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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月20日 (Mon)
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2009年04月20日 (Mon)
22日に第八UPしてここも更新ストップです。

…奇しくも天命発売日。そして3年目最後の日ですね。

一年後に復活できればいいけれど…どうなるかな(苦笑)

最後はフツーの八晴で閉めたかったけど…書けないので第八で勘弁してください(苦笑)
ネタが桜ネタですが!季節はずれ感ありありですが!

まぁ…その季節に更新止まったと分かっていいかなっと…。



さて新栄学園。

LINK11. 真&志 八晴

おかしい…ほのぼのお弁当タイム…だったはずなのに…(苦笑)
おかしい…いつの間にか八雲が丸い(笑)




志乃は掲示板を見に行ったが、卒業生による演奏会のポスターが増えていただけだった。
ようやく鳥肌がひいて…志乃は安堵のため息を付いた。
まだ、指先は微かに震えていたが…それを無視して志乃は車椅子を動かした。

次の授業までには昼休みを挟んで大分あるが…早め早めの行動が必要だった。なんといっても車椅子…。
時間がないからと言って階段を駆け上がるというような事はできないのだから。
お弁当は持ってきた。どこで食べよう…。
志乃はそんなことを思いながら車椅子を動かした。



「志乃!」
中央棟からE棟へ向かう途中で、名前を呼ばれた。
その声は…男性のもので、志乃は身体を強張らせた。
自分に声をかけてくる男性なんてそういないのだ。名前でなんて、なおさら。
「……」
首だけで振り向いて…声の主を発見した。昨日の…彼だった。
「よ。」
目が合ってにこりと笑いかけられた。隣に2人、男の人がいる。
「真田、彼女?お前、機械バカかと思ったら隅におけねーな。」
一人が茶化すようにそう言った。
「ちげーよ。友達、じゃあな。」
なぜか胸がざわついた。なんだろう…何か引っ掛かることがある。
「おう。」
手を振ってその2人と分かれて、彼は篠の傍に来た。
「久しぶり!」
一度しかあってないのに、旧友のような口調だった。
「久しぶりって…昨日あったばっかりです」
「そうだけど…細かい事はきにしない。今からどこいくんだ?」
はたから聞けばナンパにしか聞こえない台詞をさらりと吐いた。
「あ…お昼ご飯です。」
「一緒にいいか?」
「え…いい…です、けど……。」
何故?と問おうとしたが、彼の嬉しそうな笑顔に…何も言えなかった。
「次は授業あるのか?」
「はい、…E棟で…。」
「そっか、じゃぁ…外で食べてもいいか?」
「え?」
「天気いいしさ。…駄目か?」
「お任せ、します。」
志乃がそう返事をすると、またあの笑顔が浮かんだ。
毒気を抜かれるというか…不思議な笑顔だった。 





八雲につれられてやってきたのは…B棟の裏手だった。
屋根がありベンチがある…という事は休憩用に作られたという事は分るが人影は皆無だった。
「こんなところが…あったんだ」
「ここはB棟からは見えるけど…あそこを使う連中は外でのんびりピクニックなんて考えないからな。」
少し笑いながら八雲は手を引きながら歩いた。
そう、手を握ってくれているのだ。
…廊下を少し歩いて、唐突に振り向いた八雲が無言で手を差し出していたのには驚いた。
「ん。」
促すように更に手を差し出して…晴香を見た。
「ん…。」
少し戸惑ってちょんっ、と手に触れると…少し強引に、引っ張るように手をつかまれた。そうしてここまで歩いてきた。
最初は少し痛かったが、今では普通に手をつないでいる。
そう意識をすると、ほわっと胸の中か暖かくなる。
「…段差、気をつけろよ。」
いつになく優しい八雲に…ちょっと戸惑いながらも晴香は八雲に付いていった。
「B棟…って言うと…。」
「理数学部だ。」
確かに、あまりわいわい遊んでいるイメージはない。
どちらかと本とか実験器具とかを前にしてぶつぶつ言っている、イメージ。
あくまでイメージだけれども。
「…ここでいいか?」
「うん。本当にとっておきの場所だね。」
晴香が微笑むと八雲がほっとした表情になった。
なんだか、可愛い。
そう思いながら八雲とお弁当を挟んで隣に座った。
「……こっちにこい。」
「え?」
下ろしたお弁当を膝に乗せ、そのあいたスペースを指した。
「………。」
「えっと…。」
八雲の豹変ぶりについていけない晴香は八雲に視線を向けた。対処の仕方が分らない。
「ここだ。」
ぽんぽんっとさっきまで弁当のあった場所を叩いた八雲。
「…………。」
少し躊躇いながらもおずおすと寄ると満足げに八雲は笑った。
そうして、脚の上で包みを解き片方を晴香の脚の上に置いた。脚がテーブル代わりらしい。
「……」
そこまでしてとなりに座りたいと思っている八雲が可愛く見てしょうがなかった。
でもそれを言うと機嫌を悪くするのは目に見えていたので言わなかった。
「…なんだ、ニヤニヤして。」
彼もなれてないのだろう…複雑そうな表情で晴香を見た。
「なんでもない。食べていいよ?」
ちゃんと持ってきた箸を渡して、晴香はそう言った。お茶も調達済みだ。
「じゃぁ…いただきます。」
「どうぞ。」
八雲は迷いながら、卵焼きを取った。
緊張の一瞬。
口に含んでむぐむぐと…効果音が聞こえてきそうな静寂。
「ど、…どう…かな?」
「…まぁ…。」
とだけ言って八雲は口をつぐんだ。そうして暫く無言であっちこっち、視線をめぐらせていた。
「美味しい、と思う…ぞ」
思わずガッツボーズが出た。よしっ!といわなかっただけいいとしよう。
「よかった~。」
「……旨い。」
確認するようにそう言ってまた別のおかずを口に運んだ。
「…君も食べろ。」
ニコニコしながら八雲が食べるのを見ていて、一行に食べる気配のない晴香に向って八雲はそう言った。
「一緒に、食べるんだろう?」
「……うん。」
満面の笑みで…そういう晴香を見て、八雲も幸せそうに微笑んだ。




