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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月19日 (Sun)
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2007年03月24日 (Sat)
…可愛い晴香って…どう書くんだっけ(爆)
ども、そんな状態の古谷です(苦笑)


拍手お返事

倖さんこんばんは。お久しぶりです。
お返事遅くなりました。&ちょっとあれなお返事なので(苦笑)反転お願いします。

確かに最近の作品は暗めですね(汗)
頂いた拍手の内容は同感できる部分がたくさんありました。
黒八雲も、自虐的八雲も基本好きです。かなり歪んでる愛情表現ですが私が根っからのSですので(爆)
自虐的な八雲は暗くてマイナス思考で切なくなりますがそれから這い上がって来てほしいです。
どんな紆余曲折をしても、最終的に幸せになってほしい。最後は笑ってハッピーエンド、それが私の目標です。
救いのないぐらいエゲツナイのは私自身苦手なので(苦笑)
なので虐めるのも説得力はないかもしれませんが愛ゆえです。


猫化の感想、ありがとうございます。
昔のメモに
「僕が猫なら、君は犬だな。」
「犬、なんで?」
「そのままだ、留守番をさせられて寂しそうにしてる犬にそっくりじゃないか。帰ってきた主人にいつまでも纏わりつくところがな。」(にやり)
「なっ…なによそれ!」
「だから言葉通りだって、いつも僕にべったりじゃないか。」
ってのがありました(笑)
そんなわけで、私の中では晴香は犬です。寂しがりやと言う点ではウサギもいいですね。
私的に、ウサギは初期の石井さんのイメージです(笑)びくびくしてて、後藤さんにべったりなところとか…。
たくさんのコメント、ありがとうございました。

さてさて
starry-tales様からお借りした
【抱きしめる】5のお題
より
3.生きていることを確かめたい






どんな顔をして合えばいいのか分からなかった。

なにより…

彼女に笑いかけられるのが怖かった。

『大丈夫だよ。ごめんね、心配かけて。』
『よそ見してた私が悪かったんだから。八雲君は悪くないんだよ?』

彼女はそんな事を平然と言いそうだった。
まるで自分が全て悪いかのように言って
僕に笑いかけそうだった。

そんなコトをされたら僕は……。

また同じ失敗を繰り返すだけ……。

一歩を踏み出せないまま意味なく彼女を傷付けるだけだった。

そんな事はしたくなかった………。

僕が変わらない限り…彼女には会えなかった。


「おい八雲。聞いたぞ。」
やってくるなり後藤がそう言った。
「何をですか」
突然の訪問に相変わらず眠そうな目と、不機嫌そうな声で向かえる。
「何をって…晴香ちゃんの事だよ。事故に遭ったんだって?」
「…そうですよ。命に別状はありませんけどね」
「居たんだろ?」
「……。なにがですか?」
「事故したときにだよ。晴香ちゃんと一緒に居たんだろ?」
「いましたよ。それがどうしたんですか?」
八雲がそう答えると後藤がイライラしげに言った。
「めんどくさい奴だな。晴香ちゃんがお前の事心配してたぞ」
「…僕の事?」
八雲がピクリと反応した。
「何で僕の事なんか心配するんですか。怪我したのはあいつですよ。」
後藤にも分かるほど露骨にイラッとした反応をよこす八雲。
「そんなの、俺に聞くな。」
「言い出したのは後藤さんでしょう?」
「晴香ちゃんだ。」
強く訂正する後藤。
「晴香ちゃんがお前に詫びてたぞ。」
「侘び!?…なんで!あいつが謝らなきゃならない事なんて何もない!」
珍しく声を荒げる八雲に後藤が器用に片眉だけを上げる。
「お前等の痴話げんかに付き合ってるほど俺は暇じゃねぇんだよ。晴香ちゃんがお前に謝る理由なんて知るわけがないだろ。」
「…………。」
渋い顔で黙り込んでしまう八雲。
「俺は仕事があるから帰るぞ。」
八雲は黙ったまま後藤を見た。それだけを言いに来たのかと言いたげな目。
「この前起きた盗難事件の聞き込みだ。」
それを聞いてはっと八雲は顔を上げた。
その事件はありきたりな空き巣被害。何も気にとめるようなことはなかったが、場所が病院のそばだった。
八雲を見てにやり…と後藤が笑った。
「席は開いてるぜ。」
それはつまり行くなら乗せていってやる…と言う意味で…。
八雲は数秒考えてから…部屋を出た後藤を追いかけた。

