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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年11月16日 (Sat)
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2007年02月12日 (Mon)
いきなりですが私通。

志季さん。

メールは届いております、ご心配なく。
実は、こちらからも昨日(y3k23s1g2@mail.goo~~)のアドレスで返信をしたのですが、届いていない…んですよね?
今日再送信いたしましたが、いかがでしょう?




さて、長い長い、初デート話。

いつの間にか照れがメインテーマになってますが、気にしない方向で(笑

SIDE:YAKUMO&HARUKA


逢いたかった気持ちは、やっぱり2人とも一緒。



待ち合わせより遥かに早く来てしまったため2人は時間潰しも兼ねてショッピングモールの中をぶらついていた。
「八雲君。」
ぐいっと、コートの裾が引っ張られた。そこはまだ晴香が握ったままだった。
「なんだ?」
歩みを留めて八雲が振り返る。
「ね。ここ寄っていこう?」
2人はちょうど店の前に立っていた。だがこの店は…
「…ここは男物だけだろ。」
八雲が怪訝そうな顔をしながらそういった。
そう、2人が前に立っているのは男物の服屋だった。それなりに有名なお店だったが八雲がそれを知るはずもない。
「だから、なの。」
少し、照れくさそうに…八雲を見上げて晴香はこう言った。
「…八雲君の服、見立ててあげたいな~って…思って……。」
「…………。」
そんな恥ずかしそうに言うな。こっちが照れるだろ。
と、心の中ではいえるがいざ口に出すと自分が余計照れるだけだと八雲は知っていた。
だから、なんともいえない照れと、困惑が少し混じった顔を晴香に向けていた。
「…い、一応…恋人同士なんだし…。……だめ、かな?」
心配そうにそう問うてくる晴香。
この状態でダメといえる奴がいたら是非お目にかかりたい。八雲は底心そう思う。
「しょうがないな、君のセンスの拝見といこうか。」
八雲がこんな、ぶっきらぼうな言い方しかできないのは、今かなり冷静じゃないからだ。
晴香の返事より早く八雲は店の方に足を進めていた。
「うん。」
嬉しそうな声と共に、かすかにコートが引っ張られた。
どうも彼女の言葉は心臓に悪い。「恋人同士」だとか「だめ、かな?」の「かな?」とか……。
嬉しいことを言ってくれるのは事実だが、なんというか…。
恋人だと改めて認識して照れる。「かな?」を言う、君の声が心配げで、何処か儚げで…
その表情も相俟って…衝動的に、抱きしめたくなってしまう。
そんなことを考えてる自分が、言いようもなく気恥ずかしかった。

平然を装っている八雲だが実はその心中はまったく穏やかではないのだった。

数分後。
「ね、これ。着てみて?」
八雲は服を着替えるべく試着室内でネクタイをはずしていた…。

それからしばらくは、晴香の着せ替え人形と化すことを、まだ八雲は知らない……。


「そろそろ、行くか。」
食後のコーヒーをすすり終わった八雲がそう言い立ち上がった。
「え?もういくの?」
かわいらしいケーキをお茶請けに紅茶を飲んでた晴香が驚いて腕時計を見る。
「まだ、時間早くない?映画館30分前からじゃないと入れないよ?」
「それぐらい、分ってる。」
「じゃぁどうして?」
どうにもこうにも…。今日は調子が出ない。
いつもなら先の先まで読めるのに…。
八雲は苦虫を噛み潰したような顔をして、頭をがりがりと掻いた。
「八雲君?」
不思議そうな顔で八雲を見やる晴香。
「…さっきは、僕の買い物に付き合ってもらっただろ……だから君の、買い物に付き合ってやってもいいと…思っただけだ。」
八雲の傍らには先ほどの店のロゴが入った袋がある。中身はジャケットとカットソー、もちろん晴香の見立てたもの、だった。
「そ、それって!!」
数秒、思考の時間があり晴香がそう声を上げた、かすかに頬が赤い。
店の中に居た、大半の人間の視線を一身に集め八雲は気まずくなって再び座った。
「…それって……。」
どういうこと?と聞きたげな視線を八雲に向ける晴香。
「…せ、センスの保障は…しないが…それでもいいんなら…服を見立ててやってもいいって…言ってるんだ。」
「ホント!?」
「……別に嫌ならいい。」
ぶっきらぼうに八雲がそう言うと晴香が強く首を横に振った。
「ううん。嫌、じゃない…よ?」
「…そうか。」
「八雲君がそう言ってくれて…嬉しい。」
本日二度目。
うつむいて、赤くなる晴香とそれを見て照れている八雲。
ここでも、注目を集めていることに気が付いていなかった………。



