ここは「文風月」内、FF置き場です.
カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
前の続き。
ネコ耳(擬人化ならぬ)擬獣化の言葉に嫌悪される方はここでストッププリーズ!
かなり設定、飛んでますので。
完結です。
若干エロス。
ネコ耳(擬人化ならぬ)擬獣化の言葉に嫌悪される方はここでストッププリーズ!
かなり設定、飛んでますので。
完結です。
若干エロス。
なにか…
なにか頭が重いのは感じていた
でもそれは頭痛のせいだと思っていた。
それ以外原因が考えられないんだ。
妙に寒いとは思っていた。
2月なんだ、寒いのは当たり前。
と…思っていた……のに…。
手のひらで肌に触れるか触れないかの距離で撫でられるあの感覚で、飛び起きた。
そして、さっきまでの感覚の原因が…これだった。
「っ!?…なんだこれは!!」
叫んでしまった、僕の気持ちを察してくれ………。
時は2月のとある平日。午後の陽気に誘われて昼寝もしたくなってくるころ。
土手の中腹に座り込んでいる男女の姿がありましたとさ。
当然それは、八雲と晴香に他ならないのだが…。
「……ね、何がどうなってるの?」
まだ硬い笑顔を貼り付けたまま晴香がそう聞いた。
「僕に聞くな!」
八雲がいそいそとフードを被る。こうすれば一応耳は見えないが、変なのに代わりはない。
もう厚手の冬用のコートはおかしいと晴香は言っていたのだが、今日は着てきて正解だったようだ。
「帰るぞ!」
そう宣言するなり勢いよく立ち上がる。
「え?」
きょとんとしている晴香を引っ張り立たせる八雲。。
「こんな姿を後藤さんに見られたら何を言われるかわかったもんじゃない!」
早口でそう言うと八雲は晴香の腕を掴み歩き出した。
「ちょっ!八雲君、そんなに引っ張ったら転んじゃうでしょ!?」
そうは言いながら晴香も八雲の後に続く。
とりあえず、この場所に居るのはまずいという認識は一致したようだった。
すれ違う人の、興味深げな視線に気づかないふりをして家にたどり着いた。
先に晴香を押し込んで家に入る八雲。そうして鍵を閉めた。
家に帰り、人に見られる心配はなくなったが根本的な解決にはなってない。
八雲が大きくため息をついてうなだれる。
「や、八雲君とりあえず…正しく現状把握しよう?ね?」
晴香がそういって八雲の手を引く。
「…そう…だな。…それより先に、君は手を洗ってきた方がいい」
ついでに、絆創膏も貼ったほうがいい。
そう言うと、靴を脱いで上がる八雲。
「うん。」
よかった、足は足だ…と妙なことに安心しながら晴香は洗面所へ向かった。
「で。」
「うん。」
「……したくないが、現実を直視しようと思う。」
「うん。」
リビングの床に向かい合って座っている2人。八雲は胡坐で、晴香がなぜかかしこまって正座。
「とりあえず、猫の耳が生えてる。」
そういう八雲の頭はまだ、フードを被ったまま。
「うん。…って…なんで猫だってわかるの?犬だって同じような耳じゃない。」
「………。」
八雲がこれでもかといわんばかりの渋い顔をして、フードを取った。
「耳が左右、別に動く。犬はそうは行かないんだ。……それに」
言いながら、証明するように左右別々に動かしてみせる。
「それに?」
「…気のせいだと思いたかったんだが…。」
「…どう、したの?」
恐る恐る聞くと再び大きなため息をつく八雲、そうしてその口からさらにあり得ない言葉が紡がれた。
「…尻尾も生えてきた………。」
……………
「……………。」
「……………。」
………………………………。
「ええぇっ!?」
反応するのにたっぷり10秒かかっただろう。
「…ほ、ほんとに?」
晴香のその問いに答えるようにまさしくそれが出てきた。黒い長い猫の尻尾。
「……………。」
「そういうわけだ。」
今までに見たこともないぐらい眉間にしわを寄せて八雲がそう言った。
と、タイミングを見計らったように玄関の呼び鈴が鳴った。
「あれ?誰だろ…。」
いつもの調子で客人を迎えようとする晴香の手を八雲が引き止めた。
「……きっと後藤さんだ。これを渡しておいてくれ。」
