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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月19日 (Sun)
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2013年01月17日 (Thu)
新・組版作業室の凪さんとのコラボ作品。

リレー小説で日替わりで更新いたしますので、明日は凪さん宅の更新です。

お楽しみに!


以下、注意事項。

・メールでのやり取りのコラボなので、全体的に一度の更新が短めです。
 なので、2~3話を一つの記事にまとめます。
 新しい記事を上げるまでは、最終更新↓を参照していただければ幸いです。

・途中からパスワード制になります。
 まぁ、それは随時お知らせします。


最終更新 1月17日

志乃サイド9です。


次回よりいよいよあっち方面です。

デスクトップパソコンの前に、彼は居た。
驚いたように顔を上げた彼も、目が点だった。
「志乃…」
驚いたのは、私も同じだ。
「どうしてここに?」
さっき、お休みと別れたのに。
もう少し傍にいたいと、思っていたのに。
背中しか、向けてくれなかったのに…っと、少し恨めしくなる。
「ちょっと調べたい事があってさ。志乃は?」
いかにもなんでもないと言うように彼はそう言った。
まだ、離れたくないと思っていたのは自分だけかと思う。
「あたしはこれを返しに」
視線でパソコンをみると、彼は微かに眉間に皺を寄せた。
「明日の朝でもよかったんじゃないか?」
「あたしが一番先に事務所に来るとは限りませんから」
彼の言葉を聞きながら、ハンドリムを操作し、いつもの場所にノートパソコンを置く。
そして、彼に向き直った。
「お手伝いします」
それが当たり前だと思ってたのに、彼は時間が止まったように固まった。
それが不思議で、言葉を続ける。
「こんな時間に調べものなんて、大至急なんでしょう?」
「大至急ってほどじゃ」
珍しく彼が口籠もった。
「二人で手分けした方が早いですよ」
仕事なら、当然だろうと思う。
「サンキュー。でも一人で大丈夫だから」
彼はなんでもないように、そう言ったが…私ができることなら、なんでもやりたい。
仕事が遅れてしまった原因が、私が部屋に行った事が原因なら尚更だ。
なのに、言ってくれないのは…寂しい。頼りないのかなぁっと思って、悲しくなる。
「じゃあ、協力してくれるか?」
その一言で気分がパッと晴れた
「はい!」
満面の笑顔で、そう言った。
「観たい映画、あるか?」
「はい?」
つい、変な返事をしてしまった。話の流れが分からない。
「行きたい場所とか、店とかは?」
「どうして、そんなこと…」
きょとんとしてしまった。まだ、話の繋がりが分からない。
仕事じゃないんだろうか。
「…ぜーんぶ計画立ててから誘うつもりだったんだけど…」
彼は独り言のようにそう言って、笑った。
「次の休みにデートしようぜ」
「デート…」
仕事ではなかったようだけど…。デート…って。
デートって…。
よく聞く…憧れていた、デート…。
顔が熱くなった。
「なぁ、志乃はどこに行きたい?」
「え…あの……」
まだ、デートの単語のショックが抜けない。
視線が、彼に向けられない。
つい、キョロキョロしてしまう。行きたい場所…
質問について、答えることに集中にしないと…また赤面してしまいそうになる。
彼が、喜んでくれる場所…。
「…あ! 河合さんのお店!」
今日の彼の帰ってきた表情を思い出して、そう言った。
…だが予想以上してた反応じゃなかった。
彼の肩ががっくり落ちた。
「…なんで?」
「真田君、バイク好きでしょう? だから、バイクショップに行ったら喜んでくれるかな、って思ったんですけど…」
素直に言葉にだしたが、彼は意外そうな顔をした。
「…おれの為?」
呟くようにそう言った彼の言葉にうなずいた。
「あたしは…出かけることは殆どなかったから、素敵な場所とか知らないし、行きたい所もないから…あ、サーキット場の方がいいですか?」
首を傾げて訪ねると、彼が笑った。
「んー…レースを見るのも好きだけど、おれは自分で走る方が好きだから」
「そうですか…じゃあどこがいいかな…」
また、考えなきゃいけない。
デートっと、言うのが…どういうものが分からないけれど…誘ってくれたのは…嬉しい。
彼の口元が緩でいるのが嬉しい。
「映画、はしごしねぇ?」
「映画ですか?」
「そ。志乃が観たい奴と、おれが観たいのと」
彼の提案を…拒む理由はなくて。
「いいですね」
と返事をした
彼が提案してくれて、安心した。
本当に、デートと言うのは…はじめてだから、分からない。
「あと、メシとかお茶とか、何か食える店を考えとこうぜ。どっちに行くかは当日の気分次第ってことで」
「はい」
こうやって、決めてくれたほうが嬉しい。
「そろそろ寝よう。寝坊したら大目玉だ」
「そうですね」
つい、いつもの癖でマウスに手を伸ばす。
ひやりとしたマウスと対照的に手の甲は暖かった。
それにびっくりした。
「ご、ごめんなさい!」
慌てて引っ込めようとしたら、手を握られた。
「…真田君?」
びっくりして…彼を見上げた。
「…もし、おれが…」
どこか、そっぽを向いて、彼が言った。
「…ホテルに行きたい、って言ったら…何て答える?」
呟くように、彼はそう言った。
彼の小さい声も気になったがその単語も不思議だった。
「…ホテル?」
ホテルになんの用があるんだろう?
「お洒落なバーとか?…ディナーショーとか?」
思いつくようなことを羅列して…彼の方をみたけれど…相変わらず、そっぽを向いたままだった。
「……………。」
そして、黙ったまま、彼は椅子から立ち上がった。
「真田くん?」
彼の行動が分からなくて、彼を見上げる。
まだ、切っていないパソコンのモニターをこちらに向けて…キーボードも少し動かす。
そうして、なぜか彼は、私の後ろに立った。
「そんな、高級なとこじゃなくて…」
少し混乱していると、後ろから手がのびてきて、マウスを操作する。インターネットに接続して、検索サイトを立ち上げた。
不思議に思いながら、ディスプレイを見ていると、二つの単語が打ち込まれた。
「五反田」「ホテル」
それを目でおっているうちに、検索が終わったらしくページが変わる。
「休憩2時間3000円とか、そういう奴だよ。」
彼の声がそう聞こえてきて…画面が次々変わる。
何か探しているようだけど分からない。
「あ……。」
目の前のディスプレイに映し出されたホテルには見覚えがあった。
だが、それは…。
「真田…くん?」
自分が思ってる事が勘違いであってほしいと…期待を込めて名前を呼んだ…けれど、振り向けない。
「おれが言ってるのは、こーゆー場所のことだぜ。」
「…ここは…この前仕事で…。」
自分でも驚くぐらい、か細い声だった。
そう、危険な仕事ばかりじゃなく、ファミリー調査サービスに来る依頼の大半は浮気調査だ。
ここは前、ターゲットが逢瀬に使ったホテルだった。
外見が特徴的だから覚えている。
この調査報告書に書かれていた「肉体関係」「男女の仲」っという文字が不意に思い出された。
そういう事をする場所なんだと、頭ではわかっている。

