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カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
02.温かな心
「ねぇ、八雲君知ってる?」
「…君の問いかけには大概いつも重要なところが抜けてるんだ。」
呆れたと言わんばかりの口調で八雲が言う。
「今から話すところなんだから!いちいち突っ込まないでよ。」
「なら最初から要点をはっきり言うことだな」
そういわれると、こつんと頭を小突かれた。
八雲の口はまだまだ悪いがこんな風にじゃれあうことができるようになった。
だから。こんな馬鹿げた事も言えるのだ。
「手が冷たい人は心があったかいんだよ。」
八雲が呆けた表情で…止まった。
「八雲君の手…冷たいよね。」
そっと手に触れてそういう晴香。
「……………」
以前ならここで君はバカだの何だの言われてへこむところだが。八雲は何も言わない。
「こうしたら、少しはあったかい?」
そういうと、八雲の手を両手で包み込む。
「君は…ほんとに頭のねじが一本ないのか?体温という肉体的なことと、心という精神的なものが関係するわけないだろう。」
安心してるとこれだ。
「…でも、よくそう言われるじゃない?」
「そんなの、手の冷たい人間の負け惜しみだろう?」
「でも…それを実際にそれを証明してくれる人が…ここに居るじゃない?」
そういうと手を握ったまま八雲を見上げる。
時々彼女は、とんでもなく照れくさいことを…平気で言う。
「八雲君は……そう思わない?」
そう問いかけられるが、返事はできない。
「君の手は火傷しそうなぐらい熱いな。」
逆に出てきたのはこんな台詞。
「なによそれ。それじゃあ私が冷血みたいじゃない。」
「違ったのか?」
「違うわよ!」
「なら、手が冷たい人が心が温かいなんて馬鹿げた事は言わないことだな。」
「…八雲君に聞いた私が間違ってましたーっ!」
ふんっとそっぽを向いてしまう。
そんな様子を見てふっと笑みを漏らす。
君は本当に優しいのか何なのか分からないな…
さっきまで、自分で手を温めていくせに…僕の手が冷たい?
君の手のほうが、普段は数倍冷たいんだ。
これは紛れもない事実。
手を繋いだときに驚いたほどに…彼女の手は冷たい。
そのとき、僕も君と同じようなことを思った。
だから、
『手が冷たい人は心があったかいんだよ。』
そのフレーズを、君にそっくり返そう。
冷たい僕の心を暖めてくれたのが君。
ならば僕は、君の手を…温めよう。
優しい君の手を、温めるのが僕の役目。
冷たい僕の心を、暖めるのは君の役目。
そんな風に勝手に決めたら、
君は怒るだろうか…?
僕は……そうありたい。
END
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