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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月19日 (Sun)
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2007年09月06日 (Thu)
どうらやら私は…

どう転んでも甘い話が好きみたいです(笑)

うん、良い(何)



っというわけで砂糖追加。

あだるでぃ注意

秘密の原石箱より

キスする場所で5題

5.乱れるリズムが愛しくて…


恋人設定NOT同棲





なんてことはない…時間なのだ。


夕食が終わってから就寝までの数時間。


それが今日はなぜか長く感じる。

でもそれが…

とても大事な時間に思える…。



晴香はキッチンにいた。
まぁ、それはおかしなことじゃない、ここは晴香の家なのだから。

八雲はリビングにいた。
これもまぁ、おかしい事じゃない、2人は恋人同士なのだから。


晴香はどこか上の空で食器を洗っていた、もちろん2人分。
八雲が足音を忍ばせて近づくのに苦労しないほどに…ぼんやりと何かを考えている。
八雲は何も喋らず晴香の仕事が終わるのを待っていた。

きゅっと、蛇口が閉められ晴香がタオルを手に取ったと同時に
ぎゅっと、後ろから抱きしめられた。

「!?」

いきなりの事でビクリと身体が震える。

「驚かせたか?」

心配そうな声が降ってくる。

「八雲、君?」

危うく落としそうになったタオルで手を拭きながらそう声を掛ける。

「そろそろ、帰るよ。」
そう言っている八雲の瞳が悲しげなのを晴香は知らない。

「え?」
そうして、返事をした晴香の瞳にショックの色が浮かんでいることを八雲は知らない。

「…夕食、美味しかった…。」

耳元でそういわれたかと思うとするりと腕の束縛がなくなる。

「じゃぁ、おやすみ。」

晴香は振り返れないでいた。

この言葉を言ったらきっともう後戻りはできないと…感じているから。

八雲の足音がなり始めても、すぐには動き出せなかった。

自分の心臓の音が煩すぎてなにも聞こえなかったというのもあるが、動きたくても足が固まってしまったように動かない。
それでも、今日のこの緊張を二度も味わう事は避けたかった。

「八雲君!」

ようやく声だけ出た。ゆっくり足を進める。


「どう、した?」

少し困惑したような…なんともいえない表情を浮かべて八雲は振り返った。

視線が合うと、それが引っ張られるように晴香の身体は八雲に引き寄せられていき数十センチ前で急ブレーキをかけた。

「どうしたんだ?」

再び同じ質問をする八雲に対して晴香は大きく息を吸った。

「お風呂ぐらい入っていったら…?」

なんてことはない言葉が口をついた。
その時を少しでも引き延ばしたかった。
できるなら、八雲の口から聴きたい言葉でもある。

「…………。」

八雲の表情からはその心の中を読み取る事はできない。

「お湯張るから…まってて?」

できるだけ笑顔でそう言ったつもりでも実際には笑えていない。
くるりと背を向けて浴室のほうへ駆けていこうとしたがそれは出来なかった。

「晴香。」
そんな声がしたかと思うとぐいんっと後ろへ引かれる。
そうして八雲の胸に抱きとめられていると晴香が理解できたのは数十秒たってから。

「僕に気を使わなくていいんだ。」

あくまでも優しい声だった。

「使ってない。」

か細い声でそれだけ言うのが精一杯な晴香

「…なら、いい。」

微かにふっと笑ったような音がして、腕が解かれた。

「シャワーだけ、借りるよ。」

そう言うと晴香の頭をくしゃりと撫でて…八雲はバスルームに消えた。



八雲は、入っていった時とかわらぬ格好で出てきた。
当然といえば当然だが…。

八雲が言葉を紡ぐより早く晴香は口を開く。

「私も、お風呂行くね。」

そう言うと八雲を見ないようにして傍をすり抜ける。

「話したいことがあるから。少し待てて?テレビ見てていいから」

「今日はもう帰る。話ならいつでもできるだろ。」

眉間に皺を寄せて八雲がそう言いい、玄関へ向かって歩き出す。

「帰ったら、もう口きかないから。」
子どもっぽい言い方…そう晴香は他人事のように思った。

でも、八雲には効果絶大だったようだ。

ぴくりと、八雲の足が動かなくなった。

それを良いことに、バスルームへ身体を滑り込ませた。





時計を見上げるとまだ10時になっていない。時間の流れが遅い。
興味のないバラエティー番組を見る気にもなれなかった。
ソファーに身を沈めて八雲は大きなため息を付いた。
帰ると宣言したものの、結局、大人しく晴香が出てくるのを待っている。
再び、ため息を付いて目を閉じた。
これから起こりうる事態のパターンをできる限り予測する。
そのときに自分が起こすべき最善の行動を考える。