そう言うと握っていた手に名簿を入れたファイルを握らせる。
「あ…。」
そうだ、どたばたしていて忘れてた。事件に巻き込まれてるんだった。
晴香がそう思ってると二度目の呼び鈴。
「僕は…寝てることにでもしてくれ。」
「え?どうして?」
「どうしてって、こんな姿見せたら何言われるかわかったもんじゃないだろ。」
頼んだぞ。
と、言い残して八雲は寝室に隠れてしまった。
「ほんとにもう…」
その言葉と三度目の呼び鈴が重なった。
「はぁーい。」
少し間延びした口調で返事をし晴香は玄関へ向かった。
「おう。居たか」
相変わらずクマみたいな巨体がそこにあった。
「こんにちは、後藤さん。」
とりあえず、にこやかに挨拶をしてみる。
前の電話で八雲に散々嫌味を言われてたので、相当怒ってるだろうと検討をつけての行動。
「…晴香ちゃん、本気で八雲とつるむのやめないと嫁の貰い手がなくなるぜ?」
何を思ったのかいきなりそんな話になる。
「いいんです。私は八雲君に貰ってもらう事が、決まってますから。」
後藤も後ろに居た石井も聞き耳を立ててた八雲ですら、固まった。
「?どうかしましたか?」
固まっている後藤と石井にきょとんとした様子で見つめる晴香。
「え、いいや、なんでもねぇよ。」
それぞれの反応はご想像にお任せするとして。後藤が一つ、咳払いをする。
「それで?八雲は」
「寝てます。昨日、あんまり寝てないみたいで…今日も目の下にクマつくってたんですよ。」
「…それは、なんだ?その…」
「事件のこと考えてたみたいですよ。だから、寝かせてあげてください。これ、八雲君がいってた名簿です。」
晴香が渡したファイルの名簿を見たとたん後藤の目つきが変った。
「石井!車」
「え?」
「車まわして来い!もたもたすんな!」
そう言うと挨拶もなしに踵を返した
「あぁ。後藤刑事待ってください!」
後からあわてて石井が追いかけて…躓いてこけそうになった。
そんな2人を後ろから見ていた晴香だったが…くすりと笑って家の中に戻っていった。
いつの間に出てきたのか、リビングに八雲が居た。
「後藤さんに渡しておいたよ。」
「………。」
それを受けて八雲がなぜかぽりぽりと頬を掻いた。
晴香が不思議に思ってると八雲がボソッと問うた。
「…寝不足なの。知ってたのか。」
こう聞くからには、本人はばれてないつもりだったんだろう。
「そりゃぁ、知ってるわよ。一緒に暮らしてるんだもん。」
それに…。といって胡坐を掻いている八雲の前にしゃがみこむ。
「未来の奥さんなんだし…ね?」
ちゅっと…額に唇を寄せて晴香がそう言った。
「………。」
いろいろと、衝動に駆られた八雲だったが
「だな…。」
とだけ言った。
八雲の返事に少し不満そうに膨れたが、すぐに苦笑を浮かべる晴香。
「それで…原因って何なのかな?」
八雲の頭の上にあるそれを見て首をかしげた。ついでに尻尾も。
「これは僕の想像なんだが……。あの埋葬した猫の幽霊だと思う。」
「え?あれ?」
晴香の脳裏にあまり思い出したくない映像が過ぎった。あの黒猫の亡骸。
「あぁ。…僕が倒れる前に幽霊の黒猫を見たんだ。たぶんそれが、乗り移ったんじゃないか?…と考えるんだが……。」
「ちょっと待ってよ。猫の幽霊って居るの?」
「幽霊は思いの塊だと言っただろ。猫にだって感情はある…幽霊にならない理由はないだろう?」
意識してかどうかは知らないが一定のリズムで揺れる尻尾。
それを横目で見ながらふと思いついた疑問を投げかけてみる。
「ねぇ、一つの肉体に二つの精神は入れないんじゃなかったの?」
「…精神といっても…猫、だからな。人間ほど複雑なモノはないんだ。だから…何って言ったらわかりやすいか…。」
どう説明したらいいのか分らない、と言うように頭をがりがり掻く。耳が邪魔して、いつものように出来ないが。
「…大体、分るよ?…えっと…人間ほど、細かくないんだよね?…大雑把…って言っていいのかな?規則がゆるい…んだよね?」
「あぁ。大体あってる。だから……ある程度同じなら、混同することが…出来るんだと思う。まぁ、予測に過ぎないけどな。」
