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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月20日 (Mon)
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2006年05月01日 (Mon)


昨日、蔗糖と白衣のSSを書いたのですが(勝手に未来予想2参照)
今日授業で蔗糖の話をされました(笑)
そして、掲示板にこんな掲示物が…
「次回基礎化学実習・白衣持参」(白衣のところにアンダーライン)
タイムリーで少し驚いた(笑)


今日のお話は。やきもち晴香

……書こうと思ったら…メモしてた紙がないっ!?
うわーーっ!?あんなもの学校に忘れてきちゃったのか!?
あんな妄想の塊を……



………ありました(笑)


よかったぁ…




「じゃぁ。そういうことでいいです。」
部屋の中から声が聞こえる。ってことは八雲いるんだ。
「八雲君いる?」
居ると分かってるけれど、いつもの癖で、そう言いながらドアを開ける。
「あ……」
一人だと思っていたのに部屋には来客があった。しかも…女性。
「なんだ君か…。」
いつもの眠そうな目で見られ、いつもと同じ口調で言われる…なのに…。
なんだか…いつもより冷たく聞こえた。
「こんにちは。」
その女性がにっこり笑って挨拶をする。慌てて晴香もそれに返す。
「…取り込み中、みたいだからまた来るね。」
晴香はそういうと八雲の視線から逃げるようにドアを閉め、プレハブ棟から離れた。

なぜか胸がドキドキする。
落ちつかなきゃ。
そう思い大きく深呼吸をする。
「あの人、誰なんだろう…」
ポツリと口からこぼれる疑問。
私の知らない人だった。
誰?八雲とどんな関係?何の用事があってあそこに居たの?
そこまで考えてふと嫌悪感を覚えた。
「やだ…」
なんだか私、八雲の対人関係にいちいち口出ししてるみたい。
八雲にだって私のほかに友達ぐらい居るはずだ。
たとえそうじゃなくても、また心霊関係の事件でも持ち込まれたのかもしれない。私が相澤さんに八雲を紹介されたのと一緒で……。
「私が、口出すことじゃないよね。」
自分に言い聞かせるように言葉に出す。
だが、その感情は消えることはなかった。
結局その日は八雲に会いに行く事ができず…家に帰った。


朝、学校に行く足が重たかった。
昨日の疑問はまだ晴香の胸の中にあるまま。一日が過ぎた。
今日はサークルの日。それは八雲も知っているだろう。
明日、八雲に会いに行こう。そう決めて講義室を後にする。
プレハブ棟とは逆の方向に歩き出す。

「あ。昨日の…」
そんな単語が耳に入ってくる。
どきりと…心臓が跳ねたのが分かった。
恐る恐る振り返ると昨日の女性が後ろに立っていた。
しかも……
隣に、八雲がいた。いつもの無表情で私を見てる。
「昨日はごめんなさいね。」
何か言ってる。音としては聞こえるがその意味を理解できない。
「いえ…」
口だけが機械的に言葉を発する。

いつもは…そこが私の定位置なのに…。
八雲の隣は、私の居場所なのに…。
でも、今日は…違う……。

やだ…



無性に…八雲から離れたくなった。

そばに居たくないと思った。

今、身体を支配するのは黒い感情

やだ…すごく…


私、すごく嫌な子だ


八雲がほかの女の人と一緒に居るだけで。

黒く汚い感情が頭をもたげてくる。


一緒に居るだけなのに!!

やだ…。やだ、やだ!!
私の…場所をとらないで。
私の…八雲をとらないで。
とらないでよ…。



一緒に居るだけで…嫉妬してる。



こんな感情…八雲に知られたくない…。

こんな私…八雲に見られたくない…。


どんな会話をしていたのかまるで分からない。
でも、これ以上、この空間に居られなかった。
「サークルに遅れちゃうから。もう行くね。」
それだけ言うと踵を返して逃げるように走った。

晴香の向かった先は音楽室ではなく化粧室。幸い人は居なかった。
個室に入って乱れた息を整える。
私…すごく嫌な子だ。
ただ一緒に居るだけなのに…。嫉妬という…黒い感情が体中を支配する。
これじゃまるで八雲は私だけのものだといってるみたい。
私はあの女性をどう思ってる?憎い?羨ましい?恨めしい?嫌い?