そんなことをしながら、時間を潰していた。





リビングに明かりはついているけれど、テレビの音はしない。
不安に思ってすばやく移動するとほっとした。八雲はそこに居てくれた。

安堵のため息と共に、何の反応も示さない八雲を不思議に思った。

晴香は八雲の正面に回り込んだ後、思わず笑ってしまった。

その目は閉じられていて、スースーという呼吸が聞こえていたからだった。

晴香は八雲の隣に座ってそっと話しかけた。

「寝てる…の?」

「いや」
晴香が飛び上がったのもは無理はないだろう。
「起きてるよ。」
すぅっと瞳が開かれて晴香の視線とぶつかった

「タヌキ寝入り?」

「いや?話しかけられなかったから答えなかっただけだ。」

八雲の声が不機嫌そうだという事に気がついて少し胸が苦しくなった。

「で?…」

「え?」

「話ってなんだ?…」

「あ…うん。」

そこまでは出たが、それから先の言葉が出なかった。
やっぱり八雲からいって欲しい、晴香にはその願望があった。

「…気が変わって、今じゃなくていいんなら…明日にしないか?もう遅い…。」

八雲のその一言が、晴香にとって信じられなかった

「帰る気なの?こんな時間に!?」

「……不可能ではないだろう。少なくとも、暴漢に襲われる心配はないね」
八雲はジョークのつもりでいったのだが、晴香はにこりともしなかった。
変わりに、顔を伏せてしまっている。

「私と一緒に居たくないの?」

その超えに八雲はぎょっとなった。恋人をやっているが泣かれるのだけはなれていない。

「そうじゃない。」
慌てて八雲はそう言って、こぼれそうな涙を拭った。
先ほどの最善のパターン予測なんて全部無視してこのまま抱きしめてキスしたい衝動に駆られる。
でも、それはダメだと。規制する声がある。

「じゃぁどうして?どうして、帰るなんていうの?」
切なげな瞳が八雲を見上げてくる。

「晴香。少し落ち着け…。」
晴香にいうと同時に、自分にもそう言い聞かせる八雲。知らず知らずのうちに呼吸の速度が早くなっている。

「私は落ち着いてるよ…。」

「じゃぁ、聞くが…今何時だ?」

「え?」
八雲の質問の意図がつかめないまま…素直に壁の時計を読む

「10時…半、大体」

「ここはどこだ?」

「リビング。私の家の…」

「僕たちは?どういう関係だ?」
八雲のこの台詞はまたしても晴香にショックを与えるには充分だった

「え?…恋人同士…でしょ?」
不安そうな声で問うてくる晴香。

「そうだ。」
内心、物凄く照れながらも、それを肯定する八雲。

「夜中に、恋人同士が、一つの部屋にいる。この意味が分かるか?」

「わ、分かってるよ…」
声が微かに震えてしまった。

「これから、起こるかもしれない事も…か?」
挑むような、試すような口調で八雲が問う。

「……………。」
言葉は要らない、ただ頷けばいい。でも、晴香の身体はまた、石像のように固まってしまって動けなかった。

「……。晴香。」
八雲は立ち上がって、髪の毛を撫で…次の言葉を吐いた。
「おやすみ。帰るよ」
少し寂しそうな…それでも安心したような笑顔をしてソファーから離れる八雲

「八雲君っ!だめ、帰っちゃ嫌!」
悲鳴にも近い晴香の言葉を受けて八雲は立ち止まり振り返った。

「君を…傷付けたくないんだ。」
苦しそうに八雲は言葉を続けた
「今帰らなっかったら、君が好意でしてくれた事を…間違いなく全部台無しにするね。僕は。」
自嘲気味に笑って八雲はそう言う。

「君もそのつもりだったと…勝手に思うけど良いのか?」

「食事も、風呂も…僕と口をきかないとまでいってとどまらせたのも…全部その、下心があったからだと…解釈するぞ?」

やっと、頭が動いてくれた…上下に。

「…………。」

八雲はポンッと晴香の頭に手をおいて再びなでた。

「落ち着け、深呼吸してよく考えるんだ。最初から本当にそのつもりだったのか?」

八雲はまだ、それを受け入れてはいなかった。

「そう、よ」

擦れた声だったが、確かにそう聞こえてきた。

「だから、帰らないで。」

八雲の手を握って…離そうとしない晴香。

「…………。」

八雲は黙って、手をつかまれたままソファーに座った。

「キスして。」
それから1泊おいて聞こえてきたのはそんな言葉だった。

「え?」

「キスしてほしい、君から。…そうすれば、もう何も言わない」
そういい終わると八雲は目を閉じた。
心臓が飛び出しそうなのを押さえて晴香は、八雲に覆いかぶさるようにしてゆくり唇に触れた。

