ここは「文風月」内、FF置き場です.
カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
現実逃避中。
拍手御返事
あかねさん。始めまして、古谷です。
御返事遅くなってしまってすみませんでしたが、ようこそいらっしゃいました。
日常生活に支障が出るのはいただけませんが(苦笑)作品を気に入っていただけれありがとうございます。
なんと言いますか…いつの間にやら多種多様な八雲がいるのがウリのサイトになってます。(苦笑)
それだけ私の気分で経営しているサイトだという事で一つ(汗)
楽しんでいただけたのであればこの上ない喜びです。
裏はまだありますよ。そして多分これからも放置になると思います(爆)
それでは、作品数だけは多いサイトでございますので過去物発掘市ながら楽しんでいただければと思います。
>刹那さん
そうなんですよね!裏側が変わってるんですよね!モンスターボールが立体的になってるんですよね!
っと…日記の話をここでするなといわれそうですが(苦笑)
未だにどこでコメントを返したらいいのか分らない…という状態です。
なんとなくイメージ的にはもっと(二山ぐらい)あった記憶があったので少ない発言でした(笑)
そう、使ってると曲がるんですよね!でサイドカードで老いてたら何か分ったり(笑)
センバツ楽しみましょうね!
あと天命もきますよ!こちらも楽しみ!
さて、マリンスノウ。
今回も八晴メイン。
3.二つの紅い光との出会い~2~
次は新栄書きたい…。
3.二つの紅い光との出会い~2~
後藤の詮索を振り切って、八雲は晴香の家に上がった。
晴香の家に上がるのは初めてではないし、この状態では色っぽい事態を期待する事などできない。
「ベッド、使っていいか?」
後ろからやってきた晴香に向かって八雲は聞いた。
「うん。…汗、拭いた方がいいよね。」
「その前に、タオルケットか何かシーツの上に引いたほうがいいかもしれない…この汗だ。」
「えっと…じゃぁ、持ってくる。」
「あぁ。」
それからバタバタと、忙しく動き回って…一息つけたのは数十分後だった。
「…君は、彼女を知っているといったな、どういう関係だ?」
ベッドサイドに椅子を出して座っている晴香に向かって八雲は問うた。
「…一年の講義で一緒だったの。」
振り返って、後ろに立っている八雲に向かってそう言った。
「学部が一緒なのか?」
「ううん。一般教養の講義だったから…えっと…法学部だったかな?」
「名前は、海堂瑠璃で間違いないな?」
晴香が静かに頷いたのを見て八雲は少し考え込むように黙った。
「八雲君は…どうして知ってたの…?」
少し心配そうな声が、聞こえてきた八雲は顔を上げた。
「誤解するな。うちの檀家だ…」
今は無き、叔父が自分に似ているといってきた女性。
「じゃぁ…家とか連絡先とかわかるんじゃない?」
「……どうかな、個人情報だし…管理してるのはウチじゃない。」
八雲はそう言って…ため息を付いた。
「………………。」
静かになったところに音が響いた、くぐもった…音。携帯のバイブレータだった。
それぞれの携帯を見て違う事を確認して…彼女の鞄を見た。
「……………」
バイブレーターは止まったが、視線は2人とも鞄に注がれたまま。
「…見る…?」
流石に気が引けるのか…晴香は不安そうに八雲を見上げて問うた。
「…鞄から出すぐらいなら許されるだろう。」
八雲はそう言って鞄を引き寄せ、晴香に渡した。
「僕が見るより君が見たほうがいい。」
八雲のその言葉にコクッと頷いて鞄を開けて携帯電話を取り出した。
飾り気のない黒い携帯電話。
「枕元にでも置いててやれ。」
晴香はそれに従って枕元へ携帯電話を置いた。
「……。霊には、憑かれてないから大丈夫だろう。」
八雲はそういうと彼女を見下ろした。少なくとも、彼女を苦しめる原因は…視えない。
「起きないのに?」
「…原因がなくなったからと言って、すぐに起きるわけじゃないだろう?…できる事はした。」
冷たいようだが、事実だった。
「や、八雲君!」
晴香は八雲のシャツを引っ張って言った。
「帰る…の?」
「………のつもりだが…。」
そう言うと、うぅ…っという…呻き声が聞こえた。当然、晴香から。
「まだ何が…あるか分らないのに…帰るの?」
「……………。」
晴香の家に上がった事はあるが、早々に辞退した。こんな時間まで家にいたことはない。