普段入ることのない場所に八雲は少し居心地の悪さを感じながらも、晴香の洋服選びを見ていた。
「どっちがいいかな?」
「紺の方かな。」
見立てると偉そうなことを言っていたが、結局こういう形に落ち着いている。
「じゃぁ、ちょっと着てみるね。」
そう言うと晴香は満面の笑みを残して試着室に消えていった。
八雲はそのドアにある鏡に映る自分の姿をまじまじ見つめた。
おそらく今日は今までの人生で一番「かっこいい」といわれた回数が多かっただろう。
だが、実際はどうなんだろう。
…今までこんなことを思うことなんてなかった…でも。
彼女のそばに居て…恥ずかしくないぐらいには…なりたいと思う。
ずっと…彼女のそばに…居たいか「八雲君」
「っ!?」
思考が中断されると同時に、ドアが開いて晴香が出てきた、
「?どうしたの?」
そう聞きたくなるのも分る。異様に動揺して、頬が赤い八雲がいたのだから。
「な、なんでもない!」
「…ならいいけど…これ、どうかな?」
モデルよろしく、くるりと回って見せる晴香。ふわりとスカートが膝のあたりで舞う。
「似合ってる、と思うが…」
そんなありきたりなコメントしか出てこないことに自己嫌悪するが。
「ほんと?じゃぁ、これにするね。」
晴香の満面の笑みでそれは吹き飛んだ。なんて単純なんだ。と自分でも思う。
「もう少し待っててね。」
そう言うと再び試着室に引っ込む晴香。
先ほどのに懲りた八雲は、何気なく視線を巡らせた。
そして、目に留めた店の一角にあるアクセサリー売り場へ歩き出した。


晴香が試着室から出ると八雲はそばに居なかった。もっとも、すぐに見つかりはしたが…。
「?どうしたの?」
後ろから、声をかけると少し驚いたように八雲が振り返った。
「いや、君に似合いそうだ…と思って。」
ひょいっとそれを手にとって光にかざしてみる八雲。
それはビーズの指輪だった。濃い赤のビーズが光を受けて光っていた。
「…きれい、だね」
「そうだな。」
そう言うとごく自然に晴香の手を取り指に滑り込ませる。
手を広げてそれを眺めた晴香だったが…
「や、やくも…君…っ!!」
数秒後には顔を真っ赤にして胸の前で手を重ねていた。
「?」
晴香の行動を不審そうな目で見ていた八雲だったが、照れている理由を理解してこちらも顔が赤くなった。
何気なく、嵌めた指輪は薬指に収まっていたのだ。晴香が右手に荷物を持っていたから必然的に左手の…。
『…………。』
傍から見たら妙な2人組だろう、お互い赤面したまま俯いてしまっているのだから。
「…それ、買ったら着けてくれるか…?」
先に口を開いたのは八雲の方だった。
「え?…そんな。いいよ……買ってもらうなんて悪いじゃない。」
「…着けるか着けないかを聞いてるんだ。」
「…それは…」
つける…けど…。とか細い声が響いた。
「なら、何も問題はない。」
「で、でも…」
デートなんだ、何か貢がせろ。…とはいえない八雲。
「悪いと思うなら…君の家でココアでも飲ませてもらおうか。」
変わりに少しだけ、いつもの調子でにやりと笑ってそういった。
「…あ……うん。」
戸惑い半分、嬉しさ半分の表情で晴香はそう返事をした。



まだ続きます(爆)
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無題
SINです。

八雲と晴香のデートを見てなんか八雲がこんなに動揺するなんって思わず笑みが浮かびました!

綾先生また面白い作品を見せてくださいね!!
SIN 2007/02/13(Tue)07:31:45 編集
Re:無題

SINさん。コメントありがとうございます!
八雲は普段クールなので本当はデ-トでもスマートにエスコートしそうですが。
慣れてなくてわたわたさせるのもいいなと思ったのであんな形に(笑)
照れ八雲とバカップルが、テーマになりました。
面白い、と言っていただけるようなものが書けるかどうかわかりませんが
ネタがある限りは書いていきます♪
お付き合い、いただけたらと思います。
【2007/02/16 20:42】
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