「…って、じゃぁ、八雲君とあの猫がある程度同じところがあったって事…だよね?」
「不本意だがそうらしい。…って、何笑ってるんだ。」
いつの間にかくすくす笑っていた晴香に向かって八雲が言う。
「ごめん。でも、後藤さんがいつも化け猫って言ってるじゃない?…あながち…間違ってないんだなって……。」
笑をこらえながらそういう晴香。八雲はさらにむすっとしてそっぽを向いてしまった。
「…ね。八雲君…言ったら怒るだろうと思って…今まで言わなかったけど…」
「なら、今からも言うなよ。」
冷たくそう返す八雲、まぁ最もな意見
「ダメでも言うもん。八雲君、その格好かわいいよ?」
「なぁっ!?」
八雲の間抜けな声が響いた、ちなみに、本日二回目。
「馬鹿か君は!どこをどう見たらそんな風に見える!」
言葉は怒っているが顔は赤いし、加えて耳と尻尾があれば…迫力はあまりない。
「八雲君、かっこいいんだもん。何着ても似合うよ?」
「これをコスプレみたいに言うな!生で生えてるんだぞ!?」
「じゃ、触らせて?」
しめたというように満面の笑みでそういう晴香。
「却下!」
これは即答だった。
「いいじゃない。ケチー」
八雲の尻尾に触ろうと身を乗り出して八雲の後ろの尻尾を追い掛け回す晴香。かなり身体が密接してることには気づいていない。
「僕の尻尾は猫じゃらしか!」
正しくは晴香じゃらし…っとそんな突っ込みはどうでもいい。
八雲はとりあえず抱きしめてみた。…どれだけ身体が密着してるのか分ってもらうために。
「…や、八雲…君?」
さすがの晴香もいきなりの抱擁には驚いたのか追いかける手が止まった。
「…くっつきすぎだ!君は。」
さっきの、未来の奥さん発言からいろいろと我慢してる八雲にとってはかなり酷な状態になっていることは間違いない。
「…どうにかして、さっさと元に戻らないとな…」
にゃぁ~
八雲の耳に、あの声が聞こえてきた。おそらく取り付いている猫の幽霊の声。
「…くっつきすぎって…八雲君が離してくれない…んじゃない。」
ぼそぼそと小声で反論する晴香。顔が赤いのは、自分の行動を思い返しているのか…。
ぅにゃぁ~ぉおん~
妙にかわいらしい声、…そう、甘えるような、鳴き声。
「………なるほど、そういうことか…。」
八雲の口元が、歪んだ。意地悪く
「え?…そうゆう事って…?」
「どうやったら、離れてくれるかが分ったんだ。」
「へ?」
きょとんとして顔を上げると口元が意地悪ーく歪んだ八雲の笑顔があった。
「…晴香。」
「え?ちょっ…んんっ!」
唇全部が塞がれて、深いキスを何度もされた。
「とりあえず、本能に身を任せることにした。…人間だって、動物なんだから」
猫の耳があっても、尻尾があっても…このときばかりはかわいいとは思えなかった。
八雲の言葉と一緒に晴香も猫の鳴き声を聞いたような気がした。
春は、猫の発情期…。
END
ちなみに、発情期があるのはメスでオスはそれに連れられて発情するらしいです。
補足説明は次でも(苦笑)
なにか頭が重いのは感じていた
でもそれは頭痛のせいだと思っていた。
それ以外原因が考えられないんだ。
妙に寒いとは思っていた。
2月なんだ、寒いのは当たり前。
と…思っていた……のに…。
手のひらで肌に触れるか触れないかの距離で撫でられるあの感覚で、飛び起きた。
そして、さっきまでの感覚の原因が…これだった。
「っ!?…なんだこれは!!」
叫んでしまった、僕の気持ちを察してくれ………。
時は2月のとある平日。午後の陽気に誘われて昼寝もしたくなってくるころ。
土手の中腹に座り込んでいる男女の姿がありましたとさ。
当然それは、八雲と晴香に他ならないのだが…。
「……ね、何がどうなってるの?」
まだ硬い笑顔を貼り付けたまま晴香がそう聞いた。
「僕に聞くな!」
八雲がいそいそとフードを被る。こうすれば一応耳は見えないが、変なのに代わりはない。
もう厚手の冬用のコートはおかしいと晴香は言っていたのだが、今日は着てきて正解だったようだ。
「帰るぞ!」
そう宣言するなり勢いよく立ち上がる。
「え?」
きょとんとしている晴香を引っ張り立たせる八雲。。