…こんな感情…持ってるなんて八雲に知られたくない。
私、いつからこんな嫌な子になったんだろう…
お願いだから……
こんな私を嫌いにならないで。

涙が止まらない



大学から出ると少し肩の荷が降りた気がした。
それは、八雲とは合わなくてすむから……
っと思っていたのに…
マンションの前に人影があった。夕日を浴びて…じっと動かない。遠目でも分かる、八雲だ。
「やっと帰ったか。」
晴香の姿を見て、ゆっくりそちらを向く。
「…………。」
八雲の顔を見れないまま、素通りしようとするが。
当然そんなこと出来なかった。
「話があるんだ。」
そういうと手首を掴まれる
「……なに?」
「…出来れば、君の部屋で話したい。」
「………。」
黙っていた晴香を肯定とみなして八雲は手首を握ったまま、マンションへと入った。


「単刀直入に言うぞ。あの女性は心霊事件の依頼人だ。」
「だから…?」
決して八雲のほうを見ようとはしない。
「僕の友達でもなければ知り合いでもない。」
「で?」
「…………」
そっけない晴香の返事に眉間に皺を寄せる八雲。
少しの沈黙のあと。
「君は、もういい子で居る必要はないんだぞ?」
八雲の口から出たのはそんな言葉
「ぇ?」
思わず、八雲を見る晴香。
いい子だなんて私は……。
「私は、いい子なんかじゃない。」
「…いや。君はまだ、いい子であり続けようとしてる。」
「してない!!だって……」
次の言葉が出てこない。
「だって…なんだ?」
「一緒に居るだけで、やきもち妬くんだよ?そんなのぜんぜんいい子じゃない!」
言ってしまった。
お願いだから…私を嫌いにならないで。涙が頬を伝う。
「…その考えは、いい子でありたいと思う考えだ。」
そういうとグイッと抱き寄せられる。
「違う!」
八雲から身体を離そうとするが出来ない。
「違わない。その考えは、誰からも好かれようとして、自分を押し殺してるだけだ。」
さらに強く抱きしめる八雲。
「だ…って…っ。一緒に居るだけなんだよ?ただ居るだけなのに…。そんなことに嫉妬するなんて」
「嫉妬してもいいんだ。それは別に変なことじゃない。それだけ、その人に対する愛情が強いんだろう?」
子供に話しかけるように優しく言う八雲。
「…君はそれを、いけないと思った。それは…誰とも敵対したくないと思っている証拠じゃないのか?」
顔を覗き込まれるが未だに八雲の顔を見れない。
「誰からも好かれようなんて、思わなくていいんだ。」
涙が伝った頬に手が添えられる。
「君は、僕だけに好かれてればいいんだ。」
そう言われたかと思うと上を向かされ八雲の顔を正面から見ることになった。
「それだけじゃ。不満か?」
心配そうに問いかける八雲。
言葉が出そうにないので首を左右に振る。
「…嫉妬も、やきもちも妬いていいんだ。それだけ、君が僕を好きだって事なんだから。」
そう言うと涙を拭い軽く口付ける。
「嫌いに……ならない?」
「なるわけがない。むしろ僕は…やきもちを焼いてくれて嬉しい。」
「え?」
「君は、そんな素振りをぜんぜん見せないんだ。君は僕を好きじゃないのかと…少し疑ったぞ。」
再び晴香を腕の中に閉じ込めて八雲が言う。
「そ、そんな分けないじゃない!」
「…これからは、もっとちゃんと分かるように嫉妬してくれ。」
「………八雲君もよ?」
「君が知らないだけで、僕は君以上に嫉妬深いんだぞ。」
「知らないんじゃ、駄目じゃない。分かるように嫉妬して?」
「……君が先にしたら、考えてもいい。」
「ずるい。」
そういいながら、八雲の胸に顔を埋める。
「ありがとう。大好き。」
その小さな囁きは八雲にしっかり聞こえていた。が、何も言わなかった。


今、大事なのは言葉じゃない。



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