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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月19日 (Sun)
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2007年09月23日 (Sun)
思えば…日曜日は週の初めですな(苦笑)


拍手お返事
21日19時
まだ、始まったばかりなので大丈夫です(笑)
こちらこそ、嬉いコメントありがとうございます!そのお心遣いが嬉しいですっ!
どうか、のんび~り。付き合ってやってくださいませ。


さて、最後。
…おもってたより黒くなくなった(笑)

秘密の原石箱より
キスする場所で5題

2.ここまでが限度

一応恋人同士(でもあんまり進んでない・笑)





八雲はまだ不機嫌だった。

それでも、晴香が持ってきたパンをかじっているところを見ると不機嫌なのはポーズだけっという気がしてくる。

晴香はさっきから話を続けていた。
晴香が一方的に話して八雲がそれを聞いているというパターンはよくあることだから。
「ちょっと、八雲君。聞いてる?」
流石に相槌を打たない時間が長くなると晴香は八雲に問う。
「聞いてる。で?君のニュースの一番はなんなんだ?」
大概、ちゃんと聞いてくれているのだけれど。
「ちょっと痩せた。」
「………」
八雲の表情が固まり、すぅっと目が細められる。
「そ、そんな目でみないでよ…。」
「ニュースの一番が痩せた。なんて馬鹿らしいっと思っただけだ。」
大げさにため息を吐いて八雲は再びパンをかじった。
「馬鹿らしいって…なによ!女の子にしたら結構重大な問題なんだから。」
「それは太っている奴の問題だろう?君には無関係だと思うが?」
少々行儀が悪いが咀嚼の途中でそう言う八雲。
「分からないな。君はそれ以上どこの肉を落とすって言うんだ。」
八雲の視線が上から下までさっと往復する。
「むしろ少しは肉をつけた方がいいんじゃないか?がりがりじゃないか。僕は嫌だね。」
男女の差はあるのだろうけれど、八雲の方ががりがりの言葉には相応しい。
2人とも、標準のなかで…の話だが。
「…そんな言い方ないでしょ!?」
コイツは乙女心のおの字も理解できてない。晴香は珍しく声を荒げた。
思わずテーブルに手を付いて、八雲のほうに身を乗り出す。
押しかけたのは悪かったと思うが、始終不機嫌な八雲の態度も頭にきていた。
「八雲君にはわかんないわよ!」
そうまくし立てるが対する八雲は嫌に冷静だった。
「ふぅん…」
そういったきり、次の言葉は出てこない。
「???」
晴香は八雲の呟きが理解できずに八雲を睨みつけている。

その視線を正面から受けたあと、八雲は微かに視線を動かした。

「C…ね」


八雲の口から飛び出した台詞をうけてはたと気付くがもう遅い。
「ど…こ見てるのよ!」
慌てて机から手を離し、椅子へ戻る。
「前かがみになる君が悪い。」
いつもと同じ眠そうな目で晴香を見る八雲。
「だ、だからって!」
「体格の話をしてたんだ、別に疚しい事がなくたって目が行くだろ。見せる君が悪い。」
最後の方は欠伸交じりの受け答え
「それでも、凝視しないのがマナーでしょ!?」
「僕も男だぞ、無理だ。」
飄々と八雲はそう言う。罪悪感のかけらも感じさせない。
「す、スケベ!」
「男はみんなそんなもんだろ」
最後のひとかけらのパンを口にほおりこんでもぐもぐと咀嚼する。
「開き直らないでよ!」
「僕は悪くない。」
「悪いわよ!言わなきゃいいのに言うから!」
「君が視線で訴えてきたからだろう?『何してるの』って。」
「送ってない!」
「もっと詳しく言った方がいいか?」「言わなくていい!」
このハプニングについては明らかに認識には隔たりがありすぎる。
なにも、赤面しろとか難しい反応を求めてるわけじゃない。
謝ってほしいわけでもない。
けど、この反応はないでしょう!?
晴香は心の中でそう叫んだ。
押しかけて不機嫌なまま、話に付き合わせたのは悪かったと思う。
事の発端が私であるのは…悔しいけど認める。
それを差引いても、この反応はあんまりでしょ!?
ここまで興味を示されないと女として認識されてないんじゃないかと心配になる。
途端に自信がなくなって…晴香は八雲を見れなくなった。
今だって…。きっと八雲は平然としてるんだ。一人で怒ってるのが馬鹿みたい。
「さっきから、何をぶつぶつ言ってるんだ。」
八雲の声に誘われて顔を上げると、案の定、晴香の目に写ったのは先ほどからまったくかわらない八雲。
この苛立ちが伝わって居ない事にも苛立ちを感じた。
「もう!責任取ってよね!」

