ここは「文風月」内、FF置き場です.
カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
昨日は見事にカウントダウン忘れとりました(苦笑)
気を取り直して!
『心霊探偵八雲6 失意の果てに』発売まであと24日!
寒い!寒い!寒いです!
人肌が恋しい……(遠い目)
同棲設定で。
「う~ん…。」
朝、晴香が手帳を広げて唸っていた
「…どうしたんだ一体。」
八雲が晴香の手帳を覗き込みながらそう言う
「う~ん…今日って、11月7日だよね?」
「…それがどうした?」
「何かの日だった気がするの」
そういいながら手帳をぺらぺらめくって行く晴香。
「……随分と曖昧だな?」
「だって…。何か分からないけど、その日付に覚えがある…って…そんな経験ない?」
「………。」
肩を竦めて見せる八雲。
「何だったっけ…?」
「…ごみの日?」
「違う…ごみの日じゃなくて…」
「…資源ごみも今日だぞ?」
カレンダーの前に立ってそう言う八雲
「それも違うの…」
「…講義の補講は?」
「それも違う…。もっともっと古い記憶の気がするの…」
「今日は立冬だが…それは関係なさそうだな。」
打つ手なし、というようにため息を吐く八雲。
「あー!思い出せないっ。なんだったかなぁ…」
悔しそうにそう言って考え込む晴香
「…何かの拍子に思い出すだろう。それより、講義に遅刻するぞ。」
「え!?もうそんな時間!?」
「時計ぐらいちゃんと見ろよ。」
苦笑気味にそう言うと、玄関まで晴香を見送る
「行ってくるね!」
「あぁ。」
ちゅっとキスをしてから晴香は出かけていった。
「レポートでもするか」
ふぁぁっと、眠そうな欠伸をして八雲はリビングに戻っていった。
結局、家に帰ってきても、何の日かは思い出せなかった。
「…なんだったかなぁ…?」
机の中にある過去の日記を引っ張り出しながら晴香が呟く。
「いい加減、諦めたらどうだ?」
風呂から上がってきた八雲が呆れたようにそう言う。
「う~ん…。」
諦めきれずにぺらぺらとめくっているとある単語が目に飛び込んできた。
HAPPY Birthday。
「誕生日…」
小さな声でそう呟く晴香
「誕生日?」
その声は八雲にしっかり聞こえたようだった。
誰かの誕生日…なんだろうか…?
思い返すと思い当たる節があった。
中学校の頃、唯一仲のよかった男の子。
お兄ちゃんがいたらきっとこんな感じなんだろうって…思った。
『俺、別に小沢のこと、好きでもなんでもないから。コレは受け取れない。』
その人から言われた一言。
確か、誕生日にプレゼントを渡しに行った時…だった気がする。
ばたんと…閉まったドアの音がやけに大きく聞こえた。
私自身、好きでもなんでもなかった。
でも…
その言葉が痛かった。
踵を返して家を離れながら何故か涙が溢れた。
好きだなんて思っていなかったのに。
拭っても拭っても涙が溢れてきた。
自分では気づいていなくても…あれは恋だったんだろう…。
あれが失恋の痛みというのなら…。
なんて苦しいんだろう。
あんなに苦しいなら
親しくならなければよかった…。
後から聞いた話では
2人が仲がいいのをからかわれたあと…だった。
「おい!聞いてるのか!」
肩を掴まれぐいと振り向かされる。
「…八雲…君」
目の前に居る八雲の姿を認めてそう呟く。
「………なんで、泣いてるんだ?」
心配そうに顔を覗きこんで涙を拭う。
「…ご、ごめん。」
ごしっと涙を拭ってから日記帳を閉じる。
「……そんな、泣くようなことがあったのか?」
振り向かせたときに掴んだ肩を…そのまま押して、真正面から晴香を見つめる
「ううん。大丈夫」
「…ほんとに大丈夫なんだな?」
「うん。」
八雲の念押しに笑って頷いてみせる晴香。
「…ならいい。」
そう言うと少し笑って、晴香を抱き上げる
「!や、八雲君!?」
バランスを崩しそうになり慌てて八雲に掴まる。
「もう寝るんだろ?」
「それは、そうだけど。」
「なら、何も問題ない」
平然とそう言うと、器用にベッドに寝転がり、腕を放す。
横になっている八雲の上に横になっている晴香が乗っている状態。
「八雲…君?」
身体を離そうと身体を起こす晴香だったが、八雲の手によってそれが出来なかった。
「…何があったかなんて、聞かない。」
「?」
きょとんとして顔だけ八雲のほうを向く晴香
「記憶は、消せない…だから。別のことで思い出すようにすればいい。」
赤い目が晴香をまっすぐ見つめる。
「別のことって?」
「…君は自覚がないんだろうけどな。」
そういいながら抱きしめている手とは別の手で晴香の唇を撫ぜる。
化粧をしていなくとも綺麗なそれ。
「付き合って大分立つが、君からキスされたことが一度も無い。」
「え?…」
「さ、…どうする?」
少し意地悪な笑みを浮かべてそう言う八雲。
その意味を理解してかぁっと…頬が熱くなる。
「………目、閉じて?」
すでに赤い顔をしている晴香が上目遣いに八雲にそう言う。
ふっと笑ってからゆっくり瞼を閉じる八雲。
それを見て晴香も顔を近づけながら目を閉じた。
長い接吻だった。
時間を忘れたようにただ唇同士を合わせていた。
スッと…柔らかいものが離れていく。
八雲が目を開けると晴香がいくらか赤みの引いた顔で見つめていた。
途端に貪りたい衝動に駆られ、八雲は身体を起こし晴香の唇に己のそれを重ねた
「!」
驚いてる時間も無いほどにいつの間にか位置が逆転していた。
「八雲っ」
言葉の続きは八雲の口の中に消えていった。
「…君から…されるのもなかなか悪くなかったな。」
にやりと笑う八雲。対する晴香は再び頬を真っ赤に染めている。
「…忘れられない、夜にするぞ?」
その答えはは言葉でなく再びもたらされた柔らかさで…帰ってきた。
END
そう、誕生日だったんだよ。あのひとの…。
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