ここは「文風月」内、FF置き場です.
カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
続きです…。二部構成と言っときながら、いろいろ増殖してます(苦笑)
「まっすぐに感情をぶつけられる…君が。」(6/23)→「私は、八雲君みたいに弱くないもの」(8/15)→「血が、騒ぐ…」(7/4)
の順で読んでくださればつながると思います(汗)
「まっすぐに感情をぶつけられる…君が。」(6/23)→「私は、八雲君みたいに弱くないもの」(8/15)→「血が、騒ぐ…」(7/4)
の順で読んでくださればつながると思います(汗)
「八雲くーん」
能天気な声が部屋響く。
あの夢をみた、その日の昼の事。
今、最も逢いたくない相手が。
相変わらず、神出鬼没でやってきた。
僕の心配など知った事じゃないといわんばかりの声で。
「…………。」
相変わらず…か。
自嘲の笑みがこぼれた。それぐらい、分かるほどに一緒に居る……なんて、な。
誰か一人が…赤の他人がこんなに一緒に居るなんてな…。
「な、なによ…」
僕がそんなに変な顔をしていたのか、怪訝そうな顔でそういってくる。
「君の頭の中に『心配』なんて単語がないかと思って見てたのさ。」
「もう、何でそんな風にしかいえないの?」
むぅっと膨れてそう言う君。どれもこれも、見慣れた表情だった。
「いまさらか?」
クッと笑ってから、これもお決まりになった言葉を投げかける。
「で?何しに来たんだ?」
よりにって、逢いたくないときに…思ってしまう。
出来れば、今日は一緒に居たくない。
今日は少しナーバスになっているのだ、あいつが絡むといつだってそうだ。
「何って…。理由なんてないわよ。来たいから来ただけよ。」
平静を装っているだけが精一杯。
「………。君は…どれだけ暇人なんだ?」
「八雲君だって、いつだって暇でしょ!…」
その言葉を聴いて、思わず笑ってしまった。少し、軽蔑のこもった笑みだ。
「もっと有意義な時間の使い方をしたらどうだ?」
僕の帰る場所はここで…
「え?」
僕の居場所はここしかない。
「僕じゃなくても、話し相手ならいくらでもいるだろう?」
でも彼女は違う。
「ここに来る必要など、ない。だろう?」
ちがう…。
それを言うべきじゃない。
頭では分かっている…
分かってる…。
分かってる…。
「君と僕とは…ちがう。」
今日は、おかしいんだ。
だから、今日は帰ってくれ…。
明日になったら…
いつもの僕に戻るから…。
皮肉を言って…他愛無いことで会話して…。
無邪気に、じゃれあう事だってできるようになるから…。
だから今日は、今日だけは…。
もう、帰ってくれ…。
これ以上、君に…。
酷い言葉を言いたくないんだ。
「そうね…。私と八雲君は違うわ」
静かな映画研究同好会の部屋にそんな声が響いた。晴香がゆっくり口を開いたのだった。
「私は、八雲君みたいに弱くないもの」
「!?」
予期せぬ言葉に八雲は思わず顔を上げた、真正面で視線が絡んだ。
「いつまで…そうしてるつもりなの?」
少し悲しげな晴香の声が視線と共に、八雲に突き刺さる。
「ねぇ。こんなに傍にいるんだよ…?」
手が触れ…ゆっくり、手を握る。
「この距離で、何を黙る必要があるの?」
「こんなに、近くにいるのに…どうして心は遠いの?…」
「何を…戸惑ってるの?」
「…八雲君は、何が怖いの?」
続けざまに投げかけられる晴香の質問に八雲は答えない。
ただじっと、視線をそらせて唇を噛み締めているだけだった。
「ねぇ、離れるのが優しさなんていわないでよ?」
「遠くに…自分から離すのが、優しさだなんて思わないで」
「そんな、優しさなんていらないよ。」
搾り出すような声だったが、八雲はその声にも顔を上げなかった。
「優しくなくたっていい。だって、八雲君は八雲君じゃない。」
その八雲の頬に…手を伸ばし、ゆっくり触れた。
何も反応はないけれど、微かに震えているのが分かった。
「もう、自分を偽るのやめようよ。我慢するの、やめようよ。」
もう、苦しんで欲しくない。
晴香の思いはそれだけ…。
「私は…少なくとも私だけは。八雲君のこと怖がったりしないよ…なんでも、受け入れるから。怖がらないで」
背中に…手を回して、ゆっくり抱きしめた。
大丈夫だと、分かってほしい、一人じゃないと分かってほしい。
その一心で…次の言葉を紡いだ。
「だって八雲君が、大好きだから」
晴香も初めて口にする気持ちの告白。
八雲がどう思ってるかじゃなく…ここに一人、大事に思っているという人が居るということを知ってほしかった。
ただ、それだけ。
「へぇ…じゃぁ、証明してみろよ。」
久しぶりに聞こえた…八雲の言葉は
酷く、冷たく聞こえた…
そうして晴香の視野が一瞬のうちに変わった…。
続く
能天気な声が部屋響く。
あの夢をみた、その日の昼の事。
今、最も逢いたくない相手が。
相変わらず、神出鬼没でやってきた。
僕の心配など知った事じゃないといわんばかりの声で。
「…………。」
相変わらず…か。
自嘲の笑みがこぼれた。それぐらい、分かるほどに一緒に居る……なんて、な。
誰か一人が…赤の他人がこんなに一緒に居るなんてな…。
「な、なによ…」
僕がそんなに変な顔をしていたのか、怪訝そうな顔でそういってくる。
「君の頭の中に『心配』なんて単語がないかと思って見てたのさ。」
