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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月19日 (Sun)
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2013年02月04日 (Mon)
新・組版作業室の凪さんとのコラボ作品。

リレー小説で日替わりで更新いたしました

いよいよ最後です。

最終更新 2月4日

志乃サイド17(最終回)です。



あとがきなどはまた後で…(笑)




ゆっくり、入浴を終えて…寝間着に着替える。
おやすみなさいを、言いたくて…少しの間、部屋の前で待っていたけれど…
やってくる気配はなくて…ため息をついて、部屋のドアを開けた。
うっすらと月の光がさし込む、自分の部屋。
見えるのはいつもと同じ、自分の部屋だった。
何もなかったかのような、いつも通りの部屋。
ベッドの横に車椅子をつけて…ベッドに座った。
ふぅっと…落ち着けるために深く息を吐く。
いつもの変わらない部屋。
…ここまで何も変わらないと…今までの数時間はなんだのかと思ってしまう。
ベッドに仰向けになり…天井を見つめる。ふぅ…っと息を吐きだす。
なんだか、とても疲れた気がする……。



気がついたら…朝だった。

いつもより少し早く起きてしまった。
なんだか…よく眠れたのか、寝不足なのか、よくわからない。
ゆっくり、寝間着から普段着に着替える。
そのあと、朝の洗顔を終えて部屋に戻ってきた。
窓を開けて…外の空気を部屋の中に入れる。
今日も暑くなりそうな天気だった。
外を眺めていると…ドアがノックされる音がして我に返った。
ハンドリムを操作して、ドアを開けると…そこに真田がいた。
その顔…少し、心配そうな顔を見ると…昨日のことが夢ではなかったと改めて思い知らされて…顔が熱くなった。
思わず俯いてしまう。
「おはよ」
「…おはようございます」
顔を上げることができずに…俯いたままそういう。
「ゆうべ、ちゃんと眠れたか?」
「…はい。一応」
眠れたは眠れたけれど…やはり、身体の気だるさが残る。
「そっか、なら良かった」
「…真田君は?」
「完徹」
「完徹!?」
聞えてきた…単語に思わず、顔をあげてしまった。苦笑いしている彼と目があった。
「色々やったけど全然ダメでさ。気分転換を兼ねて、真っ暗な中自転車で買い物に行ったんだぜ」
真っ暗な中…自転車で買い物…
聞えてきた単語に唖然としてしまった。
「? コンビニにですか?」
「いや」
聞きなれない店の名前に…首をかしげた。
近場にあるお店ではないのは確かだった。
「どんなお店なんですか?」
「二十四時間営業のディスカウントストア。食べ物・飲み物・服・雑貨・ブランド品、大抵のもんは売ってる。ないのは生鮮食品くらいか」
「それじゃ睡眠薬を買いに?」
眠れないと言っているので、そうなんだろうと思った。
「ゴム」
ゴムっと言われて輪ゴムが頭に浮かんだけれど…昨日教えてもらったそれが頭の中に出てきた。
耳まで熱くなるのがわかる、顔を合わせられなくて…視線が泳ぐ。
「おれはいつでもオッケーだから」
改めて準備ができていると…宣言された、気がする。
それはそれで…また不安が頭を擡げる。
「……本当に…あたしでいいんですか?」
何度聞いても不安は拭えない。
「志乃がいい。志乃以外いらない。…いや、正確には…」
「…?」
少し口ごもったのを不思議に思いながら…彼を見上げた。
「忍耐力を総動員して我慢しなきゃなんねぇほど志乃だけが欲しい」
「!」
「焦んなくていいぜ。おれと同じ気持ちになったら教えてくれ」
「…はい」
直球な言葉に…小さいながらも、了承の返事をした。
本当に…優しい人だと思った。
だから、好きになったのかなっとも思う…。
「先に行ってる。顔の赤みが治まってから来いよ。でないと山縣さんと公香が心配するから」
「はい」
「じゃ後で」
手を振って、歩き出した彼の背中を見送って…ドアを閉めた。

息を吐き出して…手で顔を仰ぎ、風を送り…暫く待つ。
部屋のドレッサーで顔の赤みが収まったのを確認して…ドアを開けた。


「おはようございます。」
「あぁ。おはよう。」
ソファに座っている山縣にそう、声を開けて…キッチンへ向かう。
「おはよう。志乃ちゃん。」
「おはよう志乃。」
「おはようございます。公香さん、真田君」
キッチンで朝ご飯をつくっている公香とコーヒーを入れている
「志乃ちゃんが来たから、真田は向こうに行ってなさい、邪魔よ。」
「へいへい。コーヒーが入ったら行くぜ。」
そんなやりとりをしながら…朝ごはんを入れるいつものお皿を出す。


いつもと変わらない…朝の風景だった…。



END
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