意識して出た言葉じゃない。
口を付いた言葉
ある意味、勢いで出てきた言葉。
『はいはい。で?君は何が欲しいんだ?…季節限定の菓子か?』
そう、軽口を叩いて流してくれれば言いだけの台詞。


「へぇ?」
だが八雲はそうしなかった。
「どうやって?」

晴香は固まった。
八雲の笑みが…
物凄く
物すごーく
意地悪だったから

「どう、責任とってほしいんだ?」
口元が……
「ほら、言ってみろよ。」
冷笑にも似た形に
歪んだから…。
「どうやって責任とってほしいんだ?」
目つきが、明らかに違う。…少し、怖い。
晴香はそう思ったが…それを押し殺して八雲の視線を受ける。
「ちゃんととってやるよ。セキニンってやつ。」
椅子に座っている晴香の前、床に膝たちになった状態で晴香を見上げる八雲。
「うっ…。」
「…言えよ。」
やり取りがまどろっこしくなったのが命令口調でそう言う八雲…。
「言ったら聞くのね?何でも?」
「なんでも。」
言えないとたかをくくっているのだろうか冷たい笑顔で八雲がそう言った。
晴香にとっては、チャンス…だった。
何でも聞くといってるのだから、気持ちを確認する絶好のチャンスだ。
「まず、言って?」
「何を?」
喉で笑ってそう問い返す八雲。
「私達の関係。」
「依頼人と受託者。トラブルメーカーと、そのフォロー…。」
晴香がむっとしてるのを見て薄く笑う。
「今は、恋人同士…だろ?」
くすっと笑って、晴香の手に手を添えた。
「違うか?」
触れられている手が熱く感じて…触れ合っているのだと言う事を実感する。
「八雲君の質問には答えない。」
照れとドキドキを隠しながらそう言う晴香。
「好き?」
「ああ。」
覆いかぶさっていた手から指がするりと晴香の掌のほうへ移動する。
「ちゃんと言って!」
少しくすぐったいのを我慢して晴香が声を張る。
「好きだよ。」
そうして、ゆっくり持ち上げて手の甲へキスを落とす。
こんな事をされるのは初めてで…心臓の鼓動が一気に高鳴った。
離れた後でも、そこだけ熱い…。
口紅をつけていたわけでもないのに八雲が触れた場所がはっきり分かる。
「名前呼んで?」
晴香は動揺を隠して、ゆっくり言葉を紡いだ。
「晴香。」
晴香の手を彼女の膝に下ろし、再びその手の甲に触れている八雲が望どおりに言葉を発した。
めったに…っというかちゃんと呼んでくれたのはこれが始めてだった。
「もう一回。」
晴香のそのお願いに八雲はくっと笑った。
左手は膝の上においたまま…右手で椅子の背もたれに手をおく。
一瞬にして晴香の視界は狭くなった。見えるのは、八雲の肩とそれ越しに見える殺風景な部屋。
「はるか…」
暖かい吐息と共に、その音が耳を掠めていく。
その色気たっぷりの声は反則だ…。
晴香は思わずぎゅっと目を閉じ呼吸を整えた。
緊張か、照れか分からないもので顔が熱い…。
「キスしてよ。」
目開くが見えるのは先ほどと変らないらない風景。
小さい声だったが、八雲には聞こえたようだ。喉で笑った。
今、晴香ができるのは、お願いとはいえこれが限度。
これ以上は恥ずかしすぎる…。
膝に乗っていた手が離れ、両手が頬に手を当てられる。
そうする間に視界の中に八雲の顔が入って来た。
一瞬、驚いたような表情を浮かべたがすぐさま笑みに変わる。
「目、閉じろよ」
閉じたいのは山々だった…。
八雲の姿を見ただけで心臓の鼓動が跳ね上がってしまったのだから。
頬が熱いのは触れられているからなのか、それとも自身が発する熱なのか…それは分からない。
「…………。」
八雲は従わない晴香をみて呆れたようにため息を付いた。
「言う事聞かないなんて、いけないな。」
八雲は瞼に指を這わせた。そうして、先導するように指を下ろしていった。
晴香の瞳が隠れた後、八雲はあらためて唇に指を這わせた。
這わせた指に付いた赤を舐め取ってから、顎のラインをなぞって耳に触れる。
ぴくりと、反応があっって八雲は思わず喉の奥底で小さく笑った。
髪の毛を梳いて…額を撫でる。そうして、瞼を再び撫で…頬に戻ってきた。
「いいか?」
表情は意地悪く笑っているが晴香には見えない。
晴香の ん…っ という小さな返事が帰ってくる。
もう一度クッと笑った後で八雲はキスをした…。