「いてよ…。ば、晩御飯ぐらい作るから、ね?」
霊絡みだといわれては、自分は何も出来ないのは痛感している。
別に、特別な意味はないけれど、自分ひとりでは何かあったときに対応できないのは…想像ができる。
八雲が居れば心強い。
「………分った。」
八雲はそう言ってふぅっと溜息をついた。
わかったといいつつも、部屋を出て行こうとする。
「ちょ、ちょっと。どこに行くの?」
「スポーツドリンク買って来る。…その汗だ。水じゃないほうがいいだろう」
「…帰って、来るよね?」
訴えかけるような視線から逃げるように八雲は目をそらした。
「あぁ。心配するな」
君からお願いをされて断れる分けないだろう。
八雲はそんなことを思いながら、財布を掴んで家を出た。
玄関が閉まる音を聞いて晴香は溜息をついた。
八雲がいない急に心細くなる。
その思いを頭を振って振り払って…晴香は立ち上がった。
彼女の額のタオルを変えて…キッチンへ向かった。
光の届かない闇の中に瑠璃は居た。
しばらくして、それが限りなく黒に近い紺碧の水の中だと知った。
呼気が泡となって浮かんでいく。
周りの空気が冷たいのか…自分の身体が熱いのか…その両方なのか…分らない。
『心配性。必ず帰ってくるから』
暗い海の中でもはっきりと見える両親の姿。
待って。
行かないで。
必死で手を伸ばすけれどそれは空を切るだけ。
伸ばしても、伸ばしても…
届かない…。
とどかない…。
父さん…母さん…
泡となり、暗い海へと消えていく。
やめて。
いやだっ…!
「……っあ……。」
喉が張り付いてしまって呻き声しか出なかった。
今まで居た黒い世界から急に白い世界に引き戻された。
ズキンズキンと脈打つような頭痛が続いている。
顔を顰めると、声が振ってきた。
「大丈夫ですか?」
声に導かれるままに視線を向けると栗色の髪の女性が心配そうな顔でタオルを手に持っていた。
額にあてがわれたタオルが冷たい。
構うなと…言ったのに。
倒れる直前に見た顔で…昔にも見たことのある顔だが名前は出てこなかった。
頭痛で、それどころじゃない。
「熱が39度もあるから動くな。大人しくしてろ。」
さらに上から声が降ってきた。男性の声だというのは…分った。
「もう、八雲君!」
窘めるような声に首を動かして…閉じそうになる瞼を無理やりこじ開けた。
どこの、誰だ。
飛び込んで来たのは何よりも鮮明な紅が…二つ。
モノクロの世界の中でさえ、失われなかったその色。
「赤…」
「え?」
「夕焼け…だ。」
「…?」
「夕焼けの…色…は。嫌いじゃ、ない…」
なんだか支離滅裂な事を言ってる。
それでも暖かみがあるだとか、血のような真っ赤な夕焼け色が好きだとかは決して言わないけれど。
「…重症だな。もう少し休め、君に危害を加える人間はここには居ない。」
大丈夫だ。という前に…。
視界がブラックアウトした。
ズキンズキンと痛む頭ではそれに逆らえなかった。
深海に引きずりこまれるかのように
意識を手放した。
後藤の詮索を振り切って、八雲は晴香の家に上がった。
晴香の家に上がるのは初めてではないし、この状態では色っぽい事態を期待する事などできない。
「ベッド、使っていいか?」
後ろからやってきた晴香に向かって八雲は聞いた。
「うん。…汗、拭いた方がいいよね。」
「その前に、タオルケットか何かシーツの上に引いたほうがいいかもしれない…この汗だ。」
「えっと…じゃぁ、持ってくる。」
「あぁ。」
それからバタバタと、忙しく動き回って…一息つけたのは数十分後だった。
「…君は、彼女を知っているといったな、どういう関係だ?」
ベッドサイドに椅子を出して座っている晴香に向かって八雲は問うた。
「…一年の講義で一緒だったの。」
振り返って、後ろに立っている八雲に向かってそう言った。
「学部が一緒なのか?」
「ううん。一般教養の講義だったから…えっと…法学部だったかな?」
「名前は、海堂瑠璃で間違いないな?」
晴香が静かに頷いたのを見て八雲は少し考え込むように黙った。
「八雲君は…どうして知ってたの…?」
少し心配そうな声が、聞こえてきた八雲は顔を上げた。
「誤解するな。うちの檀家だ…」
今は無き、叔父が自分に似ているといってきた女性。
「じゃぁ…家とか連絡先とかわかるんじゃない?」
「……どうかな、個人情報だし…管理してるのはウチじゃない。」
八雲はそう言って…ため息を付いた。
「………………。」
静かになったところに音が響いた、くぐもった…音。携帯のバイブレータだった。