本当に、よく喋る…っというのが志乃の印象だった。
同時に感じるのは変な人だということ、いや不思議な人…と言ったほうがいいのかもしれない。
何故、声をかけたのか。
何故、一緒にご飯を食べようなんて言い出したのか。
何故、あたしに楽しそうに話かけてくるのか。
一番不思議なのは…。
何故、あたしはそれが嫌ではないのか…。
考えても分らなかった。否、考える時間はなかった。
彼のおしゃべりについていくのが精一杯だった。
そうこうしている間にE棟とF棟の間にある広場に来ていた。
まだ、授業が終わっていないせいか、人は疎らにしかおらず、ベンチも開いていた。
彼はその一つに車椅子を寄せた。
「ほら。」
「え?」
差し出された手が…なんなのかわからず志乃は真田を見上げた。
「……?」
不思議そうな顔で彼は志乃を見た。
「ベンチに移るだろ?」
「い、いいです。このままで。」
下りたらまた乗らなくてはいけない事ぐらい分っている。
二度手間するぐらいならこのままの方がいい。
「ずっと座りっぱなしだろ?」
「…大丈夫、ですから。」
「…………。」
困ったな。というように、ジェスチャーをして苦笑した。
「無理に、とは言わないけどさ。遠慮はいらないぞ。」
そういうと車椅子の横に座って真田は言った。
「別に…遠慮なんてしてません。」
「そっか。」
素っ気無く志乃がそういうと何が可笑しいのか少し笑って真田はそう言った。
「良かった、んですか?」
ようやく、気になっていたことを聞くことができる環境になって、志乃は口を開いた。
「さっき、お友達と一緒だったでしょう?」
「あぁ…いいんだよ。あいつら帰宅組。俺居残り組だから」
「居残り?」
不思議そうにする志乃を見て真田は笑った。
「次は選択科目なんだ。」
「どうしてあたしに声かけたんですか?」
「どうしてって…友達に声をかけるのは可笑しいことか?」
トモダチ。
その単語が引っ掛かった。
そう、さっきも…だ。
「…友達…ですか?」
友達って…何?どういう定義なの?
志乃が問い返してはじめて真田は驚いたように志乃を見た。
「…俺がそう思ってただけか?」
「…えっと…その…。友達って…あたしと…あなた。ということです…よね?」
「…そのつもりだったけど……気にいらないなら「知り合い」にしとこうか?」
…分らない。何を言ってるの?
そんなに簡単にどうこうできるものなの?
「そう、してください。」
「…そっか。」
志乃の言葉に真田は苦笑して言った。
「じゃぁ、今から。友達になろうぜ?」
「え?」
「…わかんない事があったら、聞いて?困った事があったら、呼んで?」
「……………………。」
つくづく、分らない。人。
「あ、別に電話番号教えろとかそんな意味じゃないから。」
志乃が怪訝そうな顔をしていたので真田は弁解した。
「…コレじゃナンパとかわんねーな。悪い」
真田は自嘲気味に笑ってそう言った。
「だたさ、一人で抱え込むなよ…ってことがいいたかった。…それだけ。」
「……お節介、って言われませんか?」
「言われる。」
苦笑して真田はそう返した。
「でも一人じゃないって思うと楽だろ?」
苦笑から、穏やかな笑顔に変わった表情。
「あたしは…」
志乃が言葉を紡ぎ始めたのが合図だったかのように鼓膜を劈くような音が響いた。
「!?」
ビクリと身体が震え…一瞬目の前が真っ赤に染まった。
「なんだよ!?」
真田の声が聞こえるが見えるのは別の景色
「おい、志乃?」

割れたガラス

指先から滴る血…。

「い…嫌っ!」

「志乃!」

けたたましく鳴り響くのは警報器の音だった。


LINK……。

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