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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2025年03月10日 (Mon)
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2008年08月07日 (Thu)


忘れてたわけじゃありません。

八雲誕生日ネタ
第八中学で。


夏休みですね~。



『八雲君。おはよう、誕生日プレゼント何がいい?』

そんな…メールが携帯に入っていた。
それに気が付いたのはトイレに立ったときの事だった。そろそろ昼ごはんにしようかと思うような時間。
どうせ連絡はないとふんでいたので発見が遅れた。送信時間は午前10時。
生徒が夏休みとはいえ基本は出勤だし部活動もある。そんなわけで、今日も出勤していた八雲と晴香。
流石にクーラーの無い理科準備室に篭るほど八雲は暑さに強くない。
どうりで、ちょくちょく視線が会うと思った。
八雲はそんなことを思いながら…一人になれる場所に行くべく理科準備室へ足を運んだ。

誕生日ねぇ…っというのが八雲の感想だった。確かに今日だ。
この年になって、祝ってもらいたいとも思わないが…。嬉しい、のは事実。
「欲しいものねぇ…。」
思わず出た言葉、そんなの聴かずとも分るだろうに…っと思う。
八雲は、理科準備室に入るなり、携帯を出してメールを打ちだした。

『君といられる時間。』

物欲はあんまり無い。だから本当に欲しいものを書いた。
あんまり困らせるのも悪い…っという良心はある。

さて、どんな返事がくるかなっと…思いながらメールの返信を待った。


理科準備室はクーラーが無いのは先も言ったが、暑い温度より篭った空気の方が不快だった。
八雲は窓を開けて空気を入れ替えた。
それでも暑く、無意識のうちにボタンを外した。
ちなみに、生徒が居なくとも学校に来るときは八雲は白衣と眼鏡は常備している。
そうして風通しのいい窓辺に陣取った。足を組んで机に頬杖を付く。
机の上に放った携帯はまだ鳴らない…。


返事より先に来たのはその張本人だった。


「八雲君!」


ノックもせずに、入って来た晴香。

「………………………。」
流石にこれには驚きが隠せなずに目がまん丸になった。なかなか、お目にかかれない表情だ。
「どういう事なの?」
八雲の前に進み出て晴香はそう問うた。その手には携帯が握られている。
どうやら返事がお気に召さなかったようだ。
「どうもこうも……言葉通りだろ。」
「なんでそんなに真面目に回答するのよ。」
「『君が欲しい』っとでもいうと思ってたのか?」
「…………………………。」
どうやら図星らしい。表情に出るのは相変わらずだ。
「ひ、日ごろの素行の問題でしょ!」
弁解するように声をあげた晴香。
「…ぼくなりに、気を使ってるんだ。君も忙しいんだろう?」
左手で晴香を指差しながらそう言う八雲。
「なんで?」
「え?」
「なんで気を使うの?八雲君の誕生日なのに?」
「…『君が欲しい』なんていったら普段散々文句言うくせに。」
「八雲君は逆なの、逆!普段はいわないけど誕生日ぐらい、わがまま言ってもいいの。」
「……………。」
八雲はその言葉に眉間に皺を寄せた。
「特別な日なんだから…」
「…特別…ねぇ。」
八雲はそう呟いて考え込んだ。
「ぼくにそういう感覚がないのは知ってるだろ。」
そのままの体勢で晴香を見上げる八雲。
「しっ…てるけど…。」
途端に寂しそうな顔になってしまう晴香。
「ぼくにとってはたいした行事じゃないんだよ。誕生日は。」
「…でも、私にとっては重要な行事なの。」
他人の誕生日なのに…っという言葉を八雲は飲み込んだ。
「…何かしたいよ。」
ぎゅっと手が握られたのを見て八雲はため息を付いた。
「だから一緒に居たいって…いっただろ。それで充分だ」
「私が嫌なの。」
だって誕生日なんだよ?
そんなか細い声が聞こえてきた。
そんな声を出されたらどうしていいのか分からなくなってしまう…。
八雲ははるかが納得しそうな答えを考えた。
欲しいものを強要される…っというのも変な気がするが、八雲は考えた。

