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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月20日 (Mon)
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2006年06月10日 (Sat)

Cantabile ed Espressivo
様で借りてきました。『甘々な20のお題』

3つ目の消化は《17.愛の囁き》です!




17.愛の囁き

「ねぇ、八雲君?」


「なんだ?」


「どうして、愛してるって言ってくれないの?」

八雲の顔が怪訝そうに歪み、それを見て晴香の顔もまずい…といった表情になる。

「あ…のね、好きっていっぱい言ってくれるけど…愛してるって…言ってもらったことないなって……思って。」

弁解する、晴香の声がだんだん小さくなる。

「言ってくれないから…その、…私のこと…愛してくれてないのかなって…。」

「聞こえなかったな。」

「え?」

「誰が、誰を好きじゃないって?」

睨みつけるように…晴香を見る八雲。
目を逸らした晴香を強引に自分の方を向かせる。

「誰が、誰を好きじゃないって?」

この八雲の顔は怖い。
まだ君はそんなことも分からないのか?
といわんばかりの少しバカにしたような顔。
でもその反面、悲しそうに見える。
何故、そんな事を言う?
と訊ねるような顔でもある。

「好きじゃないなんて言ってない!…好きなのは…ちゃんと知ってるよ。」

顔を赤らめ視線を逸らす晴香。

「なら…何故そんな事を聞く?」

僕はどうしようもないくらい君が好きなのに…

耳元で、そう囁かれる。

ぎゅっと目をつぶり、この感情に流されてしまいそうになるのに耐える。

「ずるい…。」

「何がだ?」

「そんな声を…出すのはずるい。」

あんな…切ないような声を出されると、何もかも分からなくなってしまいそうになる。

「あんな質問をする君の方がずるい。」

完全に開き直っている八雲がそう言う。

「だって、ホントのことじゃない。」

「もともと言葉じゃ言い表せられないんだ。…気持ちは。」

「でも、言葉じゃないと伝わらないよ?」

「……伝えてるだろう?君をどれぐらい好きかなんて…。」

「私が言って欲しいのは、I LIKE YOU じゃないの。I LOVE YOU なんだよ?」

「……………。」

少し苦しそうに八雲の顔が歪む。

「好きと、愛してる。じゃ…全然違うんだよ?」







「愛してるなんて…」

フイッと視線を反らせる八雲。

「愛情を知らない僕が、言っていい台詞じゃない。」

項垂れるように晴香から顔を背ける。

「でも、八雲君は優しさを知ってたわ。」

そっと頬に触れる晴香の手。

「それだけじゃ、ダメなの?」

顔を覗き込むように八雲を見つめる晴香。

「……」

「…―――――」






























「私も、…八雲君を…愛してるよ。」



「愛してる…。」





何度でも囁いて…

あなたの声で囁いて…

もっと、聞きたい。




アイシテル…。


誰よりも…

アイシテル…。


何よりも…


END



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