「こんな姿を後藤さんに見られたら何を言われるかわかったもんじゃない!」
早口でそう言うと八雲は晴香の腕を掴み歩き出した。
「ちょっ!八雲君、そんなに引っ張ったら転んじゃうでしょ!?」
そうは言いながら晴香も八雲の後に続く。
とりあえず、この場所に居るのはまずいという認識は一致したようだった。
すれ違う人の、興味深げな視線に気づかないふりをして家にたどり着いた。
先に晴香を押し込んで家に入る八雲。そうして鍵を閉めた。
家に帰り、人に見られる心配はなくなったが根本的な解決にはなってない。
八雲が大きくため息をついてうなだれる。
「や、八雲君とりあえず…正しく現状把握しよう?ね?」
晴香がそういって八雲の手を引く。
「…そう…だな。…それより先に、君は手を洗ってきた方がいい」
ついでに、絆創膏も貼ったほうがいい。
そう言うと、靴を脱いで上がる八雲。
「うん。」
よかった、足は足だ…と妙なことに安心しながら晴香は洗面所へ向かった。
「で。」
「うん。」
「……したくないが、現実を直視しようと思う。」
「うん。」
リビングの床に向かい合って座っている2人。八雲は胡坐で、晴香がなぜかかしこまって正座。
「とりあえず、猫の耳が生えてる。」
そういう八雲の頭はまだ、フードを被ったまま。
「うん。…って…なんで猫だってわかるの?犬だって同じような耳じゃない。」
「………。」
八雲がこれでもかといわんばかりの渋い顔をして、フードを取った。
「耳が左右、別に動く。犬はそうは行かないんだ。……それに」
言いながら、証明するように左右別々に動かしてみせる。
「それに?」
「…気のせいだと思いたかったんだが…。」
「…どう、したの?」
恐る恐る聞くと再び大きなため息をつく八雲、そうしてその口からさらにあり得ない言葉が紡がれた。
「…尻尾も生えてきた………。」
……………
「……………。」
「……………。」
………………………………。
「ええぇっ!?」
反応するのにたっぷり10秒かかっただろう。
「…ほ、ほんとに?」
晴香のその問いに答えるようにまさしくそれが出てきた。黒い長い猫の尻尾。
「……………。」
「そういうわけだ。」
今までに見たこともないぐらい眉間にしわを寄せて八雲がそう言った。
と、タイミングを見計らったように玄関の呼び鈴が鳴った。
「あれ?誰だろ…。」
いつもの調子で客人を迎えようとする晴香の手を八雲が引き止めた。
「……きっと後藤さんだ。これを渡しておいてくれ。」
そう言うと握っていた手に名簿を入れたファイルを握らせる。
「あ…。」
そうだ、どたばたしていて忘れてた。事件に巻き込まれてるんだった。
晴香がそう思ってると二度目の呼び鈴。
「僕は…寝てることにでもしてくれ。」
「え?どうして?」
「どうしてって、こんな姿見せたら何言われるかわかったもんじゃないだろ。」
頼んだぞ。
と、言い残して八雲は寝室に隠れてしまった。
「ほんとにもう…」
その言葉と三度目の呼び鈴が重なった。
「はぁーい。」
少し間延びした口調で返事をし晴香は玄関へ向かった。
「おう。居たか」
相変わらずクマみたいな巨体がそこにあった。
「こんにちは、後藤さん。」
とりあえず、にこやかに挨拶をしてみる。
前の電話で八雲に散々嫌味を言われてたので、相当怒ってるだろうと検討をつけての行動。
「…晴香ちゃん、本気で八雲とつるむのやめないと嫁の貰い手がなくなるぜ?」
何を思ったのかいきなりそんな話になる。
「いいんです。私は八雲君に貰ってもらう事が、決まってますから。」
後藤も後ろに居た石井も聞き耳を立ててた八雲ですら、固まった。
「?どうかしましたか?」
固まっている後藤と石井にきょとんとした様子で見つめる晴香。
「え、いいや、なんでもねぇよ。」
それぞれの反応はご想像にお任せするとして。後藤が一つ、咳払いをする。
「それで?八雲は」
「寝てます。昨日、あんまり寝てないみたいで…今日も目の下にクマつくってたんですよ。」
「…それは、なんだ?その…」
「事件のこと考えてたみたいですよ。だから、寝かせてあげてください。これ、八雲君がいってた名簿です。」