「…そうだな…ひとつだけ…」
暫くの後八雲はそう口を開いた…。
考えていた時間が半分、そしてこれを口に出していいのか悩んだのが半分の時間だった。
「なに?」
期待と不安がい入り混じったような視線で晴香は八雲を見た。
「欲しいもの…というか君にもらって欲しいもの…かな。」
「……私?」
「そう…。ぼくのわがまま、聞いてくれるなら…」
相変わらず、立ったままの晴香を下から見上げる八雲。
その色気は反則だ。っと…晴香はノドまででかかった言葉を飲み下した。
「ぼくの苗字、そろそろもらって欲しいんだけど?」
眼鏡に通った鼻筋に少し笑っているような口元。シャープな顎にいつもより肌蹴ているシャツ。
八雲が何か言ったのは分った。それでも目が奪われてしまい他の感覚器が麻痺してしまったようだった。
「……………………。え?」
ようやく、耳に入って来た言葉は脳に達してその意味を理解した。
「…四回目のプロポーズ…になるかな。したつもりだけど?」
「………………………。」
「君が欲しい、なんて今更だ。もう君はぼくのものだろ?…自惚れていいなら、の話だけど。」
晴香の反応を見ながらも、八雲は喋るのを止めなかった。
「少なくともぼくは、心も身体も君のものだと思ってるし逆も然り。後欲しいのは」
頬杖をやめ身体を起こし晴香をまっすぐ見る八雲。
「…その証明、だけだ。」
八雲がそう言い言った後…晴香の表情は沈んでしまった。
だから嫌だったんだ。
「それが…唯一かな…ぼくが所望するものは…。」
言えと言ったから言ったのに、そんな表情をするのはずるいだろう。
君にそんな表情を、させたくないのに。
そんなことを思いながら八雲は立ち上がりその勢いで晴香を抱きしめた。
「これは、本当にもぼくのわがままだ…気にするな。」
「八雲君……。」
「……本当に、君が居てくれればそれでいいんだよ。ぼくは」
本気だ…っと分らせるように抱く腕に力を込める八雲。
「でも……。」
「…じゃぁ…次の休み。君を独占する権利…ってのはどうだ?」
何か言いたそうな晴香の口を封じるように八雲は先に口を開いた。
「……いつも独占してるじゃない。」
白衣がぐっと引っ張られた。晴香が八雲を見上げている。
「…じゃぁ………君を自由にする権利。」
「それもいつもでしょ。」
少し膨れたようにそう言う晴香。笑いながら八雲はほんの少し腕を緩めた。
「…物とか…ないの?」
「……ないな。それに大概の物は自分で買える。」
「…………。」
「じゃぁ…君が“特別”にしてくれよ。」
「え?」
「いつもの君を独占するのも、君を自由にするのも……君が特別な日にしてくれよ。」
「………………………。」
「それがいい。いろいろ考えてくれ。」
「……本当にそれでいいの?」
ぐいとさらにつよく晴香は八雲の白衣を引っ張った。近付く顔。
「何を聞いてたんだ。それがいいっていっただろ。」
「……分った……。」
不安半分、戸惑い半分…そんな表情で晴香は頷いた。
「次の休みは…土日だな。楽しみにしてるよ。」
にやっと笑って八雲は近くにあった晴香の額にキスをした。
「…………。」
すねたような顔をしたかと思うと…急に頬を赤らめ…次には八雲の頭に腕をまわしてキスをしていた。
「!?」
珍しい。の一言でくくれる晴香の行為。
「……どうした?」
解放された八雲の唇から戸惑いと驚きが混じった声が漏れた。
「…八雲君の誕生日は…今日…だから。」
「?」
「――――――。」
耳に囁かれた言葉に八雲は耳を疑った。
「………君からそんな言葉が聞こえるとはね。」
「だっ…だって。今日。だもん」
「わかった。」
ちゅっと、再び額にキスをすると…。こっちも再び唇を塞がれた




本当は…。


夫婦になっても何が変わるわけではないと思う…。


今も半同棲状態で、寝食をともにしている。


実際変わるのは、戸籍ぐらいのもの。


それでも…証が欲しいと思う。


そう思うのは…


未だに不安なんだろうか…。


彼女がどこかへ行ってしまうと…心のどこかで思ってるんだろうか



「や…く も……。」


今、この瞬間だけはそんな事は微塵も思っていないと…命に変えてでもいえる。



結局一番欲しいのは。


このぬくもりだけ……。



「君さえいれば…何もいらない…」



END

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