触れるだけのキスの後、すぐには何が起きたか晴香には理解できなかった。

いつの間にか上下が反転して八雲に唇を貪られていた。

顔が、全身が熱くなる。

そうして、息が苦しくなった事を八雲に伝えたくてその身体を手で押した。

意外にすんなり、唇は離れ吐息がもれた。

「安心した。僕の…独り善がりじゃなくて…。」

八雲はそう言うと、まだ胸にあてられている晴香の手を取って、その指にキスをした。

そうして、そのまま、掌へと唇は落ちて行く

晴香はその動きに見入ってしまっていた。でも心臓のドクドクという音は一行におさまってくれそうにない。

手首まで下がってきて…ふとそこで八雲は止まった。

「どう、したの?」

不思議そうに晴香は八雲に問うた

「いや…。」

そこで言葉を区切って、もう一度手首にキスをする

「音がするなっと思って…。いつもはこんなに聞こえないはずなのにな。」

八雲が意地悪く笑ってそう言うと晴香の顔がさらに赤くなる。

「また、早くなった。」

八雲はそう言って笑い、そこに赤い痕を残した。

そこから先はパジャマに邪魔されて進めない。

八雲は晴香の上から退き、正面に座ってこう、訊ねた。

「寝室に、お連れしてもよろしいですか?お姫様?」
言葉こそ、おどけているけど表情と口調は真剣そのもの。

「はい…。」

コクリと頷くと同時に声が出た。

八雲は晴香の緊張をほぐすようにもう一度キスをして…その身体を抱き上げた。




END

手首へのキス→欲望です

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無題
こんばんわです。甘いのが続くとなんだか嬉しいですね。どうなるかとドキドキしながら読んでいましたよぅ。今度は八雲君から『泊ってもいいか?』なんて言葉が聞けるといいナリ・・・。(余計なお世話?!)・・・反省。
junyuu 2007/09/07(Fri)23:50:00 編集
Re:無題
今晩は!お久しぶりです~。
私も、もともとは甘いの大好き人間ですからそう言っていただけて嬉しいです!
今度は八雲からっていうのも良いですね!残りの御題で使えそうか考えてみますね。
言い出しにくくて…一人で緊張してる八雲とかいいなぁ(笑)

何はともあれ、コメントありがとうございました!
【2007/09/09 23:39】
良いですな♪
こんばんわ~♪
甘いのが続いて、脳内を占めていた黒いものがなにやら浄化されているようです。S八雲は発見できませんでした!(←当たり前だ)いやあ、こんな可愛い姫が近くにいたら連れ去って閉じ込めますね!(←浄化されてなかった)「帰っちゃ嫌!」だって~(*^_^*)そりゃもう、帰れないよね、八雲!何だかも~、非常に幸せですな♪
にゃる 2007/09/06(Thu)23:40:25 編集
Re:良いですな♪
こんばんにょ~(笑)
こほん、砂糖投入第二弾です!
このとき、晴香のことが何でもお見通しであの態度を取ってたら相当なSですが(爆)
今回は普通の八雲でお送りしました!なのでは閉じ込めはしませんよ(笑)
「帰っちゃ嫌!」発言は、晴香は晴香でいっぱいいっぱいで、思わず出た本音です。可愛い(にやり)
ここまで言われて帰るようならこの八雲は間違いなくSですな(爆)
でも帰らなかったので…まぁ、一件落着ということで(笑)
【2007/09/09 23:39】
無題
砂吐きますよ綾さん!(笑)

お久し振りです。長い間連絡出来なくて申し訳ないです。

そして久し振りに顔を出してみたらもうテンション上がっちゃってどうしようこれから家族出掛けて家に一人なのに寄生上げてお隣さん家に怪しまれるよ!!(落ち着け)

頑張れます。
明日からまた頑張れます。
素敵な時間を有難う御座居ました!
志季 2007/09/06(Thu)19:54:56 編集
Re:無題
志季さんだ~!お久しぶりです~、お元気でしたか?
こちらからもご連絡できずにすみませんでした。
「砂吐きますよ」…っといわれてニヤニヤしております、そのつもりで書いたので!
苦しいですけど、声は抑えてもらってその分心の中で悶えてください(笑)
少しでも志季さんの糧になれたなら、嬉しいことこの上ないです。
それでは、またお時間ができましたらご連絡くださいね~
【2007/09/09 23:38】
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