でも…。
でも……。
「志乃。」
頭が混乱する中で、名前を呼ばれたけれど…反応ができなかった。
「おれが、ココに行きたい、って言ったら…何て答える?」
また、同じ質問が降ってきた。
「………………。」
頭の中がぐちゃぐちゃだった。ぜんぜん整理できない。
「志乃」
落ち着いて考えることもできていないのに、名前を呼ばれると焦ってしまう。
「ひゃぁっ!」
少し待ってと言おうと口を開いたのに、出てきたのはそんな声。
項にキスされたと分かったのは…二度目のキスで。
「さ、真田…くん?」
なんでそんな場所にっ、と思い名前を呼ぶ。
「時間切れだ。」
不意に聞こえた低いに声に驚いた。耳元で、囁かれる声。
「…デートまで、待てそうにねぇ。」
そして、喋る度に耳に息がかかるのが、くすぐったい。
いつの間にか、車椅子ごと、後ろから抱き締められて…。
「んっ…。」
なぜか、耳を噛まれた。
痛みはさほど感じないけれど、不思議な感覚が全身を襲う。
「おれは、志乃が欲しい。志乃の、心も、身体も、全部。」
「…さ…な、だくん…」
声が震えた。
パニックなのか、緊張なのか…自分でも分からない。
黙っていたらダメだと、思うのに、上手く言葉が出てこない。
ぐいっと、顎に指をかけられて
顔の位置を動かされた。
「!!!」
え?っと思っている間にキスをされた。
触れるだけのキスでも、驚くのに…それ以上の深いところを求めてきた。
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