「だから…言っただろ。…君ならどんな状態でも、可愛いんだよ。」

八晴ミステリもの。
大方の流れは出来ました。まぁ、今から伏線張ってかなきゃいけませんがね。


バトンは、日記の方で回答させていただきました～。




さて、奪回記念（違）

「…僕の事は外見で判断しなかったのに、自分自身はするのか？君は？」 （10月12日）

の続きです（笑）

「まったく、いつまで着てるんだ？」
夕食の配膳をしている八雲が呆れたようにそう言ってくる。
「だって、着てたいんだもん。」
と、底心嬉しそうにそう答える晴香。
鞄置いてくるね。と寝室に消えたとき、コートも脱いでくるものだと思っていたが聞いてのとおり予想はハズレ。
しかも、学校で八雲がかぶせたフードまでそのままだった。
「……。もうご飯だぞ、脱いで来い」
軽くため息を付いてキッチンへ戻る。
八雲は晴香にコートを貸したのを多少なりとも後悔していた。
あの時は、ただ彼女に風邪を引かせたくない…という思いだけで、彼にしては珍しくよく考えいなかった。
今、こうやって冷静に考えると…
晴香が自分のコートを着ていると思うと、言いようもない気恥ずかしさと戸惑いを感じるのだった。
目の前で着られるとなおさら…それを意識してしまう。
「手伝うよ？」
そんな事を考えてる八雲の視界にひょっこり緑のもの
「脱いで来いといっただろ？」
少しだけ怒りを孕んだ声で晴香にそう言う八雲。
「汚さないから大丈夫。」
そんな八雲に気づきもせずににこりと笑う晴香。
君が大丈夫でも、僕が大丈夫じゃないんだ。
そんな八雲の心の声は聞こえるわけもなく…ぱたぱたと箸やコップなどを運んでいく晴香。
「…そんなに気に入ったのか？それ。」
「気に入ったって言うか…なんか新鮮じゃない？」
…僕にとっては君のその姿の方が新鮮で、新鮮すぎて困る。
と、この八雲の心の声も届きはしない。
「…食べるときぐらい脱げ。」
キッチンの電気を消して食卓に向かう八雲。
「い・や・だ」
八雲を待った居たんだろう、ソファーの背もたれに座っていた晴香。
晴香の顔を囲むようにあるフードのモコモコ。
…やはり、彼女の顔がちゃんと全部見えないのは嫌だ。
耳も、髪も、顔も。全部見ていたいんだ。
「じゃぁ、せめてフードだけでも脱げ」
「それもヤ。」
「…ヤでも脱げ」
伸びてくる八雲の手より早くさっと頭を押さえる。
「…………。」
晴香の行動にあっけに取られる八雲。何て子どもっぽい仕種。
手を頭にそって下ろして来て…フードの下、つまり顔の横にあるフードをぎゅっと掴む。
「…………。」
まるで子どもがシーツの中に隠れていて、ちらりと外の様子を伺うような…そんな感じ。
可愛い
そんなの周知の事実だ。
でもこれは…
これは……。
いわゆる、ツボという奴である。

うすうす感じていた“限界”を…越してしまう事だってある。


衝動、とは恐ろしいものである。
八雲の手が晴香の手を掴んでグイと引っ張った。
「へっ！？」
あまりに急で、あまりに早かったその行動に晴香は妙な声を上げてしまった。
ぱさりと、フードが脱げる。
「や、くも…君？」
イマイチ状況が理解できていない晴香。一言で言えば抱き寄せられ他のだが…。
「…だから、脱げっていっただろ！」
投げやり気味にそう言って、晴香の頬に手を添えて唇を奪う。
「っ…」
驚いたように目を見開くがすぐにゆるゆると…瞼が下がっていく。
「………。」
頬、首、肩、そして背中。
その順に手を滑らせ八雲は晴香をぎゅうと抱きしめた。
「……やくもくん。」
唇を離した後こぼれてきたのはそんな言葉。
「だから…言っただろ。…君ならどんな状態でも、可愛いんだよ。」
晴香の髪に顔を埋めて八雲がそう言う。
「？」
「…。だから…その…」
「…なに…？」
「……。僕が止まらなくなる前に…コート脱いでくれ。」
八雲が腕を解くと顔を真っ赤にしながら晴香は寝室へ消えていった。


ＥＮＤ

この後、食事の前に抱擁の時間があったらしいですよ（笑）


あのかわゆい晴ちゃんを我が家の八雲に嫁入り（爆）の許可が出たので書いてみました。

八雲にああいわれたんでこの後は着てないでしょうけど…
でも、八雲に内緒でこっそり着てるといいよ。
で、いつか見つかって八雲に喰わ（強制終了）
いやだって、あんな可愛い嫁さんもらったんだから（爆）