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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2025年03月10日 (Mon)
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2008年10月14日 (Tue)
さてさて、ちゃんとご説明しないとですね。

このカテゴリー(コラボ:オリジ)はオリジナルキャラクターと八雲たちが絡みます。
なので苦手な方はご注意くださいませ~。

今連載中の「マリンスノウ」では友人として…という設定で女の子をお預かりしました。
哀さん宅のお嬢さん、海堂瑠璃です。
簡単なプロフィールをご紹介。
・八雲たちと同じ年。
・祖父がフランス人なので遺伝的に青い瞳、黒髪。
・霊感体質。八雲みたいに眼で見て認識するのではなく、思いが直接脳へ影響を与えて霊を感知する事ができる。

他にも設定が細かく決まっていますがそれはおいおい…。
哀さんには瑠璃以外にも話の筋書きやネタを提供していただいたりしました。
なので私の文章の中に哀さんの文章をそのまま転用させていただいているところもあります。
(というか2はほぼそれです。)

ちなみに八雲たちは6巻後設定(八雲が眼を曝しています)で付き合いたてです。

ちなみに我が息子も絡ませます。
えぇ…出しますとも、親ばかですからっ!(笑)

ではでは、お付き合いいただける方はお付き合いくださいませ。


2 遠ざかる意識の中で






その日の事を…今でもはっきり覚えている。


二度目の新婚旅行っと…喜んでくれた2泊3日の海外旅行。
私が当てたもの。当ててしまったもの……


2人を乗せた飛行機は蒼から青へそして紺碧へ……漆黒へと呑まれた。


両親を迎えに空港へ向かう前、腕時計と時報を確認する為に何気なく点けたテレビ。

『本日、日本時間午前―グアム発362便がエンジントラブルと思われる――墜落しました――』

「え?」

最初は何かの聞き間違いがいかと思った…。
もしくは私の記憶ちがい。

パソコンの電源を慌てて入れた。立ち上がる時間がいつもより長く感じてしまう。
不安が…膨らむ。

パソコンを立ち上げるや否や、急いでメールを開き事故を起こした飛行機の便を確認した。

「…嘘、でしょう?」
今朝の6時に届いたメール。
「今から帰ります」の件名。
今日の15時には空港に着く…という簡単な言葉で締めくくってある。
そして添付ファイル。外国の町並みを背景に幸せそうに微笑む人の写真。

気が付いたらカタカタと小さい音が鳴っていた。
パソコンのキーボードに指が触れている音…指先の震えの音…だった。

呆然としていた時間はさほど長くはなかったのだろう。


乱暴に電源を落とし、戸締りもそこそこに空港に向かった。
『心配性。必ず帰ってくるから』

その言葉が頭の中で何度も何度もリフレインされる。

出発前に約束した。帰ってくると…。だから大丈夫。大丈夫

自分にそう言い聞かせても渋滞の列に並ぶタクシーの多さが不安をどんどん掻き立てていった。



「嘘よ……嘘嘘っ!!!」
「乱気流とエンジントラブルが原因と思われます。」
「返して…返して!返してよ!」
「繰りかえします。グアム発362便がエンジントラブルと思われる事故で墜落しました」
「夢なら醒めてよお願いだからっ!!」
「はい、こちら現場の空港です。」
「責任者!出てきて説明しろ!!どうなってるんだ!」
「いやっ…いや……いやぁっ!嘘よ嘘っ!」


混沌という言葉がぴったりのような…空港。

笑顔で帰国を迎えようとしていた人たちの殆どが泣き叫び喚いている。

それにたかるマスコミ陣。

こういう…状態が阿鼻叫喚というんだろう。



頭が痛い…。

いろいろな人の思いが一気に押し寄せてくる。


頭が…割れそう…。


やめて…私に干渉しないでっ

私の中に入ってこないで!



