思っていたものは血溜りで、膝を付いた八雲のズボンを赤く染め上げていった。
いつからここにいたのか分からない。それほどまでに、その手は冷たくなっていた。
逆に、傷口はその冷たさに反比例するように熱かった。さほど大きくはない、幸い今は流血も止まっていた。
脈はある、呼吸も微かにある。
大丈夫だ…。ほっと息をついたのもつかの間、次の瞬間には八雲の顔が青ざめていった。
「晴香っ！」
そう叫ぶのが早かったか、立ち上がり、走り出すのが早かったか……。
そんな事は八雲にとて問題じゃなかった。
今、八雲の右目と左目で同じものが見えていた。
実物の晴香の身体と、思いの塊の晴香の身体。
生きている人間なら、めったな事ではない限りはなれない心と身体。
それが今、離れようとしている…その理由は考えるまでもない。
「まだ逝かないでくれっ！！」
そんな思いを込めて強く抱きしめる。なおも揺れ続ける2人の晴香。

逝かないでくれ。

逝かないでくれ。


「ここに、いてくれ………。」


ボクヲヒトリニシナイデクレ


「晴香っ…。」

八雲の呼びかけに答える声はなかった。



続く


プロローグっぽく。