彼女に逢うのは怖い
でも、
罪悪感を抱かせたままじゃいけない。


数十分後に八雲は病院の前に居た。
事故から3日目。何度となく通った病室までのルート
「あら。斉藤さん。」
廊下を曲がると何度か見た事がある看護師が声をかけてきた。
「こんにちは。よくお見舞いにいらっしゃいますね。」
にこりと笑って、歩を止めてそう言った。
その言葉にずきりと、胸が痛んだ。
恋人思いの彼氏…そんな風に映ってるんだろうか。
僕はそんな…そんな人間じゃない。
自分が傷つくのが怖くて…あいつを傷つけるような人間だ。
本当は大事なくせに、生きていてくれて嬉しいくせに
臆病で……逢えないような人間だ。
「あの…大丈夫ですか?」
心配そうな声で八雲を見る。
「大丈夫です。」
できるだけ笑顔で、そう言った八雲。
「そうですか。…小沢さん、明日退院ですよ。」
かわらぬ笑顔でそういって、…それじゃぁ。と、八雲の横をすり抜けた。
「明日、退院…か。」
誰に言うわけでもなく八雲はそう呟いた。


見えてきた病室。
4人部屋である病室だが部屋の前のネームは一つしかない。
デジャブのようにさえ感じる。この風景。
深呼吸を一つしてトントンっと…ドアを叩いた。
だが、返事はなかった
もう一度深呼吸をして
…ゆっくりドアに手を掛けた。
手が震えているのが自分でも分かった。
音もなく開いたドア、正面に窓そのすぐ右がカーテンで閉ざされていた。
室内に入り静かにドアを閉めた。

金縛りにあったように…足が動かなかった。
頭では行けと命令しているのに。動けなかった。

どれだけそうしていたのかは分からないが、ようやく一歩を踏み出した

自分の心臓の音しか聞こえないぐらい、煩かった。
窓の傍まで行きその鼓動に負けないぐらいの声を出した。
「開ける…ぞ。」
ノックした時、返事がなかったのだから眠っているのだろうが。八雲はそう声をかけてカーテンを開けた。
初めて、スースーと言う、穏やかな寝息が聞こえた。
晴香は真っ白なベッドの上で眠っていた。
寝顔だけ見ればいつも八雲の隠れ家でしているような穏やかなもの…額のガーゼだけが痛々しかった。
吸い寄せられるように頬に手を伸ばす。
指先から伝わってくるのは確かに生の温度。
とても、暖かかった。

頬に…流れる涙は一体どこか湧き出たんだろう。

何の…感情から出てきたものだろう。

引き付けられるように身体を屈めていく。

今更だとは思う……

でも確かめたかったのだ。

ちゃんと、生きていてくれるコトを…。


そっと胸に耳を押し当てた。
聞こえる鼓動。

顔に手をかざす。
感じる呼吸


全てが生の営み


傷付けたのは自分だと分かっていても…。
いや、自分だからこそ…。
嬉しかった。


化粧っ気のない顔
それでもその唇はかわらず可愛らしい。

好きだ…と思った。
だから、それを伝えたかった。
僕にその資格があるのかは分からない。
それでも、もう
逃げたく…なかった。


唇を重ねた。


「ん…。」
唇を離した直後にそんな声が漏れて来た。なぜかびくりと身体が震えた。
そうして、自分でも分からないままカーテンの外に出ていた。
寝込みを襲ってしまった罪悪感からか、照れくささからか…。分からないが…。
「…誰…かいるの?」
少し寝ぼけている声。だが、確実に晴香の声だった。
「僕だ。」
やっとの思いでそれだけ言った。ここに入ってきたときのように心臓が煩かった。
「八雲君?」
少しだけ、声が強張った気がした…。

それでも…

懐かしい声だった。
「あぁ。」
もっと名前を呼んでほしかった。
「そっか。びっくりしちゃった。起きたら誰か居るんだもん。」
もっと声が聞きたかった。
「いきなり来て、悪かった。でもどうしても…君に言っておかなきゃならない事があったんだ。」
でも、今はまだ顔を見れなかった。
「私に…?」
思いを伝えたら…。
「そうだ。」
君が僕を許してくれるのなら……。

君に、逢いに行こう。

だからもう少し…。

カーテン越しの会話を…。



END(え)


後はご想像にお任せしますということで(汗)


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無題
SINです!

綾さん…自分は感動してまた涙が少し出ました

八雲がこんなに晴香さんを思っていることに自分は感動してまた涙が(泣)
本当に恥ずかしい限りです。
SIN 2007/03/25(Sun)05:16:42 編集
Re:無題
SINさん。

こんにちは~。

私の描く八雲のイメージは晴香のことがまず第一。
自分を支えてくれたので何が何でも大事にしたいと、幸せになってほしいと。
そう思っているイメージです。
ある意味、自己犠牲的な生き方だと思います。


私も涙腺は緩いほうですので(笑)
切ない話を書いてるとぼろぼろ泣けてきます。
泣く事は、恥ずかしいことではないと思いますよ?
友達が言ってくれました「誰かのために泣けるのは優しい人だよ」って
掛けてもらって嬉しかった言葉だったので、今度はSINさんに(^^)


【2007/03/29 17:13】
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