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ここは「文風月」内、FF置き場です. カテゴリに作品名が入っていないものは「八雲」
2024年05月20日 (Mon)
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2008年03月19日 (Wed)
別CPの波第二弾。

石井×真琴です。

7巻ネタバレ注意。



「待ってください。私一人じゃ無理です。」

だって今日は、久々に真琴さんと会う約束を…。

していた……

のに…………。



私の叫びも虚しく…後藤刑事はさっさと帰ってしまった。


「勘弁してください…。」

月に一度会えるか会えないかなのに…。


真琴さんすみません…私はまだ後藤刑事には勝てません……。

そんな思いを胸に石井は携帯に手を伸ばした……。

『石井さん?』
「今晩は…真琴さん」
『…………。お仕事ですか?』
石井の声の調子からそれを悟った真琴が…その声に比例するような沈んだ声でそう問うた。
「すみません…後藤刑事が帰ってしまったのです…。今日のノルマを果たさずに……。」
『…じゃぁ、事件じゃないんですね?』
電話口の真琴が少し安心したようにそう言った。
「はい、事件ではありません。」
『よかったです…。あの、石井さん』
真琴らしくない、躊躇いがちな声が聞こえてきた。
「なんでしょう?真琴さん」
『…夕食を持っていったら…迷惑ですか?』
「え?」
『あ、その…言葉通り…なんですけど……。』
「いいんですか?」
『お弁当程度のもの…になりますけど…。』
「嬉しいです。真琴さん」

そんな…
本当に嬉しそうな声で言われると照れてしまう。
真琴はそう思いながら……石井と会う約束を取り付けた。


「こんばんは…。」
「真琴さん!」
満面の笑みの石井を見ると…やはりこちらも自然と表情が緩んでしまう。
「遅くなってすみません。」
「いいえ、私のほうこそ…ドタキャンしてしまって…」
「それは、言いっこなしですよ?」
まだ何か言いたそうにしていた石井を黙らせるために、真琴は指でその口を押さえた。
「…………。」
赤い顔して頷く石井を見て、笑みを浮かべる真琴。
「ご飯にしましょう。石井さん。」
真琴のそんな言葉で…石井はようやく動けるようになった……。

「…少し、痩せましたか?石井さん。」
重箱を広げて、石井を見ていた真琴がそう聞いた。
「そう、でしょうか?…」
思わず自分の頬を撫でるが、そんな事で痩せたかどうか、分かるわけはない。
「後藤刑事は…何故早く帰られたんですか?」
折角一緒に過す時間なのに…話題がこんな事で…少し情けない。
「あ…娘さんの誕生日らしいです。」
石井が、美味しそうに卵焼きを突きながらそう言った。
「娘さんの…。」
それは早く帰りたくなっても仕方ない。…親というのはそう言うものだろう…。
「…後藤刑事は変わりました…。」
石井が…箸を置いて…溜息混じりにそう言った。そうしてお茶を飲む。
「なんというか…仕事より家の事が大切みたいです…。」
「…自分の名誉しか頭にない父親よりは、ましだと思いますよ」
「そうですよね…。」
あまりに真琴があっけらかんと言うのでついつい石井も相槌を打ってしまったが…。
自分の名誉しか頭にない父親は他でもない、土方元署長の事ではないか。
「あ、あの…」
それに気がついて、石井は慌てて弁解をしようと口を開いた。
「はい。」
その口の中に唐揚が放り込まれて…石井は黙ってしまった。
そうしたのは他でもない真琴であり…その顔には微笑を湛えている。
「…事実ですから。いいんです。それに、私は親不幸な娘ですから。」
その微笑に微かな悲しみを孕んでいたのを…石井は見逃さなかった。こういう観察力は、警察に入って磨かれた能力だと思う。
「…あなたは正しいことをしたんですよ。真琴さん。」
石井が元気付けるようにそう言うと、真琴は少しびっくりしたように石井を見た。まるで、石井から慰められるとは思ってなかったかのように。
「…はい。」
今度は本当に笑って真琴はそう言った。
「…あまりゆっくり食べていては、泊り込みになってしまいますよ。石井さん。」
石井に向けられた優しい笑みに思わず見惚れてしまった。
「石井さん?」
その問いかけで現実に戻ってきた石井が照れていたのは言うまでもない。

「それでは、お邪魔しました。」
ひと時の楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうものである。
ドアを背に真琴がぺこりと頭を下げてそう言った。
「こちらこそ、ありがとうございました。真琴さん。」
石井もつられるように頭を下げる。
「お弁当、美味しかったです。…よ、よかったらまた作ってください。」
一瞬。『毎日、料理を作ってください。』なんていかにもありそうなプロポーズの台詞が頭を過ぎったせいでぎこちなくなった。
「はい。」
それに気付かなかったのか…それとも気付いたけど黙認したのか分らないが…真琴はまた満面の笑みでそう言った。
「お仕事、無理しないでくださいね…。」
「はい。」
石井がそう答えると…真琴はまた、ゆっくり微笑んだ。
次の瞬間
ふわりと、香ったのは明らかに女性の匂い。