晴香が渡したファイルの名簿を見たとたん後藤の目つきが変った。
「石井!車」
「え?」
「車まわして来い!もたもたすんな!」
そう言うと挨拶もなしに踵を返した
「あぁ。後藤刑事待ってください!」
後からあわてて石井が追いかけて…躓いてこけそうになった。
そんな2人を後ろから見ていた晴香だったが…くすりと笑って家の中に戻っていった。
いつの間に出てきたのか、リビングに八雲が居た。
「後藤さんに渡しておいたよ。」
「………。」
それを受けて八雲がなぜかぽりぽりと頬を掻いた。
晴香が不思議に思ってると八雲がボソッと問うた。
「…寝不足なの。知ってたのか。」
こう聞くからには、本人はばれてないつもりだったんだろう。
「そりゃぁ、知ってるわよ。一緒に暮らしてるんだもん。」
それに…。といって胡坐を掻いている八雲の前にしゃがみこむ。
「未来の奥さんなんだし…ね?」
ちゅっと…額に唇を寄せて晴香がそう言った。
「………。」
いろいろと、衝動に駆られた八雲だったが
「だな…。」
とだけ言った。
八雲の返事に少し不満そうに膨れたが、すぐに苦笑を浮かべる晴香。
「それで…原因って何なのかな?」
八雲の頭の上にあるそれを見て首をかしげた。ついでに尻尾も。
「これは僕の想像なんだが……。あの埋葬した猫の幽霊だと思う。」
「え?あれ?」
晴香の脳裏にあまり思い出したくない映像が過ぎった。あの黒猫の亡骸。
「あぁ。…僕が倒れる前に幽霊の黒猫を見たんだ。たぶんそれが、乗り移ったんじゃないか?…と考えるんだが……。」
「ちょっと待ってよ。猫の幽霊って居るの?」
「幽霊は思いの塊だと言っただろ。猫にだって感情はある…幽霊にならない理由はないだろう?」
意識してかどうかは知らないが一定のリズムで揺れる尻尾。
それを横目で見ながらふと思いついた疑問を投げかけてみる。
「ねぇ、一つの肉体に二つの精神は入れないんじゃなかったの?」
「…精神といっても…猫、だからな。人間ほど複雑なモノはないんだ。だから…何って言ったらわかりやすいか…。」
どう説明したらいいのか分らない、と言うように頭をがりがり掻く。耳が邪魔して、いつものように出来ないが。
「…大体、分るよ?…えっと…人間ほど、細かくないんだよね?…大雑把…って言っていいのかな?規則がゆるい…んだよね?」
「あぁ。大体あってる。だから……ある程度同じなら、混同することが…出来るんだと思う。まぁ、予測に過ぎないけどな。」
「…って、じゃぁ、八雲君とあの猫がある程度同じところがあったって事…だよね?」
「不本意だがそうらしい。…って、何笑ってるんだ。」
いつの間にかくすくす笑っていた晴香に向かって八雲が言う。
「ごめん。でも、後藤さんがいつも化け猫って言ってるじゃない?…あながち…間違ってないんだなって……。」
笑をこらえながらそういう晴香。八雲はさらにむすっとしてそっぽを向いてしまった。
「…ね。八雲君…言ったら怒るだろうと思って…今まで言わなかったけど…」
「なら、今からも言うなよ。」
冷たくそう返す八雲、まぁ最もな意見
「ダメでも言うもん。八雲君、その格好かわいいよ?」
「なぁっ!?」
八雲の間抜けな声が響いた、ちなみに、本日二回目。
「馬鹿か君は!どこをどう見たらそんな風に見える!」
言葉は怒っているが顔は赤いし、加えて耳と尻尾があれば…迫力はあまりない。
「八雲君、かっこいいんだもん。何着ても似合うよ?」
「これをコスプレみたいに言うな!生で生えてるんだぞ!?」
「じゃ、触らせて?」
しめたというように満面の笑みでそういう晴香。
「却下!」
これは即答だった。
「いいじゃない。ケチー」
八雲の尻尾に触ろうと身を乗り出して八雲の後ろの尻尾を追い掛け回す晴香。かなり身体が密接してることには気づいていない。
「僕の尻尾は猫じゃらしか!」
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八雲はとりあえず抱きしめてみた。…どれだけ身体が密着してるのか分ってもらうために。
「…や、八雲…君?」
さすがの晴香もいきなりの抱擁には驚いたのか追いかける手が止まった。
