「君に、無粋な香りなんてつけたくない。それだけだ」

『心霊探偵八雲６　失意の果てに』発売まであと7日！


「あと一週間！７は奈緒ちゃんの７だね。」
「…昨日に続いてまた妙な発想を…。」
「いいじゃない。ねー」
「ねー」
「って、何で奈緒を連れてきてるんだ！こんなところに。」


一週間ですよーついに！ついにぃ～！！（煩い）

恋人せってー



晴香は駆け足でプレハブ棟へ向かっていた。
その理由は至極簡単なこと。
あの。あの八雲が出かけようと誘ってくれたのだ。と言っても、素直に八雲がそう言うはずがない。
実際はメールで『どうせ今日も来るんだろう？僕は買い物に行くからついて来るならさっさと来い。』と送って来ただけ。
八雲は荷物持ちでもほしいだけなんだろうけど、それでも！
八雲からの誘いというだけで晴香は嬉しかった。


風を切って走ってきたにもかかわらずプレハブ棟につくころには晴香の身体は火照っていた。
「あれ？」
珍しいものを見たかのような声を晴香が上げる。
八雲の隠れ家の外の壁に寄りかかってぼんやりしているのは間違いなく呼び出した張本人
「八雲君！」
少し息が上がったまま、晴香が八雲に歩み寄る。
「やっと来たか。」
だるそうに首だけ動かしてそう言う八雲。
「どうしたの？まさか、待っててくれた…とか？」
「……馬鹿か君は」
やっぱりね。少しでも期待した私が馬鹿でした…。
「って…じゃぁなにやってるの？」
「何もしてない。」
欠伸をひとつして壁から背を離す。
「わざわざ、待っててくれたわけでもないんでしょ？」
「そうだ」
こうもあっさり肯定されるとう少し悲しいがまぁ、仕方ない。
「じゃぁ、どうしてこんなところに居るの？」
「………。」
顎で映画研究同好会のドアを指す。入ってみろと言うことなんだろうか。
晴香は示されるままにドアを開けた。
『なんだ。また君か。』
と、いつもの声が聞こえてきそうなほど室内の様子に変わりはない。
ただひとつ違う事はこの寒いのに窓が開け放たれているということ…それと嗅覚を刺激する独特のにおい…これは
「煙草…？」
「…そう言うことだ。」
いつの間に後ろに立って居たのか八雲がそう言いドアを閉める。
ふと触れた手に思わずどきりとしてしまった。
「僕が講義の間後藤さんが居座ってたんだ。」
はぁっとため息を着く八雲。
「また何か事件でも持ち込んだの？」
「…それ以外の目的であの人が来るか？」
数秒考えをめぐらせて、出てきた答えは
「こない、かも」
「だろう？そう言うわけだ、さっさと行くぞ。」
鍵もかけずに八雲は踵を返して歩き出す。
「あ…待って。」
慌てて八雲の隣に並ぶ。
「煙草の臭いが嫌だから、外に居たの？」
「それもある。」
「も？…もって事は他にもあるの？」
「なんだ。分からないのか？」
「…え？」
八雲がさも当たり前といわんばかりにそう言うので晴香は少々面食らった
他に理由があるんだろうか？
「…本当に分かってないのか君は。」
はぁ、とため息を付く八雲
「分からないに決まってるでしょ？」
少し膨れて晴香がそう言う。

「君に、無粋な香りなんてつけたくない。それだけだ」
「へ…？」

唖然と立ち尽くす晴香に対して八雲はまったく代わりない様子で歩を進めている

「やっ！八雲君！」

ダッと走って行って八雲を捕まえる。
「なんだ？」
怪訝そうな顔で晴香のほうを見る。
「そ、それって…つまりどういうこと…？」
「それぐらい、自分で考えろ。」
「…そんな事言ったら…勝手に自分の言いように解釈する…よ？」
「…好きにしろ」

それで間違ってない。

ぼそりと聞こえた八雲の言葉を受けて…

晴香は八雲の腕を力の限り抱きしめたのであった…。


END

臭いもあるけど、晴ちゃん待ってたのも理由のひとつだと思うよ（笑）
晴ちゃんはね、いい匂いしそうです。全体的に。
それで八雲は腕を抱きしめられて慌てるといい、でシャンプーが香ってきて急に照れくさくなるといいよ（笑）

↑私的にヒットなんですが、いかが？（笑）



元ネタは日記参照（笑）


八雲の隠れ家、ずーーーっと工事現場にある仮住居みたいな奴だと思ってました…が…違うんですかね？
ドラマじゃ違いそうですが（見てないんでなんとも言えませんが…）