頬に…。


「したぞ」
いともあっけなく離れる八雲の手。
「意地悪っ!!」
怒り狂いそうなほどの声だが、その表情は恥ずかしさが前面に押し出されている。頬は真っ赤だ。
「どこに、とは言わなかっただろ?」
してやったり、と言いたげに八雲は笑う。

「さてと、オフザケはこの辺にして…。だ」
八雲の目の色が変わった。真剣そのものの…目。
「話を戻そうか?責任とれって言ったよな?何の責任だ?」
立ち上がって、椅子の前に立つ八雲。今度は晴香を見下ろす形。
「見た責任?それは無理だ見えたものは仕方ない…不可抗力だろ。」
晴香の返事を待たずに勝手に結論を出していく。
もっとも、口出しをしたくても、今の晴香には心臓の拍動を鎮めるので精一杯でそこまで気がまわらないのが現状だ…。
「お嫁に行けなくなるってやつか?」
暫く考えていた八雲の口から次に出たのはこんな言葉。
「行かなくていい…君は僕の所に来るんだから」
「!やく…」
八雲の吃驚するような発言に思わず名前を呼ぶが、最後まで行かずに八雲の指で止められた。
「って事は、どういうことだ…?」
「………。」
「どういう、ことだ?」
再び意地悪く聞いて…八雲は指を離した。
「……………。」
まだ晴香は答えない、いや、本人自身が状況把握に追いついていないというべきだろう。
だが、八雲は待たなかった。
八雲は晴香にキスをした。今度はしっかりと、唇に。
重ねるだけのキスだったが、こんなに長いのは初めてだった。
「ふぅっ……。」
離れた後の吐息はどちらものものも艶かしいかった。
八雲はその後、なんの躊躇いもなく首に舌を這わし始めた。
晴香の身体がビクリと震えた。
「やくっ…」
「こういう、事だろう?あの台詞は」
クスリと笑って、首に軽く噛み付く八雲。
「っ!」
かすかな痛みのおかげて晴香はあることを思い出した。
「ここ…プレハブっ…。」
八雲の動きに耐えながら意味のある言葉を紡ぎだす晴香。
「知ってる。声が響くかもな。」
喉で笑って…八雲は裾から手を滑り込ませた。
「!!八雲君!」
晴香の呼びかけに八雲は頭をもたげて晴香を見た。

「君も、責任とってもらわないとな…僕をその気にさせたんだから。」



END
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おおっ、黒!
こんばんにゃ~、にゃるでっす!
黒いですね~!Sですね~!!降臨しましたね~!!!(←興奮)
八雲は晴香が誘ったかのようなことを言ってますけど、これって、八雲がそう仕向けた気が…!もしホントにそうならあんまり黒くって身悶えますね♪(←鬼畜)晴香のおねだり攻撃にもやられ、今回は息も絶え絶えですよ…さすがです、綾さん!黒旗揚げて降参です!(←決して白ではない)
にゃる 2007/09/24(Mon)04:12:03 編集
黒…黒いかなぁ??
こんにちはにゃ~(何)
本当に、作品ごとのコメントありがとうございます♪
記事の最初のほうでも言ってますが…黒いですかね?これ(マテ)
この前のコメントの返信時に思い描いてたのと比べると…それほど黒くない気がするのです(笑)
いやいや、にゃるさんが黒とおっしゃるからには黒いんでしょうコイツも!白旗が黒旗になるぐらいですから(爆)
こうやって書くと以前どれだけ黒かったかってな話になってきますが(苦笑)
会話自体は変わってないのに…印象が違うのは不思議ですなぁ。

不機嫌+絶好のいじりねた=黒 この公式は最早確定ですね。

そして、八雲は確信犯です!(笑)
晴香に責任吹っ掛けてますが、悪の根源(爆)はコイツです!
ここまで上手く(?)事が運ぶとは思ってなかったでしょうけどね(ここまで確信してたら晴香の行動の予測が的中しすぎです・笑)
晴香がおねだりしていると見せかけ、実は八雲の術中にはまっていってます。
こう…アリジゴクに落ちるありのように…じわじわと…(←嫌なたとえだ・苦笑)

最近、にゃるさんのコメントが楽しくて仕方ありません(笑)
冷静な突っ込みも、嬉しい褒め言葉も、はっちゃけた発言も(←え)
毎度毎度ニヤニヤしながら、読ませていただいております♪
お時間がありましたら、また相手してやってくださいませ~。
【2007/09/25 14:56】
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