「おやすみなさい。」


微笑みを湛えて真琴はドアに消えた。

頬に残る感覚が何かを理解して…
石井は今日一番の赤面をするのであった。
……大の大人がするには恥ずかしいほどの赤面を……。





次に、真琴と連絡が取れたのはそれから二日後の朝の事。メールでのやり取りとなった。

と言っても石井には素直にそれを喜んでいられなかったが…。
なんといっても、宮川と一緒に七瀬美雪の潜伏先を洗っている最中なのだ。


 昨晩、晴香さんからの電話がありました。
 また事件だそうですね…お疲れ様です。
 事件が解決した暁には、またお弁当作ります。 
 春ですし、その頃にはピクニックにでもいければいいですね。
 事件のここで、私にできることがあれば相談してください。
 それでは…くれぐれも注意してくださいね。

なんとも嬉しいお誘いがあったが…引っ掛かかるのは晴香の事件とやらである。
石井は少しボーっとした頭でメールの返信をした。朝食のサンドイッチをかじりながら。

 晴香さんが抱えているのは別件だと思いますが、私も事件を追っています。
内容は言えませんが…心配してくださってありがとうございます。
 事件が解決した暁のご褒美。楽しみにしてます。
 この前は、お弁当ご馳走様でした、とても美味しかったです。

石井はそう返信して携帯を置いた。

「誰だ?」
隣の宮川がそう訊ねてきた。
「私用です。次の現場に行きましょう。」
石井はそう言うと、サイドブレーキを下ろして車を出した。
先日の赤面した人物とは思えないほどに…引き締まった顔をしている…。




生首なんて…ショッキングなものを見て挙句、手袋越しとはいえ触った。
そしてまた明日、病院に行かなければいけない…。
その事実が石井を自宅から遠ざけた。
仮眠をするなら長いすでもできる。
万が一にでも、寝過ごしたら宮川が起こしてくれるだろう。
その場合、鉄拳の1つは覚悟しなければいけないが……。
石井はそう思いながら重い身体を引きずるように階段を上った。
「未解決事件捜査室」のプレートがかかったドアを開けた。
「あ…。」
そこに天使が居たと…石井が思うのも無理はない。
なんせあの検死官と生首の後に見るのだ…
贔屓目があったとしても睡魔で意識がはっきりしなくても…
彼にとってはそれだけの心の安らぎであった。
「真琴…さん?」
「よかった…今日は戻らないのかと思ってました…。」
黒い髪を後ろで纏め、少し疲れたような笑みを浮かべた真琴。
「どうして、あなたが…ここに?」
っと…聞いたのまではよかったのたが…近付こうと足を進めるともつれた。
転ぶ…と思った次の瞬間…意識がなくなった…。


次に石井の意識が戻ったのは長いすの上だった。
私はどうしたんだ?
ぼんやりと…それを思い出すと当然無視できない人がいた。
「真琴さん!」
がばりと…身体を起こすと…違和感があった。
始めは何かは分らなかったが…がすぐにそれは分った。
聞こえてきたのは人の、寝息だった。
ロボットのような動きで石井は後ろを振り返った。
昨日の最後に見た真琴が寸分違わぬ格好でそこにいた。
しかも位置関係からして…。
膝枕で寝ていたのか私はっ!?
思わず飛びのいてしまった。
アレから…ここまで運んでくれたのだろう。
ありがたい…が、今はそんなことを思っている余裕はなかった。
妙に柔らかい枕だとは思ったが…まさかこんな事になっているとは思わなかった。
恥ずかしい事ながら…。
石井はそのまま部屋から飛び出した。
女性と接することに…まだ慣れていないのであった…。
ましてや膝枕をされたあと…どんな顔で会えばいいのか…全く見当がつかない。


詫びのメールを入れてから…石井は病院へと向かったのだった……。



そうして…私の知らないところで向うの事件は解決されたらしい。

それはいいとして…

私を待っていたのはまた書類との格闘だった。

「石井。ちょっと付き合え」

「え?またですか?」

「嫌なのか?」

「行きます。」

転んで思った…。


真琴さん。すみません。

いろいろ、お礼を…言いたいこともあります…。

でも

ピクニックは…まだ先みたいです…。



END


7巻であんまりにも真琴さんの出番がなかったので勝手に想像して書いてみた。


真琴さんの年齢は3巻で四年生大卒(22~23)+3年=25~26とありましたが…

石井さんはいくつだ!?
…姉さん女房な気がするけどなぁ…(笑)

身長も、ヒールはいてる真琴さんのほうが高いといい(笑)


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無題
はじめまして、Akoといいますっ!
私のところにも別CPの波が伝わってきましたよ。
今頭の中で石真がすごいことになっております(笑)
Ako 2008/03/22(Sat)19:47:13 編集
Re:無題
Akoさん

始めまして、古谷です。
初コメントありがとうございます♪
いきなりですが、別CPの波伝わりましたかっ!是非それを絵か文に!(笑)
八晴と違って何故か注目されないですよね石真。
今回、あまりにも出番がなかったので、書いてみましたが気に入っていただけたようでニコニコです♪
本当に波なので、来るときは来るし来ないときは来ない、気まぐれではございますが(苦笑)
またAkoさんの波を起こせるような作品を書いて行きたいと思います!
これからも、覗いてやってくださいませ。
お返事遅くなってしまってすみませんでした(汗)
【2008/03/26 23:16】
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