「何を作ってるんだ？」

真面目な話。
ここ来年どうしようかと思ってます。

思い切って解約するか…。
１年間放置か。

今のところ３００以上の作品があるわけですが…。
ざっくり消すのも気が引ける…
かといってフリーでお好きなモノをもってってくださいっていうのも失礼。
捧げるものには程遠いものばかりだしね。

人気投票でもして…ベスト２０ぐらい残そうかとも思いましたが…無理ですね。


さて、作品は…。某お人に捧げようとして気に入らなく没にしたネタ。
家でかざるにはいいんだ…この程度でも（苦笑）

秋晴れのとある日…。
吹いてくる北風は寒いが、それが遮られている部屋のなかは暖かい。
そんな陽だまりの中で八雲は昼寝をしていた。
まだ、コタツがなくとも十分暖かい…午後の太陽。


トントントン…っとリズミカルに音を刻んでいる。


その音に反応するように…八雲はまどろみの中から這い上がってきた。


母…さん？


いや違う…。


晴香…だ。

その茶色の髪を見ながら八雲はゆっくり覚醒した。


時計を見ると、寝ていたのは１時間ほどだった。

八雲は身体を捻って、うつぶせになり床に頬杖を着いてその後姿を見ていた。


晴香が上の棚をあけた…。

爪先立ちになる。



あいつ…あんなに小さい奴だったっけ？


届かないんだ…な。


言えば、とってやるのに。


八雲はくすっと笑いながら、起き上がった。



「ん……と…。」
特別足音を忍ばせているわけではないのに彼女は気付かない。
晴香が背伸びして、指先が触れたそれをひょいっと取る。
それは密閉できる瓶だった梅酒なんかを造るときに使うあれ。
「あ……。」
見上げてきた目と、目が合った。いつもの目線。
「起きたの？」
「まぁね。」
そういいながらそれを渡して…腰に手を回して抱き寄せた。
「や、八雲君？」
「ん？」
頭の上にキスをする。
「どうしたの？」
「いや。」

君はこんなにも、小さかったのか…。

腕の中に納まる体を抱いてそう思う。

いや……

僕の中で…君がとっても、大きかったんだな…。


改めてそう思って…八雲は晴香の束縛を緩めたが決して離そうとはしない。
「何を作ってるんだ？」
晴香の後ろから手元を覗き込む。
キッチンに置かれているのは真っ赤なりんごとレモン。
「ん、りんご送ってきたから。…お酒につけようと思って。」
「酒？」
「うん。りんご酒。お母さんったら５キロも送ってきたんだよ？」
毎日食べたら飽きちゃう。
そういいながら晴香は、その瓶にりんごを入れ始めた。
「はい。あーん」
最後の一個をそういいながら八雲の口元へ持っていく。
「……………。」
八雲がそれを凝視するものだから…晴香は戸惑った。
「もうっ…そんな顔しないでよ。」
拗ねたような…表情が可笑くて…愛おしくて。
晴香の手を掴んで半分だけそれを齧って…手首を離した。
「………。」
ずるいっと小さく呟いて…残りを口の中に入れた。
そうして、晴香は皮をむいたレモンの輪切りとホワイトリカーと氷砂糖を入れた蓋をした。
「いつごろできるんだ？」
「３ヶ月後。楽しみにしてて。」
「了解。」
くすっと笑って八雲は晴香をやっと解放した。
「三時のおやつにしようか。」
八雲は笑いながらそういって、プリンを出すために冷蔵庫へと近付いていった…。

END