「…くっつきすぎだ!君は。」
さっきの、未来の奥さん発言からいろいろと我慢してる八雲にとってはかなり酷な状態になっていることは間違いない。
「…どうにかして、さっさと元に戻らないとな…」
にゃぁ~
八雲の耳に、あの声が聞こえてきた。おそらく取り付いている猫の幽霊の声。
「…くっつきすぎって…八雲君が離してくれない…んじゃない。」
ぼそぼそと小声で反論する晴香。顔が赤いのは、自分の行動を思い返しているのか…。
ぅにゃぁ~ぉおん~
妙にかわいらしい声、…そう、甘えるような、鳴き声。
「………なるほど、そういうことか…。」
八雲の口元が、歪んだ。意地悪く
「え?…そうゆう事って…?」
「どうやったら、離れてくれるかが分ったんだ。」
「へ?」
きょとんとして顔を上げると口元が意地悪ーく歪んだ八雲の笑顔があった。
「…晴香。」
「え?ちょっ…んんっ!」
唇全部が塞がれて、深いキスを何度もされた。
「とりあえず、本能に身を任せることにした。…人間だって、動物なんだから」
猫の耳があっても、尻尾があっても…このときばかりはかわいいとは思えなかった。
八雲の言葉と一緒に晴香も猫の鳴き声を聞いたような気がした。
春は、猫の発情期…。
END
ちなみに、発情期があるのはメスでオスはそれに連れられて発情するらしいです。
補足説明は次でも(苦笑)
PR
この記事にコメントする
無題
SINです!
八雲の猫姿を想像したのですがなんか…エロスてきに良いと思いました!!
綾先生になんか…またリクエストしたいのですがいいですか?
晴香さんが猫になったら…八雲と同じでエロスになるのかをリクエストしたいのですが…よろしいでしょうか…(苦笑)
八雲の猫姿を想像したのですがなんか…エロスてきに良いと思いました!!
綾先生になんか…またリクエストしたいのですがいいですか?
晴香さんが猫になったら…八雲と同じでエロスになるのかをリクエストしたいのですが…よろしいでしょうか…(苦笑)
Re:無題
SINさん。
お返事遅くなりました(汗)
いつも、こんな挨拶で始まってるような気がします。すみません
猫八雲は…色気倍増な気がします。なんとなく(笑)
お問い合わせのあった晴香の猫化ですが、彼女も八雲と同じになると思いますよ(笑)パターンとしては
1.八雲に散々焦らされる
2.逆に八雲が我慢できなくなる(笑)
のどちらかだと思います(笑)
無題
こんにちは!
最後の最後に発情する八雲…Sっ気強い八雲は好きです(笑
個人的には、後藤さんにも見せたかった…猫耳尻尾な八雲!!
妄想丸出しですいません…。
月曜日から一週間とちょっと、テスト…が、頑張ります…。
乱文乱筆失礼しました。
最後の最後に発情する八雲…Sっ気強い八雲は好きです(笑
個人的には、後藤さんにも見せたかった…猫耳尻尾な八雲!!
妄想丸出しですいません…。
月曜日から一週間とちょっと、テスト…が、頑張ります…。
乱文乱筆失礼しました。
Re:無題
志季さん
こんにちは!ご無沙汰しております。
テストはいかがでしょう?そろそろおわりですかね?
ふふふっ…。やっぱりツボが一緒のようで(笑)コメントを頂くたびにニヤニヤが止まりません。
後藤さんに会わせるパターンも考えていたんですが、抱腹絶倒で後藤さんが笑い転げ晴香と二人して八雲を弄るのしか思いつかなかったんです(笑)
でも、結局S八雲が書きたかったものですからあの形になりました
また、コメントお待ちしております(ぺこり)
こんにちは!ご無沙汰しております。
テストはいかがでしょう?そろそろおわりですかね?
ふふふっ…。やっぱりツボが一緒のようで(笑)コメントを頂くたびにニヤニヤが止まりません。
後藤さんに会わせるパターンも考えていたんですが、抱腹絶倒で後藤さんが笑い転げ晴香と二人して八雲を弄るのしか思いつかなかったんです(笑)
でも、結局S八雲が書きたかったものですからあの形になりました
また、コメントお待ちしております(ぺこり)
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