18年間生きてきて身につけた霊の対処方。


自我を保つだけで精一杯だった。



そこからは覚えていない。



「墜落地点は海流の激しい海域で、生存者の捜索は困難を極めるものと思われます。」



遠ざかる意識。

おぼろながら覚えている事がある……


赤い色。


血の臭いと赤。

手首の痛み



青は…いや。


嫌…だ。




2 遠ざかる意識の中で




今日はいい。一日曇りだったな。
海堂瑠璃はそう思いながら明政大学の校内を歩いていた。
時刻は夕方になろうかという頃…。夕日が今日は見えない。
雨が近付くと古傷が痛む…今夜は雨になりそうだ…。
でも晴天よりは雨がいい、黒っぽい服ばかりの私服は日光の下を歩くとすぐに汗をかいてしまう。これからの季節は少し辛い。
それでも、他の同性がしているような格好をする気はない。私は見世物じゃないのだから。
講義が終わった校内はそれぞれ向かう場所に向かっている。
アルバイト、次の講義、友達との遊び…等々
瑠璃はその人の波を避けるように人通りの少ない方へと歩いていった。
学校という人が多い場所ほど霊は集まる。それは憑いているのも浮遊霊も同じ…。
それはまぁいい。
瑠璃はそう思いながら正面から歩いてくるカップルに目をやった。
同じ法学部、犯罪心理学専攻で…この前の演習のときに同じグループになった男。名前は知らないし覚える気などない。
義務教育や高校で、保健体育の授業を受けなかったのかといいたくなる。
後ろに見えるのは…子供。はっきり言えば水子。
まだ喋れもしない赤子でも感情はある、言葉で言えといわれれば説明できないが…感じるのは良と悪で言えば悪。
負の感情。
そのときの思い違いではなかった、はっきりそこにいる。
すれ違いざまに…聞こえた会話。
「今日、俺んち止まる?」
演習の時も感じた虫唾が走るほどの不快感が蘇ってきた。
水子の霊をつけながらどの口が堕胎罪や性犯罪について語る資格があるというのだ。
綺麗ごとを並べただけのレポートを自慢げに読み上げるのはどの口だ。
不快感を通り越して吐き気がする。

微かな頭痛を感じて瑠璃は慌ててその感情を押し殺した。
感情が不安定になるといつもは問題じゃない霊が牙をむく。日和見感染と同じ原理だ。
呼吸整え意識して自分を保つ。
私は海堂瑠璃…。それ以外の何者でもない。私は、私だ。
目を開けたときにはもう頭痛は治まっていた。

やっぱり人ごみは嫌いだ…。

不快感をぬぐえないまま瑠璃は早足でまた歩き出し…敷地外に通じる人通りの少ない階段を降りていった。

今日に限ってバイトもレポートも無い。時間を持余すのが一番困る。
どちらか一つあれば戻れぬ過去に耽ることも無く、不快な思いを紛らわせる事ができるのに。
図書館にでも寄ろうか…
そんなことを思ってきた瑠璃にソレはいきなり飛びついてきた。頭がガツンと痛む。憑かれた。
「!」
階下に下りた時視えたモノ、「危険」と本能が察知する。
必死で自我を保つが、瑠璃に憑いたソレは瑠璃を嗤う様に体を蝕む。頭が割れそうな程痛い。
 生きたい生きたい死にたくない生きたい生きたい生きるんだやりたい事がある生きる死にたくない生きたい生きたい生きたい死にたくない死にたくない生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい
思いが脳を締め付ける。
瑠璃は咄嗟にポケットに入れていたボールペンを抜いた。
「離れなさい!」
そう叫ぶと何のためらいもなく瑠璃は手の甲にペンを刺した。
血が滲み、床に滴り落ちると同時にソレは瑠璃から離れた。

「私の身体は…私のものだ…。」
痛みに顔をしかめながら気配が無いことを確認し、赤く染まったペン先を抜く。
ぽたっと…新しい血が滴り落ちる。
赤い血。それを見て…何故かほっとする自分がいる。
「…血液まで青だったら怪物だわね…うっ!」
激しい頭痛に耐えられなくなり壁にぶつかる様に倒れ込む。
「何か叫び声が聞こえなかった?」
「ああ」
別々の二つの声…に足音。視界がかすむ。意識が遠のく……
「八雲君!大変、人が!血がっ!」
「ハンカチを持ってるか?」
「うん。」

身体が動かされる、視界が明るくなる。

放っておいて…いい、のに…。

「大丈夫ですか!?」

あぁ…赤……だ。

遠ざかる意識の中で

二つの紅い光が…


瞳に焼きついた。


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無題
どうも(汗)哀です。私のはあくまでも駄文。綾さんのフォローがあって、海堂瑠璃は命があるようなものなので…。でも、やはり里親に出したとは言え、瑠璃(むすめ)を愛しく思えます。ありがとう、綾さん。
哀(あい) 2008/10/14(Tue)23:08:45 編集
Re:無題
哀さん。

お返事遅くなってしまってすみません(汗)

駄文だろうと文は文です。いわば文字の集合体。
文字の集合体にそれに上手い下手はなですよ。
フォローというか私なりに瑠璃を表現してみようと思って少し手を加えさせていただいてます。

養子に来ても娘は娘ですので、これからも精一杯愛してやってください。

あ、うちの息子もどうかよろしくお願いしますね(笑)
瑠璃ちゃんといっぱい絡ませたいです(親ばか)

コメントありがとうございました!
次も待っててくださいね。
【2008/10/20 22:33】
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