「もう、何でそんな風にしかいえないの?」
むぅっと膨れてそう言う君。どれもこれも、見慣れた表情だった。
「いまさらか?」
クッと笑ってから、これもお決まりになった言葉を投げかける。
「で?何しに来たんだ?」
よりにって、逢いたくないときに…思ってしまう。
出来れば、今日は一緒に居たくない。
今日は少しナーバスになっているのだ、あいつが絡むといつだってそうだ。
「何って…。理由なんてないわよ。来たいから来ただけよ。」
平静を装っているだけが精一杯。
「………。君は…どれだけ暇人なんだ?」
「八雲君だって、いつだって暇でしょ!…」
その言葉を聴いて、思わず笑ってしまった。少し、軽蔑のこもった笑みだ。
「もっと有意義な時間の使い方をしたらどうだ?」
僕の帰る場所はここで…
「え?」
僕の居場所はここしかない。
「僕じゃなくても、話し相手ならいくらでもいるだろう?」
でも彼女は違う。
「ここに来る必要など、ない。だろう?」
ちがう…。
それを言うべきじゃない。
頭では分かっている…
分かってる…。
分かってる…。
「君と僕とは…ちがう。」
今日は、おかしいんだ。
だから、今日は帰ってくれ…。
明日になったら…
いつもの僕に戻るから…。
皮肉を言って…他愛無いことで会話して…。
無邪気に、じゃれあう事だってできるようになるから…。
だから今日は、今日だけは…。
もう、帰ってくれ…。
これ以上、君に…。
酷い言葉を言いたくないんだ。
「そうね…。私と八雲君は違うわ」
静かな映画研究同好会の部屋にそんな声が響いた。晴香がゆっくり口を開いたのだった。
「私は、八雲君みたいに弱くないもの」
「!?」
予期せぬ言葉に八雲は思わず顔を上げた、真正面で視線が絡んだ。
「いつまで…そうしてるつもりなの?」
少し悲しげな晴香の声が視線と共に、八雲に突き刺さる。
「ねぇ。こんなに傍にいるんだよ…?」
手が触れ…ゆっくり、手を握る。
「この距離で、何を黙る必要があるの?」
「こんなに、近くにいるのに…どうして心は遠いの?…」
「何を…戸惑ってるの?」
「…八雲君は、何が怖いの?」
続けざまに投げかけられる晴香の質問に八雲は答えない。
ただじっと、視線をそらせて唇を噛み締めているだけだった。
「ねぇ、離れるのが優しさなんていわないでよ?」
「遠くに…自分から離すのが、優しさだなんて思わないで」
「そんな、優しさなんていらないよ。」
搾り出すような声だったが、八雲はその声にも顔を上げなかった。
「優しくなくたっていい。だって、八雲君は八雲君じゃない。」
その八雲の頬に…手を伸ばし、ゆっくり触れた。
何も反応はないけれど、微かに震えているのが分かった。
「もう、自分を偽るのやめようよ。我慢するの、やめようよ。」
もう、苦しんで欲しくない。
晴香の思いはそれだけ…。
「私は…少なくとも私だけは。八雲君のこと怖がったりしないよ…なんでも、受け入れるから。怖がらないで」
背中に…手を回して、ゆっくり抱きしめた。
大丈夫だと、分かってほしい、一人じゃないと分かってほしい。
その一心で…次の言葉を紡いだ。
「だって八雲君が、大好きだから」
晴香も初めて口にする気持ちの告白。
八雲がどう思ってるかじゃなく…ここに一人、大事に思っているという人が居るということを知ってほしかった。
ただ、それだけ。
「へぇ…じゃぁ、証明してみろよ。」
久しぶりに聞こえた…八雲の言葉は
酷く、冷たく聞こえた…
そうして晴香の視野が一瞬のうちに変わった…。
続く
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無題
SINです!
綾さん…SINです!
今週まで暇なので来ちゃいました☆
来週になると専門学校のオープンキャンパスに行かないといけないのでここに来れません
なんか続きですね~!
それはさておき………晴香さんが八雲の弱い部分を知っていて八雲はそれを気付かせないように皮肉を言ってたけど晴香さんが「八雲君より弱くない。」
それを聞いて晴香さん…カッコいいって感じてしまいました(笑)
綾さん…SINです!
今週まで暇なので来ちゃいました☆
来週になると専門学校のオープンキャンパスに行かないといけないのでここに来れません

なんか続きですね~!
それはさておき………晴香さんが八雲の弱い部分を知っていて八雲はそれを気付かせないように皮肉を言ってたけど晴香さんが「八雲君より弱くない。」
それを聞いて晴香さん…カッコいいって感じてしまいました(笑)
Re:無題
SINさん今晩は、もう「来週」になってしまいましたが(汗)コメントありがとうございました。
続きです。随分放置していた続きです(汗)
八雲の皮肉は弱さを隠すためのものだというのは、晴香も知っていることで…強がっても八雲はやっぱり脆い部分があると思います。
私の作品の傾向としては、カップリングの片方が沈んでるときはもう一方が引っ張って上げる…っというのがあります。
2人とも沈んでたらそれこそマイナス思考で2人の仲が破局しかねんので…。(苦笑)
八雲が弱ってるときは晴香は強気です。なのでかっこいいといっていただけて、嬉しいです。(笑)
強い女性って、私のなかで大好きですから♪
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