それぞれの携帯を見て違う事を確認して…彼女の鞄を見た。
「……………」
バイブレーターは止まったが、視線は2人とも鞄に注がれたまま。
「…見る…?」
流石に気が引けるのか…晴香は不安そうに八雲を見上げて問うた。
「…鞄から出すぐらいなら許されるだろう。」
八雲はそう言って鞄を引き寄せ、晴香に渡した。
「僕が見るより君が見たほうがいい。」
八雲のその言葉にコクッと頷いて鞄を開けて携帯電話を取り出した。
飾り気のない黒い携帯電話。
「枕元にでも置いててやれ。」
晴香はそれに従って枕元へ携帯電話を置いた。
「……。霊には、憑かれてないから大丈夫だろう。」
八雲はそういうと彼女を見下ろした。少なくとも、彼女を苦しめる原因は…視えない。
「起きないのに?」
「…原因がなくなったからと言って、すぐに起きるわけじゃないだろう?…できる事はした。」
冷たいようだが、事実だった。
「や、八雲君!」
晴香は八雲のシャツを引っ張って言った。
「帰る…の?」
「………のつもりだが…。」
そう言うと、うぅ…っという…呻き声が聞こえた。当然、晴香から。
「まだ何が…あるか分らないのに…帰るの?」
「……………。」
晴香の家に上がった事はあるが、早々に辞退した。こんな時間まで家にいたことはない。
「いてよ…。ば、晩御飯ぐらい作るから、ね?」
霊絡みだといわれては、自分は何も出来ないのは痛感している。
別に、特別な意味はないけれど、自分ひとりでは何かあったときに対応できないのは…想像ができる。
八雲が居れば心強い。
「………分った。」
八雲はそう言ってふぅっと溜息をついた。
わかったといいつつも、部屋を出て行こうとする。
「ちょ、ちょっと。どこに行くの?」
「スポーツドリンク買って来る。…その汗だ。水じゃないほうがいいだろう」
「…帰って、来るよね?」
訴えかけるような視線から逃げるように八雲は目をそらした。
「あぁ。心配するな」
君からお願いをされて断れる分けないだろう。
八雲はそんなことを思いながら、財布を掴んで家を出た。
玄関が閉まる音を聞いて晴香は溜息をついた。
八雲がいない急に心細くなる。
その思いを頭を振って振り払って…晴香は立ち上がった。
彼女の額のタオルを変えて…キッチンへ向かった。
光の届かない闇の中に瑠璃は居た。
しばらくして、それが限りなく黒に近い紺碧の水の中だと知った。
呼気が泡となって浮かんでいく。
周りの空気が冷たいのか…自分の身体が熱いのか…その両方なのか…分らない。
『心配性。必ず帰ってくるから』
暗い海の中でもはっきりと見える両親の姿。
待って。
行かないで。
必死で手を伸ばすけれどそれは空を切るだけ。
伸ばしても、伸ばしても…
届かない…。
とどかない…。
父さん…母さん…
泡となり、暗い海へと消えていく。
やめて。
いやだっ…!
「……っあ……。」
喉が張り付いてしまって呻き声しか出なかった。
今まで居た黒い世界から急に白い世界に引き戻された。
ズキンズキンと脈打つような頭痛が続いている。
顔を顰めると、声が振ってきた。
「大丈夫ですか?」
声に導かれるままに視線を向けると栗色の髪の女性が心配そうな顔でタオルを手に持っていた。
額にあてがわれたタオルが冷たい。
構うなと…言ったのに。
倒れる直前に見た顔で…昔にも見たことのある顔だが名前は出てこなかった。
頭痛で、それどころじゃない。
「熱が39度もあるから動くな。大人しくしてろ。」
さらに上から声が降ってきた。男性の声だというのは…分った。
「もう、八雲君!」
窘めるような声に首を動かして…閉じそうになる瞼を無理やりこじ開けた。
どこの、誰だ。
飛び込んで来たのは何よりも鮮明な紅が…二つ。
モノクロの世界の中でさえ、失われなかったその色。
「赤…」
「え?」
「夕焼け…だ。」
「…?」
「夕焼けの…色…は。嫌いじゃ、ない…」
なんだか支離滅裂な事を言ってる。
それでも暖かみがあるだとか、血のような真っ赤な夕焼け色が好きだとかは決して言わないけれど。
「…重症だな。もう少し休め、君に危害を加える人間はここには居ない。」
大丈夫だ。という前に…。
視界がブラックアウトした。
ズキンズキンと痛む頭ではそれに逆らえなかった。
深海に引きずりこまれるかのように
意識を手放した。
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